ビットコイン半減期後の注意事項をおさらい。Redditが投稿者に独自トークンの付与を開始 − 1週間の重要ニュース(5/11~5/17)

今回は、5月11日〜5月17日の1週間で報じられた重要ニュースについて、田上智裕氏(@tomohiro_tagami)が解説したコラムを公開します。

目次

  1. ビットコインが3度目の半減期を迎える
  2. PMorganが暗号資産事業者を初めて顧客に迎え入れる
  3. GMOが独自ステーブルコインGYENを準備
  4. 17億ドルを調達したTelegramがプロジェクトを完全放棄
  5. Redditが報酬として独自トークンを発行

今週(5月11日〜5月17日)の暗号資産・ブロックチェーン業界は、5月12日に迎えたビットコインの半減期で市場が大いに賑わいました。その他にも国内ではGMOが、海外ではJPMorganやTelegram、Redditといった著名企業が動きをみせています。

ビットコインが3度目の半減期を迎える

2020年5月12日の午前4時23分、ビットコインが第63万ブロックの形成に成功し、3度目の半減期を迎えました。当該ブロックを形成(マイニング)したのは、Bitmainグループのマイニング事業者AntPoolとなっています。

3度目の半減期を経過したことで、マイニング報酬は12.5BTCから6.25BTCへと半減しました。なお、次回の半減期は21万ブロック後であり、平均10分に1度のブロック形成が問題なく進む場合、2024年5月に迎えることになります。

これまでの2回と変わらず、半減期直後の大きな価格変動は発生していません。半減期については、約1ヶ月前より価格に影響が出始めるとされており、経過後は緩やかに上昇する傾向が分析されています。

そのため、注目すべき点としてはハッシュレート(採掘速度)があげられます。半減期によりマイニング報酬が半減するため、マイナーたちの損益分岐点は著しく上昇します。なぜなら、マイニングに必要なコストが変わらないのに対して報酬が半減するからです。

すると、マイニング事業から撤退するマイナーが相次ぎハッシュレートが低下します。ハッシュレートの低下はネットワークの集権性を表す(マイナーの数が減る)ため、セキュリティの懸念が発生したりトランザクション処理が遅延したりといった問題が浮上するのです。

ビットコインのハッシュレートは、歴史を重ねるごとに上昇し続けてきましたが、半減期直後は過去いずれも下落傾向にありました。そのため、再び上昇傾向に入るまでは注意が必要なのです。

なお、ハッシュレートはディフィカルティ(採掘難易度)によって調整されます。ビットコインの場合、2016ブロックごと(約2週間)にディフィカルティが調整され、ハッシュレートに影響を与えることになります。つまり、直前の2週間のハッシュレートが低い場合、翌2週間のディフィカルティが高くなるのです。(採掘速度が速い場合は採掘難易度を高くして調整するということ)

このようにして、ビットコインネットワークは非中央集権制を維持し、平均10分に1度の頻度でブロックが形成されるようになっています。

また今回の半減期に合わせて、イーサリアムの大口保有者の数が減少したことが話題となりました。ブロックチェーン関連のデータ分析企業Glassnodeによると、ビットコインの半減期による価格上昇を期待してか、半減期前から1万ETH(約2億円)以上を保有するウォレットアドレス数が減少したといいます。

そしてETH大口保有者数の減少と同じタイミングで、1万BTC(約100億円)以上を保有するウォレットアドレス数が増加したことも明らかにされています。つまり、イーサリアムの大口保有者がビットコインに資産を移したのではないかと考えられるのです。

ビットコイン半減期は、約4年に1度の出来事であることから毎度多くの注目を集めています。半減期は、その時点で何かが起きるわけではありませんが、先述したように半減期後にディフィカルティ調整が行われるまでは、引き続き注目しておくことを推奨します。

【参照記事】半減期!ビットコイン新規発行数が半減 BTCマイナーへの影響は?
【参照記事】イーサリアムの「くじら」、ビットコインに移行か?──大量保有者アドレスが減少
【参照記事】The Bitcoin halving 2020 just happened: Here’s what you missed

JPMorganが暗号資産事業者を初めて顧客に迎え入れる

米国金融大手のJPMorgan Chaseが、暗号資産取引所CoinbaseとGeminiに対してサービス提供を始めたことが明らかになりました。これは、同行における初の暗号資産事業を運営する顧客です。

JPMorganのCEOを務めるJames Dimon氏は、これまでビットコインを含む暗号資産に対して懐疑的な発言を繰り返してきました。しかし、実需が伴うにつれて自身の見解にも変化が生じたといいます。

