世界物流大手のDHLサプライチェーンは8月8日、日本で水素を燃料とする燃料電池(FC)トラックの実証実験を開始すると発表した。政府が支援する脱炭素社会実現プロジェクトの一環として参画し、水素トラックの実用性と環境効果を検証する。アジア太平洋地域のDHLグループで初の水素トラック導入となり、物流業界の脱炭素化に向けた重要な一歩となる。
実証実験では、高圧タンクに貯蔵した水素と大気中の酸素を化学反応させて発電する仕組みのFCトラックを使用する。走行距離は約260キロメートルで、環境性能と商業利用での実用性を両立させている。まず富士通の複数拠点間の輸送から開始し、年内にはトラックを追加導入して他の顧客向けサービスにも拡大する予定だ。
DHLサプライチェーン日本・韓国のジェローム・ジレ社長兼CEOは「アジア太平洋地域で初めて水素FCトラックを導入することを誇りに思う。2030年までに航空、海上、陸上輸送の30%を持続可能な燃料で運用することを目指している」と述べた。同社は相模原物流センターでの再生可能エネルギー活用や、一部のサービスパーツ物流での電気トラック導入など、複数のプロジェクトを組み合わせて持続可能な物流の実現を進めている。
今回の実証実験は、トヨタ自動車、いすゞ自動車、日野自動車、スズキ、ダイハツ工業が共同設立したCommercial Japan Partnership Technologies Corporation(CJPT)が実施する「グリーンイノベーション基金事業・スマートモビリティ社会の構築」の一環として行われる。同プロジェクトは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けており、三井住友銀行がDHLの参画を支援した。物流セクターにおける水素活用は、運輸部門の脱炭素化における重要な選択肢として注目されており、実証結果が今後の普及拡大への道筋を示すことが期待される。
【参照記事】DHL Supply Chain Launches Hydrogen-Powered Trucks in Japan

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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