【重要ニュースまとめ(11/12~11/18)】バイデン政権が人事を発表。暗号資産業界への影響は?ビットコインが3年ぶりの高値を更新

今回は、11月12日〜11月18日の暗号資産・ブロックチェーン業界の重要ニュースについて、田上智裕氏(@tomohiro_tagami)から寄稿していただいたコラムをご紹介します。

目次

  1. CBDCに関するフォーラムが開催
  2. バイデン政権が人事を発表
  3. ブロックチェーン業界のベンチャー投資が加速
  4. まとめ、著者の考察

今週(11月12日〜11月18日)の暗号資産・ブロックチェーン業界は、バイデン政権の人事発表やビットコインの価格高騰などで賑わいました。また、世界中でCBDC発行に向けた取り組みも加速しています。本記事では、1週間の重要ニュースを解説と共におさらいしていきます。

CBDCに関するフォーラムが開催

欧州中央銀行(ECB)主催の中央銀行についての年次フォーラムが開催されました。ECB以外にも米国連邦準備理事会(FRB)やイングランド銀行(BoE)も参加しています。フォーラムでは、三者のトップによる中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関するパネルディスカッションが行われました。

ECB(欧州)からはラガルド総裁が参加し、CBDCについて安く速く、安全であるならば発行を検討すべきであると発言しています。EUには既にユーロという共通通貨があるため、ラガルト氏は欧州におけるCBDCはデジタルユーロになるだろうと見解を述べました。その上で、CBDCはユーロを排除せず補完するものになるとしています。

FRB(米国)からはパウエル議長が参加しました。パウエル氏は、CBDCの文脈で世界をリードするために焦って発行を開始するのではなく、きちんとした設計で適切なタイミングを見極めることが重要だと述べています。

米ドルは世界の基軸通貨として存在している側面が強いため、世界経済および金融の安定性を何よりも重要視する構えです。米国は、CBDC発行の方針を固めてはいないものの、調査は積極的に進めています。この姿勢は日本も同じです。

BoEからはベイリー総裁が参加し、CBDCは民間が主導するステーブルコインに取って代わる可能性があると指摘しました。ベイリー氏は、以前より暗号資産に懐疑的な意見を持つ人物であり、そのスタンスは未だ変わっていない模様です。

一方で、CBDCがステーブルコインを代替する条件として、人々が銀行のような中央集権管理者の発行するデジタル通貨を信頼する必要があると述べています。

CBDCの是非に対する議論は、明らかにコロナ禍で加速しました。米国で議論になっている理由の最たるものが、中央銀行の経済政策が民間まで届いていないという状況です。日本を含め、世界中には銀行口座を有していない人々が数多く存在しています。

銀行口座を有していない場合、政府や中央銀行から給付金を届けることができません。CBDCは、この課題を解消することが期待されています。つまり、中央銀行から直接国民へ資金提供できる環境が整えることができれば、有事の際に対応しやすいのです。

【参照記事】Debate Rages on Whether a Digital Dollar Will Unleash Inflation

バイデン政権が人事を発表

先週に引き続き、今週も米国大統領選挙に関するトピックをお届けします。今回は、バイデン新政権下において明らかとなってきた人事についてです。

まずは、金融政策責任者としてCFTC(米先物取引委員会)の元会長であるゲンスラー氏が起用されることがわかりました。ゲンスラー氏は、暗号資産・ブロックチェーン推進派として知られる人物です。

2009年から2014年までCFTCの会長を務めた後、バイデン氏と共にオバマ政権に参画しデリバティブ取引に関する規制の整備に奔走しました。その後、クリントン政権で財務省の国内財務次官を務めています。

ゲンスラー氏はウォールストリートとの繋がりが最も強い人物としても知られており、今後の暗号資産・ブロックチェーン業界の発展に大きく貢献しそうです。

一方で、SEC(米証券取引委員会)の委員長として新たにバララ氏を任命するとの予想も出ています。バララ氏は、暗号資産に対して最も厳しい意見を持つ人物であり、証券法の枠組みから規制が強化される可能性も考えられるでしょう。

