【重要ニュースまとめ(10/23~10/29)】AdobeがNFT市場に参入、マスターカードはCrypto as a Serviceの提供へ

今回は、10/23~10/29の暗号資産・ブロックチェーン業界重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. 初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
    1-1. Adobeが4社のNFTマーケットプレイスと提携
    1-2. マスターカードが加盟店に暗号資産関連サービスを導入
    1-3. マウントゴックスの再生案が承認
  2. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★☆】
    2-1. 1億ドル規模のNFTファンドが組成
    2-2. AP通信が報道データをブロックチェーンに記録
  3. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★★】
    3-1. 米ニューヨーク州が暗号資産レンディング事業者に業務停止命令
    3-2. Polygonがバグバウンティを通して200万ドルを支払い
  4. まとめ、著者の考察

初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】

Adobeが4社のNFTマーケットプレイスと提携

デザインソフト大手のAdobeが、OpenSea、Rarible、SuperRare、KnownOriginといった人気NFTマーケットプレイスとのパートナーシップを発表しました。NFTに対して記載された来歴と帰属を誰もが確認できるようにします。

Adobeは2019年に、クリエイターの権利を守るためのデジタル認証機能「Content Authenticity Initiative(CAI)」を立ち上げていました。今回、CAIでの取り組み発展させ、「Content Credentials」としてリリースしています。

このクレデンシャルをNFTにも適用することで、権利の透明性を高めたり著作権を保護するといった用途が期待できます。

なおAdobeは、今回の発表に併せて自社の画像加工ツール「Photoshop」上でNFTを作成できる機能を導入しました。

【参照記事】Adobe unleashes Content Attribution Features in Photoshop and Beyond at MAX 2021|Adobe

マスターカードが加盟店に暗号資産関連サービスを導入

米マスターカードが、銀行や加盟店向けの暗号資産サービス導入ツール「CaaS(Crypto as a Service)」の提供を進めていることがわかりました。暗号資産カストディ企業Bakktとの提携により実現します。

マスターカードは、CaaSの導入により、顧客が暗号資産の売買や保有、独自のロイヤルティ機能、暗号資産対応のクレジットカードの発行などを提供していくとしています。特にロイヤルティ機能については、従来のポイントに代わって暗号資産を使用した支払いなどができるよう計画されているようです。

暗号資産を取り扱うには専用のライセンスが必要になるため、この役割をBakktが担うことになります。Bakktは、10月18日にニューヨーク証券取引所への上場を果たし、カストディ業務で他社をリードする企業となりました。

【参照記事】Mastercard and Bakkt Partner to Offer Innovative Crypto and Loyalty Solutions

マウントゴックスの再生案が承認

2014年に大規模なハッキング事件を起こした暗号資産取引所マウントゴックスが、提出していた再生計画案が承認されたことを発表しました。これにより、当時のユーザー約24,000人が弁済を受け取る日が現実的になっています。

マウントゴックスは、当時約4億6,000万ドルほどのハッキング被害に合っていました。管財人によると、同社は2019年時点で約14万1,686BTCと、約14万2,846BCHを保有していたとされています。

これは、現在の評価額で約92億ドルとなっており、事件当時の価格を大きく上回ります。弁済の時期は明かされていませんが、再生計画案が承認されたことで、債権者は結果的に多額のBTCおよびBCHを受け取ることができるようです。

【関連記事】マウントゴックスの再生計画案が可決、弁済の可能性高まる

初心者向け主要ニュース【難易度:★★☆】

1億ドル規模のNFTファンドが組成

NFTに特化したファンド「Meta4 NFT Fund I, LP」が、1億ドル規模で組成されました。a16zがリード投資家を務めています。

今回組成されたMeta4 NFT Fund I, LPは、人気NFTシリーズBored Ape Yacht Club、Zed Run、The Sandboxなどに対して投資する予定です。

本ファンドの運営元であるMeta4 Capitalは、2021年に設立されたばかりのNFT特化型投資運用会社であり、すでに1号ファンドを運用しています。今回は2号ファンドにあたり、短期間で複数のファンドが組成されていることから、NFTが投資対象として高いリターンを出していることが伺えます。

【関連記事】a16zが資金調達を主導、1億ドル規模のNFTファンドが誕生

AP通信が報道データをブロックチェーンに記録

AP通信が、分散型オラクルChainlinkと提携し、自社の報道内容をブロックチェーンに記録していくことを発表しました。これにより、DAppsがAP通信の報道内容をサービスに取り込めるようになります。

DAppsなどのスマートコントラクトがデータを扱うには、そのデータ自体がブロックチェーン上に存在している必要があります。しかし、外部の情報をブロックチェーンに持ち込むにはオラクル問題が生じるため、何らかの工夫が必要です。

Chainlinkは、オラクル問題を解消するための最も効果的なソリューションとなっており、AP通信からも高い信頼を得ています。今回の提携により、AP通信はChainlinkの分散型オラクルソリューションを通して、報道データをブロックチェーンに記録します。

記録される際には、報道データに対してAP通信の暗号化署名が施され、同時に著作権も保護されることになります。

【関連記事】AP通信がChainlinkと提携、報道データをブロックチェーンに記録へ

初心者向け主要ニュース【難易度:★★★】

米ニューヨーク州が暗号資産レンディング事業者に業務停止命令

米ニューヨーク州は、暗号資産レンディング事業者に対して業務停止命令を出しました。暗号資産のレンディングサービスが証券法に抵触するとしています。

ニューヨーク州では、有価証券を取り扱う際に届け出が必要になります。暗号資産レンディングは有価証券を扱ったサービスに該当するとされ、従って州への届け出が必要になるとの見解です。

具体的な命令先は明らかにされていないものの、届け出が完了していない状態で暗号資産レンディングサービスを提供していた2社に対して、今回は停止命令が出たとされています。

米国では、全土の法律を管理する連邦政府に加えて、各州が独立して法律を定義しています。今回の決定はニューヨーク州に限ったことであり、他の州では適用されません。

【関連記事】米ニューヨーク州、暗号資産レンディング事業者に業務停止命令

Polygonがバグバウンティを通して200万ドルを支払い

イーサリアムのサイドチェーPolygonが、バグバウンティプログラムを通して200万ドルの報酬を支払いました。

Polygonは、脆弱性を報告する分析サイトImmunefiで9月からバグバウンティプログラムを開始しています。今回発見された脆弱性は、放置しておくと約8億5,000万ドルの資金流出の可能性があったと報告されました。

脆弱性は速やかに解消され、特定した人物には報酬として200万ドルが支払われています。ブロックチェーン業界はオープンソースの考え方が浸透しており、どのプロジェクトも基本的にバグバウンティプログラムを実施しています。

逆に、バグバウンティプログラムを実施していないプロジェクトは怪しいものと定義しても良いとすら言えます。

【関連記事】Polygonがバグバウンティを通して約2.3億円の報奨金支払い

まとめ、著者の考察

今週は、AdobeによるNFTマーケットプレイスとの提携や、マスターカードのCaaS関連サービスなどが話題となりました。AP通信も報道データをブロックチェーンに記録するなど、引き続き大手の参入が相次いでいます。

NFT市場は依然として規制が未整備状態であるものの、市場規模は拡大し続けており、特化型ファンドが組成されるなどの発展を遂げています。

一方で、米ニューヨーク州による暗号資産レンディング事業者への業務停止命令など、規制の強化が進んでいるのも事実です。FATFのガイダンス改訂も行われていることから、引き続き事業者と規制当局の探り合いが続くのではないでしょうか。

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。