【重要ニュースまとめ(9/18~9/24)】LINEのNFTマーケットでロイヤリティが設定可能に、米国でSECによる規制強化進む、英国ではPayPalが暗号資産サービス開始

今回は、9/18~9/24の暗号資産・ブロックチェーン業界重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. LINE NFTマーケットでロイヤリティ機能がスタート
  2. PayPalが英国で暗号資産サービスを開始
  3. 米SEC、暗号資産取引所へ届出求める主張
  4. まとめ、著者の考察

LINE NFTマーケットでロイヤリティ機能がスタート

LINEの運営するNFTマーケットプレイスが、二次流通市場におけるロイヤリティを設定できる機能をリリースしました。これにより、NFTの売買全てに対して、クリエイターへ手数料が還元されるようになります。

高額売買が注目されるNFTですが、ロイヤリティが設定されていないものについては、当然ながら最初の販売時だけがクリエイターの収益となります。これまでの傾向上、NFTが高額で購入されるのは転売が複数回繰り返されてからだといえます。そのため、後に高額で売買されるNFTを作成しても、クリエイターにはほとんど還元されないのです。

NFTは転売されることで価格が高騰していく傾向が強いため、初回販売時に高い価格をつけることは困難です。転売目的でNFTを購入するユーザーも多いため、最初から価格設定の高いNFTにはなかなか買い手がつかない状況だともいえます。

今回LINE NFTマーケットが開始したのは、転売時に収益の一部がクリエイターに還元されるロイヤリティの機能です。先行する海外のOpenSeaなどのマーケットプレイスではすでに実装されているものであり、1%~3%程度のロイヤリティを設定するのが一般的となっています。

LINEではコンテンツ料と名付けられたこの機能により、NFTが売買される度にその金額の数%がクリエイターに自動的に還元されます。3%と聞くと非常に少額なイメージとなりますが、最初に1万円で購入されたNFTが、その後10万円、100万円と転売されていった場合、3万3,000円の収益となります。

LINEのNFTマーケットは、独自ブロックチェーンであるLINE Blockchain上で稼働しています。流通するNFTも、現在はLINE Blockchain上で発行されたもののみとなっており、閉じられたエコシステムが形成されている状況です。

一般的に、NFTはイーサリアムを使って発行されます。しかし、イーサリアムの場合は取引手数料が高く少額のNFTを売買しづらいことや、利用する際にETHが必要だったりと一定のハードルが存在しています。

LINEが強みとしてアピールしているのは、安価な手数料でNFTを売買でき、サービスを全て日本語で利用できる点です。また、LINE Blockchain上で稼働しているサービスであれば、LINEの提供するウォレットLINE BITMAX Walletでアクセスすることができます。

【関連記事】LINE NFTマーケットで二次流通手数料を設定可能に、クリエイターへ収益を還元

PayPalが英国で暗号資産サービスを開始

2020年から始まる暗号資産の価格高騰のきっかけとなったPayPalが、米国外では初となる英国でのサービス提供を開始しました。200万人以上のPayPalユーザーに対して、暗号資産の管理・売買サービスを提供します。

PayPalが英国で対応する暗号資産、ビットコイン、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、ライトコインです。米国でサービスを開始した時と同じものとなっています。

1ポンド(約150円)から暗号資産を購入できる点が特徴ですが、1週間あたり15,000ポンド(約220万円)まで、1年間では35,000ポンド(約530万円)が上限に設定されています。また、PayPalアカウントで本人確認手続きを完了させておく必要があるといいます。

米国でのサービス展開時も同様の制限を設けていたものの、7月には1週間あたり10万ドル(約1,100万円)に引き上げていたため、英国でも同様の緩和が行われる見込みです。

PayPalの暗号資産サービスは、英国だけでなく米国でも、PayPalプラットフォームに閉じたものとなっています。つまり、外部の取引所やウォレットには送金できず、これについては批判の声も上がっていました。しかし、5月には外部への出金機能を開発している最中であることを発表しています。

PayPalプラットフォーム内でのみ流通していた資金が暗号資産市場全体に解放されることで、市場には流動性が供給されることになるため、一層の盛り上がりが期待されています。

