【重要ニュースまとめ(8/28~9/3)】楽天がNFT市場に参入、ガートナーのハイプサイクルや国内業界団体の事業計画にもNFTに言及

今回は、8/28~9/3の暗号資産・ブロックチェーン業界重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. 初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
    1-1. 楽天がNFT市場への参入を発表
    1-2. JCBAが2021年度事業計画を公表
    1-3. DeFiの利用が進む国ランキング
  2. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★☆】
    2-1. ハイプサイクル2021が公開、DeFiやNFTが登場
    2-2. Axie Infinityで得た収益は所得税の対象に
  3. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★★】
    3-1. イーサリアムのメインチェーンでフォークが発生
    3-2. a16zが保有するトークンの委任体制を説明
  4. まとめ、著者の考察

初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】

楽天がNFT市場への参入を発表

楽天がNFT市場への参入を発表しました。来春にもNFTマーケットプレイス事業を開始するとしています。

子会社の楽天ウォレットにて暗号資産取引所事業を展開している楽天ですが、今回の発表でNFT事業の開始へ向けて準備を進めていることがわかりました。楽天ポイント経済圏として知られる他の事業とも連携させるとし、決済には楽天IDも使用できるようにするといいます。

国内のNFTマーケットプレイス事業には、すでにGMOやメルカリ、LINEといった大手IT企業が参入を表明しています。また、楽天市場とも競合するShopifyもNFTの発行・販売機能をローンチするなど、楽天を取り巻く環境は決して簡単なものではありません。

イーサリアムを基盤とするNFTはグローバルが前提となっており、OpenSeaやRaribleといった海外勢との競争にもなりそうです。

【関連記事】楽天がNFT市場に参入、マーケットプレイス「Rakuten NFT」を来春開始

JCBAが2021年度事業計画を公表

一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が、今年度の事業計画を発表しました。業界の知見集約や暗号資産の有用性発信、市場拡大へ向けた提言などに注力するとしています。

JCBAは、主に暗号資産取引所によって運営される業界団体です。過去には税制改正への提言を公表するなど、日本国内における暗号資産市場の発展に貢献してきました。

今年度の事業計画としては、特に市場発展のための啓蒙活動や提言を意識したものとなっています。加えて、ステーブルコインやDeFi、NFTといった新興市場にも注力する方針を固めています。

また、海外では機関投資家の暗号資産市場への参入が相次いでいることを受け、日本でも機関投資家を誘致するための課題解決などをテーマとして明記しました。

【関連記事】業界団体JCBAが2021年度事業計画の重点テーマを公表、NFTやステーブルコインの発展も目指す

DeFiの利用が進む国ランキング

ブロックチェーン分析企業Chainalysisが、過去1年半でDeFiの利用が進んだ国ランキングを発表しました。暗号資産の利用が進んだ国ランキングと比較すると、DeFiは先進国での普及が進む結果となっています。

ランキングで上位を占めたのは、1位アメリカ、2位ベトナム、3位タイ、4位中国、5位イギリスです。これは、先進国で暗号資産の規制が強化されたことが原因であるとされ、規制が未整備となっているDeFi市場に資金が流れたと分析されています。

また、DeFi取引全体の60%が1,000万ドルを超える大規模取引となっている点も指摘され、機関投資家のDeFiへの参入が顕著であることがわかります。

先述のJCBAの事業計画にあった通り、日本ではこれから暗号資産市場への機関投資家の参入を促すフェーズですが、米国ではすでにDeFiへの参入が始まっています。日本は、暗号資産市場の拡大を待たずに、並行してDeFi市場の拡大も促進していくべきかもしれません。

【関連記事】DeFiの利用が進む国ランキングが公開、暗号資産の普及度ランキングとの興味深い違いも

初心者向け主要ニュース【難易度:★★☆】

ハイプサイクル2021が公開、DeFiやNFTが登場

ガートナーが先進テクノロジーのハイプサイクル2021年版を公開しました。毎年更新されるハイプサイクルは、今後のテクノロジーの普及度合いを予測する重要な指標として用いられており、今年は「DeFi」や「NFT」などのワードが新たに追加されています。

2020年版では、「ブロックチェーン」や「非中央集権型アプリケーション」、「ブロックチェーンによるトークン化」といったワードが記載されていましたが、2021年版ではこれらすべてが記載されなくなっています。

