タイの大手金融機関であるクルンシィ銀行(アユタヤ銀行)は6月19日、フランスのエネルギー管理・自動化大手シュナイダーエレクトリックと戦略的提携を締結したと発表した。両社は、タイの中小企業(SME)を中心に、エネルギー効率化技術の導入と環境対応型経営への移行を金融面から支援し、同国の低炭素経済への転換を加速させる。
クルンシィのパイロート・チュンクルット最高戦略責任者は「タイの中小企業は事業形態により電力コストが10~30%を占めており、エネルギー転換への適応が急務となっている」と指摘。同行は持続可能な地域金融機関のリーダーを目指し、金融ソリューションの提供に加え、知識構築や意識向上、低炭素経営への継続的な指導を通じて、タイ企業のESG実践を推進していく方針を示した。
シュナイダーエレクトリックのモンコン・タンシリウィット タイ・ラオス・ミャンマー地域社長は「中小企業はタイ経済の重要な推進力であり、幅広い環境へのポジティブな影響を生み出せる」と述べ、デジタル技術を活用したエネルギー管理ソリューションへのアクセス拡大に期待を示した。
提携の具体的な取り組みは2つの重点分野で展開される。第一に、脱炭素化とエコシステム開発として、クルンシィESGアワードやクルンシィESGアカデミーなどを通じたビジネスコミュニティ内でのESG認識向上。第二に、持続可能な金融ソリューションとして、中小企業がエネルギー効率化技術への投資、炭素排出削減、長期的なビジネスの持続可能性向上を実現できる金融支援を提供する。
この提携は、2050年カーボンニュートラル実現を目指すタイにとって重要な一歩となる。日本でも2050年カーボンニュートラル宣言以降、金融機関と技術企業の連携による中小企業支援が広がっており、アジア地域全体で同様の動きが加速している。特に製造業が集積するタイでは、サプライチェーン全体での脱炭素化要請が高まっており、今回の提携は日系企業を含む在タイ企業にも影響を与えそうだ。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
最新記事 by HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム (全て見る)
- COP30でFAOが農業食料システムの気候変動対策を提唱、資金不足が最大課題 - 2025年11月27日
- 気候変動対策ランキング、日本は57位で「低評価」―米国は65位に急落 - 2025年11月26日
- EU、サステナブル金融の情報開示規則を簡素化へ 3カテゴリー制を導入 - 2025年11月26日
- WBCSDとUNEP、企業向け循環経済の世界初の国際評価基準を発表 - 2025年11月25日
- ISSB、自然関連の情報開示基準策定へ - 2025年11月25日