ここ1年で暗号資産関連サービスを強化してきたPayPalですが、今後はCBDCやステーブルコインに関する取り組みも進めていく方針を明らかにしています。ステーブルコインは暗号資産とは異なり価格変動が少ないことから、決済手段としての普及が期待されています。全世界に3億人以上のユーザーを抱えるPayPalは、新たな決済手段としてステーブルコインやCBDCの調査を進めているのでしょう。

PayPal以外にも、昨今は既存金融の決済大手が続々と市場に参入してきています。暗号資産以外に、ステーブルコインやCBDC、NFTと領域は多岐にわたりますが、いずれも現在の決済手段に代わる新たな仕組みを模索している姿勢が伺えます。

PayPalと直接競合しそうなのはSquareやStripeでしょう。いずれもすでに暗号資産関連サービスを開始していますが、特にJack Dorsey氏率いるSquareの存在感が日に日にましています。

【関連記事】PayPalが英国での暗号資産サービスを開始、市場の盛り上がりに期待感

米SEC、暗号資産取引所へ届出求める主張

米SEC理事長のGary Gensler氏が、上院の公聴会で、暗号資産取引所もSECの管理下に入るべきとの見解を示しました。有価証券に該当する可能性のある暗号資産を取り扱っているのであれば、SECへの届出が必要になるとの主旨です。

ここ数ヶ月、Gensler氏による暗号資産への規制強化が目立つようになってきました。暗号資産に関する規制を整備する場合、暗号資産と法定通貨の橋渡しの役割を担う取引所を対象にするのが基本です。

今回は、これまで度々議論されてきた暗号資産が有価証券に該当するかどうかが焦点となり、有価証券に該当する場合は暗号資産取引時もSECへの登録が必要と主張しています。9月初旬には、暗号資産取引所Coinbaseが提供予定の暗号資産レンディングサービスについても証券法違反の可能性を指摘していました。この論点も、暗号資産が有価証券に該当するかどうかが中心にあり、有価証券を貸借するサービスであれば、相応の法規制に準拠する必要があるとの見方となっています。

現在までに、SECが明確に暗号資産だと定義しているのは、ビットコインとイーサリアムのみです。したがって、この2つだけを取り扱っている取引所であれば、SECへの登録が必要ありません。

なお、ビットコインとイーサリアムだけであればどんなサービスでも提供していいかというとそんなことはないようです。Gensler氏は、レンディングサービス以外にステーキングサービスにも言及しています。PoWにおけるマイニングの役割を担うステーキングでは、代行サービスが複数提供されています。

ステーキングには一定の知識や経験が必要であり、またある程度まとまった金額を要することからも、ステーキングの代行サービスには大きな需要があるようです。しかし、現状のステーキング代行サービスは、ユーザーがステークした資産を自由に引き出すことができなかったりと、実際にはカウンターパーティリスクのみを負っているとGensler氏は指摘しました。

具体的にステーキング代行業者への規制については述べていませんが、投資家保護の観点から何かしらの規制が適用されても不思議ではない状況になっています。

SECによる取組みの中で、今週最も話題となったのは、Messariの主催する大型カンファレンスに無断でSEC関係者が介入したことです。海外メディアの報道によると、SEC関係者は、一部の登壇者に召喚状を手渡したといいます。該当の人物が普段米国外に在住していることから、カンファレンスへの登壇を狙ってきたとのことです。

ここまでの強硬策に出たSECの思惑としては、業界全体への警告を意図していたと指摘する声もあがっています。

【関連記事】米SEC委員長、暗号資産取引所もSECへの届出が必要と主張

まとめ、著者の考察

今週は、LINEのNFTマーケットにおけるロイヤリティ機能の追加や、PayPalによる英国での暗号資産関連サービスの提供開始、米SEC委員長の公聴会での発言などが話題となりました。

LINEのNFTマーケットについては、日本は世界有数のコンテンツ大国であることから、日本発のNFTマーケットプレイスでロイヤリティ機能が追加されたことは非常にポジティブだといえるでしょう。

今のところ暗号資産とは関係ありませんが、PayPalは日本の決済大手Paidyを買収し、日本市場での事業展開を強化しています。将来的に、日本でも暗号資産関連サービスが提供されるかもしれません。

一方、米国ではここ数ヶ月は規制の話題で持ちきりとなっています。インフラ法案による税制強化だけでなく、暗号資産の証券性に関する議論が進んでいるため、しばらくは米国の規制動向に注目しておいた方が良いでしょう。

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。