SECには「クリプトママ」の愛称で知られるピアース氏が理事として在籍しています。これまで暗号資産の規制緩和に多大な貢献を果たしてきた人物なだけに、ピアース氏の人事も気になるところです。

なお、新政権下における人事として、ゲンスラー氏以外にも暗号資産・ブロックチェーンに明るい人物たちの参画が明らかとなっています。特に、デジタルドルの概念を提唱したメナード氏の名前もあがっており、先述のCBDCに関する取り組みが加速しそうです。

前大統領のトランプ氏は、暗号資産・ブロックチェーンに対して懐疑的な姿勢を持っていたため、LibraやDeFiといった注目のトピックが出てきたにも関わらず、この4年間は法整備などがあまり進んでいません。一方で、バイデン政権下では先述のような人事が明らかとなっているため、新たな動きに期待が持てそうです。

【参照記事】バイデン米次期大統領の仮想通貨政策は厳しいが進展もある?

ブロックチェーン業界のベンチャー投資が加速

Web3.0やDeFiに強いアクセラレータを運営するOutlier Venturesが、2020年第三四半期における暗号資産・ブロックチェーン業界へのベンチャー投資に関するレポートを公開しました。

業界全体では約800億円が投資されており、これは第二四半期の4倍に相当するといいます。第二四半期がCovid-19の影響を大きく受けていた期間であることも関係しますが、市場には徐々に活気が戻りつつあるといえるでしょう。

具体的な投資実績は、7月が29件で2億5400万ドル、8月が24件で2億7800万ドル、9月が97件で2億2700万ドルとなりました。上昇の背景には、DeFi市場の盛り上がりがあげられます。

下図の通り、7月から始まったDeFi市場の右肩上がりは現在まで継続しており、明らかに投資額の上昇を後押ししている様子が伺えます。実際、7月には全体の72.4%を、8月には全体の62%を、9月には全体の66%をDeFiへの投資が占めていたといいます。

参照:DeFi Pulse

レポート内では、2019年と比較して2020年はベンチャーキャピタル全体の投資額が減少傾向にあることも報告されました。もちろんこれはCovid-19の影響によるものです。一方で、個人の投資家は世界経済の崩壊時に、よりリスクのある資産へ投資したくなる傾向が強いとも言及されています。

既存金融における投資商品よりも、暗号資産はまだまだリスクの大きい資産であり、そういった傾向が市場の伸びを後押ししているのではないでしょうか。本記事執筆時点(11/18)では、ビットコインが3年ぶりの高値を更新し、市場に活気が戻りつつある印象を受けます。

Covid-19への経済政策によって全世界で大量に刷られた紙幣が暗号資産市場へ流入している気配も感じるため、年末にかけて引き続きの強気相場が期待できそうです。

【参照記事】Crypto Startups Raised $759M in Q3, 3X More Than in Q2 2020
【参照記事】The Broken DeFi Hypecycle

まとめ、著者の考察

米国大統領選挙に関する報道も落ち着き、徐々に新政権に向けた動きが各地でみられてきました。暗号資産業界も当然ながら少なからず影響を受けるため、引き続き要注目のトピックだといえるでしょう。

暗号資産というと日本では金融庁のイメージが強いですが、米国ではSEC(証券取引委員会)やCFTC(米先物取引委員会)、OCC(通貨監督庁)など非常に多くの規制当局が存在感を示しています。それぞれ異なる観点から規制の整備に取り組んでいるため、可能な限り全てをカバーできるよう紹介していこうと思います。

ビットコインの価格高騰にばかり注目が集まっていますが、ブロックチェーン業界におけるベンチャー企業への投資状況も忘れてはなりません。むしろ、実用化に向けて取り組むベンチャー企業こそ、中長期的には市場の中心になる存在だといえるのではないでしょうか。

The following two tabs change content below.