【重要ニュースまとめ(11/5~11/11)】米国大統領選挙が終幕。バイデン政権下の暗号資産を考察。香港では全ての暗号資産取引が規制対象に

今回は、11月5日〜11月11日の暗号資産・ブロックチェーン業界の重要ニュースについてについて、田上智裕氏(@tomohiro_tagami)から寄稿していただいたコラムをご紹介します。

目次

  1. バイデン政権下の暗号資産
  2. 香港で全ての暗号資産取引が規制対象に
  3. イーサリアム2.0のフェーズ0がついに始動
  4. まとめ、著者の考察

今週(は、バイデン氏の勝利が報道された米国大統領選挙を中心に大きく賑わいました。香港における規制強化やイーサリアム2.0のフェーズ0リリースなど、大きなトピックが数多く出ています。本記事では、1週間の重要ニュースを解説と共におさらいしていきます。

バイデン政権下の暗号資産

日本でも多くの注目が集まった今回の米国大統領選挙ですが、暗号資産市場にも大きな影響を与えています。各メディアよりバイデン氏勝利のニュースが報道され始めた11月8日、それまで高騰し続けていたビットコインが約1,000ドルもの大幅な下落を記録しました。

これは、市場がトランプ氏の勝利を期待していたからというわけではなく、価格が一つの分岐点を迎えたためと考えてよいでしょう。実際、週明けからの株式市場の盛り上がりをみると、暗号資産市場から抜けた資金が流れ込んでいるといえそうです。

トランプ政権は、これまで暗号資産に対して懐疑的なスタンスを見せることが多く、今後のバイデン政権でどのように変化していくか大きな注目が集まります。バイデン政権下における暗号資産について、いくつか動向を考察していきましょう。

現時点では、バイデン氏は暗号資産に対して何か言及しているわけではありません。従って、米国で報道されているニュースの中から周辺動向を少し整理していきます。

大統領選に限らず、選挙を勝ち抜くには国民からの投票を獲得しなければなりません。そして、そのための活動を行うのには多額の費用が必要になります。これは自己資金であることもありますが、多くが民間からの寄付金で成り立っています。立候補者は、支援者に対して少なからず恩を感じていることでしょう。

今回、バイデン氏が大統領選挙に臨むにあたり、暗号資産業界の人物が多額の寄付金を送っていたことが明らかになりました。暗号資産デリバティブ取引所大手のFTXでCEOを務めるフリード氏です。

フリード氏は、バイデン氏の選挙陣営に対して520万ドルの寄付金を提供しました。この資金はFTXの米国支社の名義で提供されているため、バイデン氏の今後の政策に多少なりとも影響を与えることになるのではないでしょうか。

なお、フリード氏は昨今注目を集めるDeFi市場でも存在感を放つ人物です。DeFiの法規制については、SEC(米国証券取引委員会)でも度々議題にあがっており、引き続き市場が盛り上がり続けた場合には新政権の暗号資産に対する論点のになることが予想されます。

デリバティブ取引とDeFiは、規制観点から何かと話題になることが多く、フリード氏の今後の動向には引き続き注目が集まりそうです。

続いては、財務長官についてです。バイデン政権では、財務長官にFRB(連邦準備理事会)理事のブレイナード氏が任命されることが予想されています。ブレイナード氏は、ボストン連邦準備銀行によるデジタルドルの研究調査も監督しており、テクノロジーにも精通している人物です。

他の候補者としては、元CFTC(商品先物取引委員会)委員長のゲンスラー氏も名前があがっています。両者とも暗号資産に明るい人物であり、どのような姿勢をみせるのか言動には要注目です。

【参照記事】Bitcoin’s Price Reacts to Biden Presidential Win
【参照記事】バイデン氏当選確実、ビットコインは15000ドル割れ──暗号資産市場、次の注目の的

香港で全ての暗号資産取引が規制対象に

香港証券取引委員会(HKSFC)が、管轄区域内における暗号資産取引所に対して規制を強化する方針を明らかにしました。これにより、全ての暗号資産取引が規制下におかれることとなります。

香港では、これまで先物取引とセキュリティトークンをライセンス制度によって規制対象にしていました。今回の規制強化に伴い、暗号資産の現物取引を含む全ての取引サービスにライセンス制を導入することになります。

現状の香港の規制は、オプトイン方式(申請制)を適用させています。今回の発表に伴いオプトアウト方式に切り替えることで、従来の規制で抜け漏れていた事業者を規制対象にする狙いです。

これまで、米ドルにペッグした香港ドルを軸に国際センターとしての役割を果たしてきた香港ですが、中国による国家安全維持法の施行によってその機能を実質的に失いました。中国政府による監視が強まったことで、その余波が暗号資産界隈にも広がってきたといえるのではないでしょうか。

なお、今回は規制が強化されるという発表であり、中国のように暗号資産の取引が禁止になったわけではありません。

【参照記事】Hong Kong will require all cryptocurrency trading platforms to be regulated -SFC

イーサリアム2.0のフェーズ0がついに始動

本格稼働が間近に迫ったイーサリアム2.0のフェーズ0に含まれる「Deposit Contract(デポジットコントラクト)」が、ついにメインネット(正式版)にローンチされました。当初の予定通り開発が進んでおり、引き続きの進捗が期待できそうです。

3ヶ月前の8月4日より開始されたテストネット「Medalla」では、テストネット専用のETHが200万以上ステーキングされており、順調なスタートを切っていました。ネットワークを管理するバリデータも6,600を超えており、セキュリティの懸念も払拭されています。

8月には、一部のクライアントソフトに不具合が生じたものの、すぐに改修を行い現在まで概ね予定通り進行してきました。

フェーズ0に含まれるもう1つの重要トピックとして、「Beacon Chain(ビーコンチェーン)」があげられます。まずは、Beacon Chainにおける最初のブロック(Genesisブロックという)を生成することが今後の1つのマイルストーンです。

なお、このGenesisブロックを生成するには、32ETHをステークするバリデータ(ノード)が11月24日までに最低でも16,384ノード集まる必要があります。この閾値を超えた状態で、7日間安定してネットワークが稼働した場合にのみ、イーサリアム2.0のブロック生成が始まります。

一方で、いくつかの懸念も浮上しています。先述のテストネットMedallaでは順調だったバリデータの数が十分に集まっておらず、予定通り11月24日を迎えられる状態に至っていません。

テストネットで使用するETHは仮想のものであり、メインネットで実際にETHをステークする場合とで心理的条件が異なることが原因だと考えられます。また、昨今成長著しいDeFi市場の盛り上がりも影響しているといえるでしょう。イーサリアム2.0でステーキングに参加するのであれば、DeFi市場に投資した方が儲かる可能性があるからです。

いよいよ現実味が帯びてきたイーサリアム2.0ですが、今月11月が正念場であり引き続き細かい動向に注目していきましょう。

【参照記事】eth2 quick update no. 19

まとめ、著者の考察

長らくメディアを賑わせた米国大統領選挙ですが、いよいよ集結に向かい始めました。まだまだ一悶着ありそうですが、暗号資産市場の反応も少し落ち着いてきたように感じます。

米国大統領選挙は、コロナ禍と合間って株式市場に大きな影響を与え続けており、投資家目線で新政権をどのように捉えるか、重要な局面を迎えているのではないでしょうか。

政権交代の際には、規制がどのように変化するのかしばらく適宜チェックすることを推奨します。特に大きな転換点を迎えているイーサリアムやその上で稼働しているDeFiは、香港のように規制の影響でいかようにもなってしまう可能性があります。

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