欧州中央銀行(ECB)は8月7日、暗号資産の潜在的なリスクと金融システムと経済の安定性に与える影響、暗号資産市場の規模に関する指標などをまとめたレポートを公表した。
レポートではまず、暗号資産を「“a new type of asset recorded in digital form and enabled by the use of cryptography that is not and does not represent a financial claim on, or a liability of, any identifiable entity.” (暗号技術の利用によって実現された、デジタル形式で記録される新たなタイプの資産)」と定義している。
次に、暗号資産の潜在的なリスクと金融システムと経済の安定性に与える影響について、時間の経過によって規制された金融市場への影響は大きくなっていく可能性があるとしている。レポートでは、暗号資産は将来のキャッシュフローの権利や支払い義務などの債権がないため、根本的な価値が無いと記されている。そのため、暗号資産は価値の算定が難しく、大幅な価格変動によって投資家は大きな損失を被る可能性がある。
また、暗号資産は支払いや金融商品の特性を満たさないため、現行の規制に該当しない。これは同時に、法律によって保護されないことも意味しており、顧客の暗号資産の保有を管理する暗号資産カストディは法律執行の監督下に置かれず、取り扱いが複雑になってしまう可能性がある。また、正式なガバナンスがないため、サイバーセキュリティリスクや詐欺のリスクといった運用上のリスクに対処することが困難であると評価されている。
また、暗号資産市場の規模に関する指標では、デリバティブ市場を含む価格設定と取引情報、取引プラットフォームとウォレット、支払いに関する情報、暗号資産市場と金融システム経済の実際の取引カバー、調達した資金の量と機能とブロックチェーン設立をする国に関するデータなど、さまざまな指標をとりまとめている。
マネーロンダリング対策に置いて国際基準策定を行うFATFも、暗号資産に関して各国、法律ルールの参考書を公表するなど、2019年はボーダーレスな暗号資産をどのように判断していくのかが注目されている。
【参照記事】Understanding the crypto-asset phenomenon, its risks and measurement issues