SNSは、私たちの日常生活に欠かせないものとなっており、最近でもイーロン・マスク率いるX(旧Twitter)や、メタ社が2023年7月に発表したThreadsなど、SNSをめぐる話題に事欠きません。大手SNSプラットフォームの運営に対する批判がSNSのあり方自体を問う議論を巻き起こす中、新技術であるブロックチェーンやNFT、メタバースを取り入れた新しいSNSが登場してきています。
今回は、2022年8月にbitFlyerの国内初IEO実施に向けて契約提携を発表している、バーチャルワールド「Yay!」を開発・運営するナナメウエの石濱嵩博氏に、日本発の「web3×SNS」の実現と、今後のコミュニケーションプラットフォームのあるべき姿を中心に、編集部がお話を伺ってきました。
話し手:株式会社ナナメウエ 代表取締役 石濱嵩博氏

インタビュー概要
- Yay!とはどういうサービスですか
- Yay!の特徴は何ですか
- 現在のSNSの課題とは何ですか
- なぜIEOするのですか
- 「バーチャルワールド」という言葉が繰り返し出ていますが、Yay!は最終的にどういったサービスになるのでしょうか
- Yay!のメタバースを実現するためには具体的にどのようなステップが必要と考えていますか
- web3市場は今後どのように成長すると思いますか
- 今後のビジョンを教えてください
- HEDGE GUIDE読者へのメッセージ
Yay!とはどういうサービスですか
Yay!は、2020年1月に「すべての人に居場所を」というコンセプトのもとスタートしたバーチャルワールドです。現在主流となっているSNSは、人々に新たなコミュニケーション方法を提供してきた一方で、フォローしている人の反応が気になり、なかなか自分の素直な意見を言いづらくなりつつあります。Yay!は、SNS本来の楽しさへの回帰を実現するために生まれたサービスで、ユーザーは自分の趣味に合わせて「好き」でつながることができます。おかげさまで2023年1月時点では、650万以上の人にYay!を利用いただき、サービス内で生まれるコミュニティグループの数は7.5万件を超えています。
Yay!の特徴は何ですか
Yay!には、主な機能が3つあります。
一つ目はタイムライン機能です。フォローしたユーザーの投稿を見られるタイムラインだけでなく、ユーザーが設定したトピックカテゴリを元に、ユーザーが好む投稿や年代の近いユーザーを表示させるオープンなタイムラインもあります。
二つ目はグループ通話機能です。複数人で通話する機能で、内容は雑談から悩み相談、一緒にゲームプレイするなど多岐にわたります。通話を通じて、Yay!でつながった友人との距離を縮めることができます。
三つ目はサークル機能です。ユーザーは自分の趣味に合わせたオリジナルコミュニティをサークル機能を使って作成することができます。サークルを作成した人は管理者となり、そのコミュニティを運営します。

現在のSNSの課題とは何ですか
まず第一に挙げられるのが、SNSのメディア化だと考えています。元来SNSは人々が気ままに自分の好きなことを表現でき、自分の置かれた環境と関係なく人とつながれる場所だったはずが、現在は「映え」を気にした投稿やクオリティの高い投稿を眺めるだけとなり、自ら発信するハードルが高くなっています。SNS本来の楽しさである、誰もが好きな時に何気ないことを投稿ができなくなり、自分がリアルで出会うことがない状況でも交流ができる環境がなくなっているのです。
また余談ですが、著名人のアカウントが突如凍結されてしまい、個人のアカウントに紐づくデータも全て消えてしまうことを踏まえて、SNSのあるべき姿に対して、ユーザーの権利と中央集権型の運営方針に乖離があることから、多くの問題が起きています。世界中で問題となっている誹謗中傷やフェイクニュースなどに対応するためにルールが必要であることは確かですが、一方で、企業がどこまで個人の表現の自由を制限できるのか、プライバシーを阻害してまで管理されてしまうこと自体に現状のSNSとしての課題もあります。
SNSは僕たちの生活を大きく変えましたが、今後今までになかった課題を解決しさらに進化するには、ユーザーが自由に投稿できる権利を維持すること、そして、誰もが安心してコミュニティを作れることが重要になります。そのためには、ユーザーがコミュニティを自発的に守り、コミュニティが存続できる環境としてプラットフォームが必要です。
なぜIEOするのですか
Yay!が目指すのは、ユーザー同士が多様な価値観を認め合うコミュニティがあるプラットフォームです。そのコミュニティの実現の為には、企業の運営管理による中央集権的なSNSではなく、透明性があるプラットフォームの中で、ユーザーの自立性が必要だと考えました。web3は管理者のいない自律分散型のネットワークです。ブロックチェーン技術を活用したトークンを用いてサステナブルな経済圏を作ることで、自立性を高め、ユーザーが自律的にコミュニティを作り、独自のルールを定めつつ、様々な人の価値観を認め合えるバーチャルワールドになると考えています。
Yay!では、今現在IEOを実施し、アプリ内で利用できるトークン「YAY」の発行やNFTのセールを計画しています。詳細は今後発表を予定していますが、これにより、一つの経済圏、トークンエコノミーが誕生します。トークンエコノミーを形成することのメリットとして、まず、これまで価値を付けにくかったインターネットでの活動やサービスへの貢献に対して価値を付けやすくなることが挙げられます。例えば、Yay!のユーザーと交流することの一つとしてレターを送るなど、毎日Yay!で他のユーザーと交流し楽しむことでコミュニティに貢献として認められトークンが付与されます。これにより、ユーザーはコミュニティへの貢献が金銭的な価値となり対価を得られます。そして、より多様で価値観を認め合うコミュニティが増え続けながらサステナブルな経済圏があるプラットフォームとなることで、多くのユーザーが理想的なコミュニティに参加し、自発的にかつ積極的に、ユーザー同士で交流を図るようになります。
「バーチャルワールド」という言葉が繰り返し出ていますが、Yay!は最終的にどういったサービスになるのでしょうか
Yay!では、自分のリアルなアイデンティティを明かさずに、自分置かれた環境以外でも友達を作りたい人、自己表現をしたい人、特定の「推し」を応援するコミュニティに参加したい人、ゲームや音楽などの同じ趣味を持つ人を見つけたい人といった様々なユーザーが生まれると考えています。それがバーチャルワールドであり、メタバースとも言えるでしょう。メタバースは決してVRゴーグルから覗くアバターのビジュアルや現実に似せた建物が並ぶ仮想現実の空間ではありません。自分のリアルなアイデンティティとは別に、バーチャルな場での自分として多くの時間を過ごし他の人と交流する空間をメタバースと考えています。
Yay!でトークンエコノミーが形成されると、Yay!はコミュニケーションを取る場所だけでなく、より人々の生活の一部として存在することになります。