同行は2社に対して、電信送金と自動清算機関(ACH)による入出金の機能を提供すると公表されています。加えて、取引所の現金管理サービス体制もサポートしていくとのことです。

今回のJPMorganによる決定は、世界各国で広く報じられました。大手金融機関に、暗号資産事業者が顧客として受け入れられただけの出来事ではありますが、暗号資産業界は大手金融機関から避けられ続けてきた過去があります。

ビットコインが誕生してから10年、暗号資産がようやくウォールストリートに認められつつある証拠だといえるでしょう。

【参照記事】JPモルガン、暗号資産取引所を初めて顧客に:WSJ
【参照記事】JPMorgan Extends Banking Services to Bitcoin Exchanges

GMOが独自ステーブルコインGYENを準備

GMOインターネットグループは、以前より実証実験に取り組んでいたステーブルコイン「GYEN」を5月中にローンチする予定であることを明らかにしました。

価格変動の少ないステーブルコインであるGYEN(GMO Japanese YEN)は、日本円と価格が連動するよう設計されています。実証実験は2019年12月より開始されており、同社の海外ブランド「Z.com」を通して海外で提供される予定です。

GMOはグループ全体を通して、ブロックチェーンの主要領域である「交換」「マイニング」「決済」への参入を表明し続けてきました。「交換」と「マイニング」については既に参入済みであり、残る「決済」への参入を独自ステーブルコインGYENで目指すと説明しています。

なお、今後の事業の見通しについては、既存のマイニング拠点を6月中に完全撤退し、別拠点で再稼働させると発表しました。これにより、大幅に電力コストが削減され、他の領域への投資に回すことができるとしています。

【参照記事】2020年12月期 第1四半期決算説明会動画
【参照記事】GMOインターネット、日本円連動の仮想通貨「GYEN」5月にも当局認可を予定

17億ドルを調達したTelegramがプロジェクトを完全放棄

匿名メッセージングサービスのTelegram(テレグラム)が、開発中の独自ブロックチェーンTON(Telegram Open Network)と暗号資産「グラム(Gram)」のローンチを完全に放棄する方針を発表しました。

Telegramは、2018年にICOで調達した資金17億ドルの72%を投資家に返還する方針であることを、4月末に発表したばかりでした。

CEOを務めるPavel Durov氏によると、米国証券取引委員会(SEC)による提訴が原因だといいます。Telegramが実施したICOは、未登録業者による証券の販売行為だとみなされてきました。この裁判に出口がみえず、4月末の資金返還の発表を経て今回の決定に至ったのです。

Durov氏はまた、米国以外でもTONおよびGramをローンチできない理由について次のように述べました。「現在の金融産業は、国を問わず米国の法的基準に依存している状態が続いている」。つまり、米国での法規制をクリアできない限り、世界中でサービスを提供することは困難であると表明しているのです。

【参照記事】テレグラムがブロックチェーンプラットフォームTONの開発中止を発表
【参照記事】What Was TON And Why It Is Over

Redditが報酬として独自トークンを発行

人気掲示板サイトReddit(レディット)が、ユーザーがサイト上で投稿したコンテンツに対して付与する報酬に、イーサリアムの共通規格ERC-20によって発行される独自トークンを使用すると発表しました。このトークンは今後「コミュニティポイント」として利用される予定です。

Redditは、日本の2ちゃんねるのように無数のスレッドから構成されるサービスで、英語圏を中心に約4億3000万ものユーザー数を誇ります。今回の独自トークン発行に際しては、「/r/Cryptocurrency」と「/r/FortniteBR」という2つのスレッドで、β版という位置付けで行うとしています。

前者は文字通り暗号資産に関するスレッドであり、投稿者に付与されるトークンは「MOONSトークン」という名称です。後者は、世界的に人気のバトルロワイヤルゲーム「Fortnite(フォートナイト)」に関するスレッドで、「BRICKSトークン」という名称で付与されます。

Redditは、イーサリアムを選んだ理由としてプラグラム可能なトークンを発行できるスマートコントラクト機能が搭載されているため、と説明しています。また、「Vault(ヴォールト)」という新システムも合わせて登場しました。これは、Reddit上で発行される2つのトークンを管理するためのプラットフォームだといいます。

先述したRedditにおける暗号資産掲示板とFortnite掲示板には、それぞれ約100万人と約130万人の利用者が存在します。そのため、Redditの独自トークンは急速に普及することが期待できそうです。

【参照記事】Reddit:コミュニティポイントとして「仮想通貨」発行へ|掲示板利用者に報酬を付与
【参照記事】Reddit to launch Ethereum-based tokens for cryptocurrency and Fortnite subreddits

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。