2020年の仮想通貨どうなる?今後の重大予想とブロックチェーン業界のおさらい

Libraの発表やDeFiの盛り上がりなど、暗号資産・ブロックチェーン業界は2019年も大いに注目を集めました。本記事では、2019年の起きた主要トピックを振り返ると共に、2020年の展望についても触れていきたいと思います。

既に決まっているトピックから、歴史を振り返ることでみえてくる重大予測など、2020年を迎えるにあたり業界を先取りしておきましょう。

目次

  1. 2019年振り返り(グローバル編)
    1-1. Facebook主導の暗号資産Libraの登場
    1-2. 中国国家主席の発言とDC/EPの発表
    1-3. インターオペラビリティ系プロジェクトの台頭
  2. 2019年振り返り(日本編)
    2-1. 世界最大級のイーサリアムカンファレンスDevcon開催
    2-2. 改正資金決済法と改正金融商品取引法の可決
    2-3. DeFi元年とStaking元年
  3. 2020年予測(グローバル編)
    3-1. トラベルルールの実行
    3-2. ビットコイン半減期の到来
    3-3. VCマネーの再流入
  4. 2020年予測(日本編)
    4-1. 楽天やZホールディングスなど国内大手企業の参入
    4-2. ステーブルコインの上場
  5. まとめ

2019年振り返り(グローバル編)

Facebook主導の暗号資産Libraの登場

2019年に最も世間を賑わせたニュースといえば、Facebook主導の暗号資産Libraがあげられます。Libraはステーブルコインと呼ばれる価格変動の少ない暗号資産の一種です。価格変動の激しいビットコインなどの暗号資産に代わり、グローバルで使える統一通貨を目指すプロジェクトで、Libra協会と呼ばれる団体によって運営されます。

発足当初、団体メンバーにはebayやSpotify、Uber、MasterCard、coinbase、a16z、Booking Holdingsなど、計28の企業・機関が参画を表明していました。しかし、各国規制の影響から2019年中にPayPalやVisa、MasterCardといった企業が次々と脱退し、当初予定していたプロジェクトローンチの時期を延期する可能性も示唆しています。

中国国家主席の発言とDC/EPの発表

2019年10月に、ビットコインの価格が1ヶ月ぶりに1万ドルを突破し、24時間の上げ幅も20%を超えました。この値上げの要因となったのが、習近平中国国家主席のブロックチェーンに関する発言です。

習近平氏は、中国中央政治局委員会集合会合という特別な場で、ブロックチェーンを国家レベルの中核技術に認定することを発表しました。この会合は、国家政策を決めるための組織である、中央政治局委員会のメンバーが一同に会する非常に重要な勉強会です。これまでにこの会合で特定の技術が言及されたのは、ビッグデータと人工知能のみとなっており、いかに重大な出来事であったかは理解に容易いことでしょう。

また、中国人民銀行でもデジタル通貨DC/EPの構想を発表しました。先述したLibraに対抗する形での発表となり、米中貿易戦をはじめとする覇権争いに拍車をかけています。

インターオペラビリティ系プロジェクトの台頭

暗号資産の根幹を支えるブロックチェーン技術に関しても、2019年は大きな進歩が見受けられました。最も目立った動きとしては、インターオペラビリティ問題への取り組みだといえるでしょう。

ブロックチェーンが長年抱える課題の一つに、「相互互換性、相互運用性」を意味するインターオペラビリティ問題と呼ばれるものがあります。一口にブロックチェーンといっても、ビットコインやイーサリアムといったプロトコルが多岐に渡ります。現在のインターネットにTCP/IPやHTTP、FTPなどのプロトコルが多数存在するのと同じです。インターネットの場合、下位レイヤーによってプロトコルのインターオペラビリティが保証されていますが、黎明期であるブロックチェーンはそうではありません。従って、例えばビットコインを直接イーサリアムで取り扱うことができないのが現状です。

このインターオペラビリティ問題を解決するプロジェクトとして、COSMOSが2019年3月にメインネットへローンチされました。さらに、イーサリアム共同創業者であるGavin Wood氏率いるPolkadotの台頭も著しく、2020年もこの領域からは目が離せません。

2019年振り返り(日本編)

世界最大級のイーサリアムカンファレンスDevcon開催

ブロックチェーン業界には、大規模な国際カンファレンスがいくつか存在します。中でも、イーサリアムの開発者向けカンファレンス「Devcon」には、世界中から多くの参加者が集います。これまでにイギリスや中国、メキシコ、チェコで開催され、2019年10月には日本で開催されました。

Ethereum Foundationによる最新の開発状況や、コミュニティ支援の共有、DAppsプロジェクトによるライトニングトークなど、恐らくは最初で最後の日本開催ということもあり、会場は大変な熱気に包まれました。

改正資金決済法と改正金融商品取引法の可決

日本国内における2019年の最重要トピックは、改正資金決済法および改正金融商品取引法の可決でしょう。2019年5月に可決されたこれらの法案では、主に次のような項目が定められています。

  • 「仮想通貨」や「暗号通貨」といった異なる呼称を「暗号資産」に統一
  • 暗号資産交換業を営む上で、顧客の暗号資産をコールドウォレットで管理することの義務化
  • 収益分配性のあるICOによって発行されたトークンは、金融商品取引法の規制対象であることの明確化
  • 顧客の資産を預かるカストディ業者に対する、顧客の本人確認や資産の分別管理の義務化

