証券会社を経て、仮想通貨(暗号資産)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。

目次

  1. トレンドの種類
    1. 上昇トレンド
    2. 横ばい
    3. 下落トレンド
  2. トレンドの見極め方
    1. 日足よりも長い期間のローソク足をチェックする
    2. 4時間足から1時間足まで時間軸を短くする
    3. 移動平均線を利用してチェックする
  3. トレンドフォロートレードの注意点

暗号資産(仮想通貨)にこれから投資しようと思っている方や、暗号資産FXに挑戦しようと思っている方も多いでしょう。ここでは暗号資産のFXや投資に取り組む際に重要となる基礎知識の中でも「トレンドの確認方法」について解説したいと思います。

相場にはトレンドというものがあります。トレンドは相場が進行している方向性という意味です。

「トレンドフォロー」という言葉を聞かれたことがあると思いますが、これはトレンドに沿って売買を行うということです。

初心者はトレードの練習として、「トレンドフォロー」からと始めるべきと言われています。人それぞれな部分もありますが、個人的にもトレンドフォローは心理的な安心感があると考えています。余裕を持つことは、勝率を引き上げるための条件でもありますので、私もトレンドフォローからトレードを学ぶことにメリットがあると思います。

それでは、トレンドをどのように見極めればよいのか、代表的な方法を説明していきたいと思います。

①トレンドの種類

相場ではトレンドの種類は3種類あります。それぞれ名称を聞いたことのある方も多いかと思いますが、簡単に整理しておきたいと思います。

1. 上昇トレンド

上昇トレンドは相場の上昇が継続していることを指しています。そのため取引の方法としてはロング(買い)ポジションからのエントリーを検討して上昇したら利益確定を行うことを検討しましょう。

2. 横ばい

横ばいというのは相場にトレンドが出ておらず方向感のない展開を指しています。横ばいになる特徴は、長期的なトレンドの中に起きる時間調整のためのものや、次の動きが大きくなる前のパワーを溜めている段階での横ばい等、色々な動きがあります。

3. 下落トレンド

下落トレンドは文字通り、相場の下落が継続している状況を指しています。下落トレンドの場合の取引は、ショート(売り)ポジションでのエントリーを検討し、下落したら買い戻して利益確定するのがベターです。

相場のトレンドはこの3つに分類されます。一方でトレンドは短期、中期、長期の期間の見方によって異なります。

例えば下落トレンドのチャート(上図)では3ヶ月スパンで下落トレンドが続いていますが、その間にも上昇している期間があることが理解できるでしょう。

この上昇も短期的なチャートで見ると長期的な下落トレンドの中の短期的な上昇トレンド(自律反発)と見ることができます。

このようにどのスパンで取引するかによって上昇トレンドの中の下落トレンドや、下落トレンドの中の上昇トレンド等相場は波を作りながらトレンドを形成するため、ここを、見極める必要があります。

それではどのように見極めるべきか個人的に行っている方法をお伝えしたいと思います。

②トレンドの見極め方

1. 日足よりも長い期間のローソク足をチェックする

トレンドの見極め方の一つとして「森を見てから木を見にいく」という方法がベターです。冷静に相場を捉えることができるでしょう。

まずは日足や週足等時間軸がより長いものからチェックしてください。そこでトレンドがどちらを向いているのか視覚的にチェックします。もしも下落しているとしたら長期的に下落トレンドとして判断します。

2. 4時間足から1時間足まで時間軸を短くする

次に日足をチェックしたところでローソク足の時間軸を短くしてみてください。そうするとチャートの形状が大きく変化すると思います。もしもそこで上昇しているような状況があっても、上方向へのエントリーは行わないことが大切です。下落トレンドに逆らうことになるからです。

1時間足等、さらに短い時間軸を利用してトレードするのであれば自由です。15分足等でエントリーするのであれば、短期トレードと割り切りましょう。 

3. 移動平均線を利用してチェックする

移動平均線の方向性をチェックすることも、トレンドの方向性を見極めるシンプルで簡単な方法です。

上記のチャートは先ほど示した上昇トレンドと同じ期間のチャートです。ここに50日単純移動平均線を表示させています。

ご覧いただくとわかる通り、50日単純移動平均線は上方向で推移しています。この移動平均線よりも上の位置でローソク足が推移している間は上昇トレンドと判断する方法も有用です。

移動平均線は設定した日数によって形状が大きく変化します。短い日数ほど価格の値動きに敏感に反応しますが、その分ノイズも大きくなります。どの日数を利用するかは投資家次第です。

また移動平均線でトレンドを把握する方法として、移動平均線を2本利用してゴールデンクロスとデットクロスからトレンドの方向性を見極めるという方法もあります。

ゴールデンクロスとデットクロスは短い移動平均線と長い移動平均線2本をチャート上に表示させ、短い移動平均線が長い移動平均線よりも上にくるか下に来るかで方向性を判断するというものです。

ゴールデンクロスは、短い移動平均線が長い移動平均線を上回って交差することを指しています。下図がゴールデンクロスの例です。

ゴールデンクロスは上昇トレンドに入ったと判断する基本的な見方です。一方、デットクロスは下図のようなチャートになります。

デットクロスは、下落トレンドに入ったと判断できる基本的な見方です。両方ともテクニカル分析でも利用する基本知識のため覚えておきましょう。

③トレンドフォロートレードの注意点

最初に申し上げたように、初心者は長期と中期の方向性が一致する方向性でトレードすることを徹底してください。

長期トレンドが上昇方向の場合、中期や短期足で下落している場面でも、どこかのタイミングで上昇に転じる可能性が高くなります。この時、短期で下落に賭けていると反転への対処が初心者では困難になってきます。

そのため、長期トレンドと中期トレンドが一致している方向性で常にエントリーすることを心掛けてください。まずは長期トレンドでエントリーの方向性を確認し、中期トレンドのチャートを見てエントリーポイントを探るという流れでトレードを行うといいでしょう。

ここまでの説明で、トレンドを確認してその方向にエントリーすればいいことは理解して頂けたかと思います。しかし、トレンドというのはどこかで変化します。

上昇トレンドから下落トレンドに変わったり、その反対ももちろん発生します。そのため「トレンドがいつか変わること」を念頭におく必要があります。ポジションを持った場合、トレンドを過信せずにどこかで損切りを行うことをルールとして決めておきましょう。損切りをしないと、暗号資産のボラティリティによって損失が急拡大する可能性もあるため、徹底して行うべきです。

また上昇トレンドにおいて、あまりにも上昇しすぎている場面では「行き過ぎだからちょっと下落するんじゃないか」という感情が生まれやすくなります。そうした状況で、トレンドに抵抗してショートポジションをとるようなことは行わないようにしてください上昇し過ぎたと判断したら一旦利確しましょう。しばらく調整を待ってからロングポジションでエントリーすることが得策です。

説明するのは簡単ですが、実際に取引をしてみると難しいものです。トレンドを用いたトレードを過信せず、注意事項を常に心がけながら慎重に行ってください。実践環境において、リスク管理はとても難しいものです。ルールを一つ一つ構築しながら安定した利益を上げるように努力しましょう。