Yay!のメタバースを実現するためには具体的にどのようなステップが必要と考えていますか
メタバースに欠かせないのは自律分散型のネットワークの構築です。そのために必要なステップは2つあると考えています。
まず、Yay!上で経済圏を作ること。トークンを発行するだけでなく、経済を継続的に巡らせるためには、流動性が必要です。継続的に売りと買いが起こるトークノミクスの設計が必要です。そのための施策の一つは先ほど述べた通り、コミュニティへの貢献にトークンを付与することでユーザーの継続的なコミュニティへの参加を促します。
次のステップとしては、この経済圏を支える人を増やすことです。一般利用者にとって暗号資産やNFTを購入するのには、言語の問題や複雑な設定、高額な手数料など、初心者にとっての入り口が狭く、体験のハードルが非常に高いものとなっています。さらに、NFTを保有する価値の意味や用途が曖昧になると、ユーザーに十分に理解されず、一般利用者の拡大が難しくなっています。
Yay!は、この二つのステップを行い、いつもの通りYay!内でユーザーと交流を楽しむことをコミュニティ貢献の価値として認め、トークンによる経済圏を作ります。暗号資産やNFTの初心者でも複雑な業界の専門知識や多くの投資資産を要することなく、Yay!を利用する体験の楽しさと価値交換の可能性をユーザーが簡単に理解できるようにすることで、Yay!のコミュニティ全体で自然にトークンを利用する未来を作っていきます。
web3市場は今後どのように成長すると思いますか
web3市場は、まだ黎明期です。インターネットの普及により多くのイノベーションが起こり僕たちの生活を変えたように、Ethereumや他のプラットフォーム上のプロジェクトのトークンを中心とした経済圏の準備が進みます。その動きに連動して、トークンやウォレットなどがコミュニティを通じて一般層に浸透します。つまり、皆が知らない状態から知っている、あるいは、触れたことがあるという状態になります。DeFiのような断片的な金融機能だけでなく、サービスと融合した経済圏がいよいよ誕生していきます。
複数のGameFiやアプリでは、トークンやNFTの活用が増えてます。今までは、結果的に投機目的のユースケースが散見されましたが、今後は先に入った利用者が利潤を得て後発の利用者が損をする構造ではない、投機以外のユースケースとして斬新なトークノミクスが登場するため、これに伴う利用者の学習が進んでいきます。DeFiや他のサービスとも密な連携が進んでいくでしょう。その一端をYay!が担っていきます。
今後のビジョンを教えてください
Yay!は自分の素を出せるコミュニティを形成し、「すべての人に居場所を」提供することを目指しています。それはYay!を通じて人々が会話をしたりレターを送ったり交流することでお金を稼ぎ、現実世界とは別にバーチャルワールドでも生活できるようになるということです。
昨年に国内最大級の暗号資産取引所であるBitFlyer社とIEOに向けた業務提携を発表しました。今後、NFTの販売とトークンの発行によるサステナブルな経済圏の形成に注力し、コミュニティの拡大を実現していきたいと考えています。そして、ユーザーが「好きなことで、生きていく」未来を作りたいと考えています。これにより、Yay!はSNSの「ゲームチェンジャー」になると確信しています。
HEDGE GUIDE読者へのメッセージ
暗号資産の市場は近年拡大し続けているなか、暗号資産の活用方法、つまりユーティリティが少ないことも事実です。しかし、今後必ず、メタバースが暗号資産のユーティリティになると考えています。そのためには人々に本当に毎日使われるようなメタバースである必要があり、Yay!はすでに確立している本物のコミュニティを今後も拡大しながら、真のメタバースを実現したいと考えています。まずは、ぜひYay!で人との交流をお楽しみください。
【Yay!の公式サイト(ウェブ版)】https://yay.space/
【Yay!のダウンロードはこちら】https://yay.onelink.me/jqva/press
【Yay! YouTube公式】:https://youtu.be/495IGRgRHFE
【Yay! X 公式】:https://twitter.com/Yay_jp

HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

最新記事 by HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム (全て見る)
- 独driveMybox、ブロックチェーン企業IBEXUSと提携し炭素排出量データ検証の確立へ - 2023年12月4日
- 専門家が考える日本のカーボンクレジットの動向と課題【日本カーボンニュートラル機構 インタビュー】 - 2023年11月30日
- Toucan、カーボンオフセットプロセスの簡素化ヘルパーツール「Offset Helper」を導入 - 2023年11月16日
- Vechain、気候変動支援プラットフォームAWorldと提携 - 2023年11月10日
- シンガポールChintai、脱炭素化ソリューションDNZ Venture Globalとの提携を発表 - 2023年11月8日