これらの法案は、2020年中の施行が予定されています。

DeFi元年とStaking元年

2019年は、「DeFi」および「Staking」元年だったといえます。2017年から2018年にかけて世界のブロックチェーン先進国で話題となったこれらのトピックが、ようやく海を渡ってきました。

DeFiとは、分散型金融を意味するDecentralized Financeの略で、ブロックチェーンを活用した金融領域における取り組みを意味します。元々は金融技術として誕生したブロックチェーンとの相性が良く、近年急速に勢いを増しています。

一方のStakingは、PoS(プルーフオブステーク)のコンセンサスアルゴリズムを使ったプロジェクトにおける、バリデーターになることで報酬を得る仕組みを意味します。PoW(プルーフオブワーク)におけるマイナーと同様の役割を、PoSではバリデーターと呼びます。このバリデーターになることで、マイナーのように報酬を得ることができるため、ブロックチェーン領域における新たなマネタイズ手法として、世界的にも大きな注目を集めているのです。

2020年予測(グローバル編)

トラベルルールの実行

2020年に動きがみられるであろうトピックの中で、最も注目すべきなのがトラベルルールです。重大なテーマにも関わらずあまり認知されていない印象を受けます。

トラベルルールはFATF(金融活動作業部会)が定義する規制の一つで、各国の暗号資産関連事業者(VASP:Virtual Asset Service Provider)が対象になります。具体的には、VASPにおける暗号資産の送受金に対して、送り主と受取人の個人情報を相互に記録することを規定したものです。トラベルルール自体は暗号資産に限ったものではなく、1996年より制定されています。FATFからの勧告は事実上絶対的な効力を持っているため、2019年の論点はこの規定をどのように実行するか、という点に絞られていました。

2020年中に、トラベルルールへの対応方法が明確になると予想され、内容次第では暗号資産の持つ「金融プライバシー」が失われることになりかねません。また、トラベルルールへの対応は非常に多くの時間と費用が必要になるため、暗号資産交換業のビジネスが大企業だけのものになってしまう点にも、イノベーションを阻害する恐れがあるといえるでしょう。2019年に日本で盛り上がりをみせたDeFiへの影響も、避けては通れない可能性があります。

ビットコイン半減期の到来

暗号資産の価格変動に関するトピックとして、最も注目されているのがビットコインの半減期です。ビットコインはマイニングによって新規発行されますが、インフレ防止策として一定期間ごとに新規発行量を半分にするアルゴリズムが組み込まれています。この一定期間のことを半減期といいます。この半減期によって、新規発行されるビットコインの数量が半分になるため、当然、価格変動に大きな影響を与えます。

前回の半減期は2016年に訪れ、約4年振りであることから今回も大きな注目を集めることになるでしょう。

VCマネーの再流入

イーサリアムのローンチによって2017年に発生したICOバブルですが、近年は法整備も進み影を潜めています。そんなICOの話題が、間接的に復活することが予想されるのが2020年です。

2017年に多発したICOプロジェクトの中で、一握りの真っ当なプロジェクトが2020年のローンチを予定しています。そこで考えられるのが、ローンチによって手にしたキャピタルゲインの再流入です。これにより、米国を中心として初期の頃よりブロックチェーン領域に投資していたVCが資金を回収し、新たな投資を行うことが予想されます。数年冷え込んでいた業界に、2020年は少しずつ活気が戻ってくることになりそうです。

2020年予測(日本編)

楽天やZホールディングスなど国内大手企業の参入

欧米や中国に遅れを取ること数年、日本からも大企業の本格参入が始まっています。2019年は暗号資産交換業を中心にその兆候が垣間見えました。例えば、楽天傘下の楽天ウォレットやZホールディングス傘下のTAOTAO、インターネットイニシアティブが大株主のDeCurretなどがあげられます。

また、大手金融機関の主導するコンソーシアムの取り組みも増えつつあり、2020年は引き続き大企業の資本流入が期待できる年になるでしょう。

ステーブルコインの上場

最後に、2020年にはステーブルコインの上場が予想されます。MakerDAOの発行するDaiやLibraをはじめとするステーブルコインは、海外の取引所には以前より多数上場しています。取引手数料を収益源とする取引所としては、取り扱うメリットが少ないステーブルコインですが、顧客資金の避難先として有効な手段となり得ます。例えば、ビットコインやイーサリアムといった主要資産の価格変動が激しい場合に、法定通貨に戻すのではなくステーブルコインに逃しておくことで、利用者は余計な手間をかけずにリスク管理ができるようになります。また、取引所としても法定通貨に換金されて外部へ資金が流出してしまうよりは、自社の取引所内に資産を留めておくことができるのです。

まとめ

2019年も、2018年に続き日本を含む世界中の取引所で多くのハッキング事件が起きてしまいました。これらの悪影響は想像に容易く、実際にFATF勧告や各国規制を強める要因となっています。規制が強化される一方、ブロックチェーンの開発は順調に進み、金融だけでなく様々な領域での活用が進みました。

2020年には、既に予定されている重大トピックだけでなく、DeFiの盛り上がりやセカンドレイヤーの整備が期待されます。引き続き、これらのテーマを中心に注目していきましょう。

【関連記事】ビットコインとは?特徴・仕組み・購入方法
【関連記事】イーサリアムとは?特徴・仕組み・購入方法

The following two tabs change content below.
田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。