代わりにDeFiやNFTが追加され、ブロックチェーンが概念ではなく具体の市場に落とし込まれつつあることを伺わせています。

なお、DeFiとNFTはハイプサイクルにおける2つ目のフェーズに分類されており、現在は過度な期待のピークにあるとされました。今後、幻滅期を経て市場に定着するか試されるフェーズへと入っていきます。

【関連記事】ガートナーがハイプ・サイクル2021を公開、「DeFi」「NFT」「DID」が初登場

Axie Infinityで得た収益は所得税の対象に

フィリピンやインドネシアなどの経済新興国で人気のブロックチェーンゲームAxie Infinityが、フィリピン財務省により課税対象として注視されていると報じられました。

「Play to Earn」として注目を集めるAxie Infinityですが、ゲーム内で得た収益は、フィリピンでは所得税の課税対象になるようです。Axie Infinityを通して獲得される収益は、現在平均で1,200ドルとなっており、これはフィリピンにおける最低賃金の5倍以上に相当するといいます。

フィリピン財務省によると、国内の財源をもとに発生した収益は、国内では当然課税対象になるとのことです。Axie Infinityでは、ゲーム内で獲得した独自トークンSLPを、法定通貨に換金できる仕組みが備わっています。

米国でもインフラ法案によって暗号資産市場への税制強化が予定されていますが、直接的に金銭が関係してくる市場なだけに、税制との兼ね合いは常に隣り合わせになると言えるでしょう。

【関連記事】ブロックチェーンゲーム「Axie Infinity」で得た収益は課税対象、フィリピン財務省見解

初心者向け主要ニュース【難易度:★★★】

イーサリアムのメインチェーンでフォークが発生

イーサリアムでメインチェーンが一時的にフォークする事態が発生しました。全体の74.6%のシェアを持つクライアントGethのアップデートが原因だったようです。

今回のフォークは、Gethのアップデートにノードの大部分が対応していなかったことが原因です。旧バージョンにバグが見つかったことから、新バージョンへのアップデートを行なったものの、ノードにうまくアナウンスすることができず、アップデートが遅れてしまいました。

その結果、旧バージョンと新バージョンとでマイニングするチェーンが分かれてしまい、メインチェーンがフォークしてしまったのです。

イーサリアムネットワークでノードを立てるには、GethやOpen Ethereumなどのクライアントを使用する必要があります。全体の74.6%のノードがGethを利用しており、以前よりイーサリアムがGethに依存している状況は課題として指摘されてきました。

開発が進むイーサリアム2.0でも、マルチクライアントでのリリースが前提とされるなど、実態としての分散化へ向けて対策が施されています。

【関連記事】イーサリアムでフォーク(分岐)が発生、主要クライアントのアップデート対応が遅れる

a16zが保有するトークンの委任体制を説明

a16zがトークンデリゲーションプログラムの詳細をブログで発表しました。例として、すでにデリゲートしているCompound(COMP)とUniswap(UNI)の内訳を公開しています。

これまでに3つの業界特化型ファンドを組成し、多くのトークンへ出資してきたa16zですが、トークンの多くの保有していることからガバナンスの集権性を指摘する声も出ていました。

a16zによると、トークンの多くは第三者へデリゲートすることで運用していくといいます。デリゲート先には、大学運営の「Stanford Blockchain Club」や「Blockchain at Columbia」、非営利団体の「Kiva」や「Mercy Corps」などがあげられています。

ブログでは、トークン保有者とデリゲーターとが独立して運営に参加する必要がある点を強調しています。つまり、a16zがデリゲート先(デリゲーター)に影響を与えるような関係にあってはならないということです。

a16zは、デリゲート先を選択する際に、「プロトコルへの貢献度」「専門的な知識」「a16zからの独立性」の3点を軸にしていると説明しました。

【参照記事】Open Sourcing Our Token Delegate Program

まとめ、著者の考察

今週は、楽天のNFT市場への参入やガートナーのハイプサイクル、イーサリアムのフォークなどが話題となりました。国内でもNFT市場が引き続きの盛り上がりを見せている一方で、ガイドラインの作成などルール整備にスピード感を出していく必要がありそうです。

Chainalysisの分析結果やa16zの取り組みも出てきたように、米国では日本とは段違いのスピードで業界の最先端となる動きが登場しています。DeFiなども含め、日本発のプレイヤーを増やしていかなければなりません。

そういった意味では、イノベーションを促進するための適切な規制を整備したり、情報交換をスムーズに行うための環境づくりなども必要になると言えそうです。

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。