【イベントレポート】編集部が体感してみた。オンライン開催されたブロックチェーンの「未来を知る」年に一度のイベント【BlockChainJam2020】

10月24日、ブロックチェーンの「未来を知る」年に一度のイベント「BlockChainJam2020」がオンラインで開催されました。BlockChainJam2020は「ブロックチェーンがつくる新しい金融と社会」というテーマが設定され、暗号資産・ブロックチェーン技術、規制や税金、ビジネスでの活用など幅広いトピックでセッションが行われました。

BlockChainJam2020は登壇者によるYouTubeライブ生配信の他、Zoomでの登壇者とAMA(Ask Me Anything)による交流、セッションの合間にビットコインがプレゼントされるキャンペーンなど、さまざまなプログラムが用意されており、オンラインながらもイベントの活況さが伝わる内容となっていました。本記事では、当日のセッションの一部をご紹介していきます。

目次

  1. 「ブロックチェーンと貨幣の今後を考える」
  2. 「DeFiて何が面白いの?」
  3. 「BlockchainのSDGsへの活用について」
  4. 「ブロックチェーンを国家戦略に」
  5. 編集部後記

「ブロックチェーンと貨幣の今後を考える」

このセッションでは、東京大学大学院 経済学研究科教授 柳川 範之 氏がスピーカーを務め、ブロックチェーンの概要からブロックチェーンが可能にするマネーの新しい姿について、セッションが行われました。

ブロックチェーンの特徴である「改ざん耐性」と「参加者が同時に記録を見ることができる」という2つの特性は、コンテンツ取引のあり方などに新しいビジネスの機会を生み出し、経済やビジネスの環境を大きく変化させると冒頭で説明がされました。一般的にブロックチェーンがもたらす未来というと、柳川教授が最初に説明をしたように「5Gの普及によるIoT進展がリアルな活動データを把握可能にし、そのデータをブロックチェーンに記録しておくことでさまざまな変化が起こる」という内容であることが多いですが、本セッションではより大きな可能性について言及されているのが印象的でした。

セッション後半で触れられたブロックチェーンを活用したマネーの可能性では、これまで金銭取引が難しかった地域の貢献活動やファンとしての熱意をトークン・コイン化し、こうした「貢献」を物々交換するというトークンエコノミーについて語られました。価値の交換には「財の移転を記録し、どこかで帳尻を合わせられればいい」のであって、ブロックチェーンを活用することができれば今のような「貨幣」は必ずしも必要なく、金銭取引を超えた新しい可能性が生まれると説明されていました。この主張は理想論的な部分があるという趣旨の発言もあったものの、地域通貨のあり方や可能性について、貨幣の本質から説明されていたことで納得感のある内容となっていました。

「DeFiて何が面白いの?」

このセッションでは、Kyber Network Japan Managerのhory氏がファシリテーターとして、Maker Foundation・日本地域リーダーのキャサリン チュウ氏、HEDGE GUIDEにも寄稿をいただいている信玄(Shingen)氏がスピーカーとして参加、DeFiの魅力や将来の姿について、グループディスカッションが行われました。

セッションでは、昨今のDeFiブームからDeFiが危険なマネーゲームとして誤解されているとしながら、DeFiがもたらすボーダレスな世界観や自律分散型な仕組みの魅力について説明されました。中でも、「ハイパーインフレの国ではドルの購入制限があるため、資産を保全する目的でビットコインやイーサリアムを購入する。世界中どこにいても公平に金融にアクセスできる」というDeFiのメリットは、DeFiの存在意義として誰もが共感しやすいものであると思いました。また、DeFiでは、インターネットにさえ繋がれば身分に関係なく、優れた利率で資産運用をできる、そしてどうやって利率が設定されているかも知ることができるという特徴についても説明されました。

興味深かったことは、今までできていなかったDAO(自律分散型組織)がワークする土台が整ったという発言で、ガバナンストークンの「成功」によって中央集権的な管理の必要なくコミュニティとガバナンスでプロダクトがワークすることが証明されたという話も出ました。

「BlockchainのSDGsへの活用について」

このセッションでは、株式会社グラコネの代表取締役の藤本 真衣 氏がスピーカーを務め、暗号資産を活用した寄付の事例についてセッションが行われました。

現状の寄付制度は、集まったお金が誰の役に立っているかわからないという問題があり、2014年での調査で6.7%あった寄付への信用度が2016年には5.7%にまで下落していることが紹介されました。こうした背景には、集まったお金の使用用途の不透明性以外にも、広告宣伝費や活動費に寄付金が使われるのが嫌という声も挙がっていると言います。

こうした中、暗号資産を活用した寄付団体が誕生し始め、最近では偶発的な自然災害などへの緊急募金として活用されるケースも増えてきたことが紹介されました。セッションでは、暗号資産取引所Binanceが設立したバイナンスチャリティ財団の寄付活動として、西日本豪雨支援対策やウガンダのための子供の特別インパクト教育プロジェクトの実績が一例として挙げられていました。直近では、コロナで苦しむ人達が増える中、日本を含む26か国の国々に支援する「#CryptoAgainstCovid」にも取り組んでいるとのことでした。

「ブロックチェーンを国家戦略に」

このセッションでは、株式会社bitFlyer共同創業者、株式会社bitFlyer Blockchain 代表取締役の加納 裕三 氏を務め、同氏が取り組むブロックチェーン技術の普及・啓蒙のための活動についてセッションが行われました。

セッションでは、2020年2月の広島県がJBA(一般社団法人 日本ブロックチェーン協会)に参加したことや、2020年10月に平井卓也デジタル改革相を訪問した際の「ブロックチェーンを国家戦略に」という要望の紹介が行われました。この要望は、ブロックチェーン特区の創設、CBDCの試験導入、行政システムのブロックチェーン化、を軸にしたもので、世界各国で進む政府主導のブロックチェーンへの取り組みに日本が遅れを取りつつある現状に警鐘を鳴らしました。

また、セッション内ではこうした活動に伴って寄せられたさまざまな疑問に対する加納 氏の考えも紹介され、ブロックチェーンへのネガティブな反応についても「ブロックチェーンで解決する意義があるものにブロックチェーンを使うべき」「ブロックチェーンだからこそ解決できる課題もある」と伝え、今のブロックチェーンは暗号資産ブームが起きる前の暗号資産の状況と同じ印象を受けると述べていたことが印象的でした。

編集部後記

今回ご紹介した内容はイベントのごく一部ではありますが、当日の雰囲気が少しでも伝われば幸いです。ブロックチェーンというとビットコイン、そしてビットコインといえば良くも悪くも価格変動の激しい投資アセットという印象を持たれている方も多いと思いますが、実際にはビットコインはひとつの事例であり、ブロックチェーンはさまざまな領域で活用することができます。幻滅期にあるとされるブロックチェーンですが、しっかりと着実に普及に向けた動きがあることやそこに取り組む方がいることが実感できるイベントでした。

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HEDGE GUIDE 編集部 暗号資産・ブロックチェーンチーム

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HEDGE GUIDE 編集部 暗号資産・ブロックチェーンチームは、暗号資産投資やブロックチェーンなどフィンテックに知見が深い編集部メンバーで構成。最新のニュースやコラム、暗号資産に関する基礎知識を初心者向けにわかりやすく解説しています。