【重要ニュースまとめ(9/4~9/10)】ビットコインがエルサルバドルで法定通貨として流通開始、イーサリアムはバーン量が新規発行量を上回る

1今回は、9/4~9/10の暗号資産・ブロックチェーン業界重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. 初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
    1-1. ビットコインがエルサルバドルで法定通貨に
    1-2. 金融庁が2021年度の金融行政方針を策定
    1-3. Twitterがビットコインの送金機能をテスト
  2. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★☆】
    2-1. イーサリアムのバーン量が新規発行量を超過
    2-2. 米インフラ法案の課税強化案が浮上
  3. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★★】
    3-1. 世界経済フォーラムが暗号資産規制に関するレポートを公開
    3-2. 米SECがUniswap Labsを調査
  4. まとめ、著者の考察

初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】

ビットコインがエルサルバドルで法定通貨に

エルサルバドルでビットコインの法定通貨化がスタートしました。専用のウォレットアプリ「Chivo」のダウンロードも開始され、政府から国民に30ドル相当のビットコインが配布され始めています。

エルサルバドル政府は、今回の法定通貨化に伴い、500BTC以上を購入したことでも話題となりました。9月初旬には、1.5億ドル相当のビットコイン信託が承認されており、この基金から国民への付与分が拠出されるみたいです。

今回のビットコイン法定通貨化に際しては、世界銀行が正式に支援できない方針を表明しています。環境面、透明性などの観点を考慮すると、世界銀行としては支援対象から外れるとのことです。

なお、エルサルバドル国民の多くは引き続きビットコインの法定通貨化に反対しているとのアンケート結果も公開されています。

【参照記事】エルサルバドルでビットコインの法定通貨化が開始、政府によるビットコインの大量購入も

金融庁が2021年度の金融行政方針を策定

金融庁が、今年度の金融行政方針を発表しました。暗号資産領域では、NFTやIEOに関する見解も記載されています。

金融領域全体における暗号資産の位置付けは、特にAML/CFTの側面が強いとの見方が示されています。世界に先がけて暗号資産に関する専門規制を整備した国として、FATFにおける国際議論で主導的な役割を果たしていくとしました。

今年度は、暗号資産取引所の新規ライセンス登録プロセスを迅速化しつつ、透明性をあげていくとも言及されています。背景には、無登録の業者による詐欺被害が相次いでいる実態があるようです。

先端テクノロジーへの取り組みも強化していく必要があると述べ、NFTやIEOに関する適切な枠組みを整備するために検討を進めていくといいます。

【参照記事】金融庁が2021年度の金融行政方針を公表、NFTやIEOにも言及

Twitterがビットコインの送金機能をテスト

ビットコイン肯定派として有名なジャックドーシー氏がCEOを務めるTwitterが、ビットコインを使った送金機能と、ビットコインおよびイーサリアムの送金アドレスを表示する機能をテストしていることがリークされました。

ビットコインの送金機能は、ライトニングネットワークを使うことで少額送金が可能になるとされています。すでに実装されている投げ銭機能「Tip Jar」を拡張する形で追加されるみたいです。

ビットコインのサイドチェーンであるライトニングネットワークは、複数のトランザクションをまとめて一回のトランザクションとしてビットコインのブロックチェーンに記録できる仕組みです。これにより、毎回のトランザクションに高い手数料を支払う必要がなく、投げ銭のような少額決済を可能にします。

送金機能と併せて、プロフィールにビットコインとイーサリアムのアドレスを表示できるように開発が進められています。イメージとしては、プロフィールに記載されたアドレスをクリックすると、自動的にウォレットアプリが起動するといったところでしょうか。

【参照記事】Twitterがビットコインの投げ銭機能を検討、ビットコインとイーサリアムのアドレスを表示する機能もテストか

初心者向け主要ニュース【難易度:★★☆】

イーサリアムのバーン量が新規発行量を超過

EIP-1559が実装され、トランザクションごとに一定のETHがバーンされるようになったイーサリアムですが、今週初めて、24時間上がりのバーン量が新規発行量を上回りました。

ビットコインやイーサリアムは、マイニングによって一定時間あたりに新規発行される仕組みとなっています。通常、市場の流通量が増加すると1枚あたりの価値は希薄化しますが、ビットコインの場合は発行上限が設定されているため、新規発行しても価値は目減りしないことが想定されています。

しかしイーサリアムには発行上限がないため、新規発行するほど理論上は1枚あたりの価値が希薄化していきます。そこで実装されたのがEIP-1559であり、市場の流通量を制限するために追加されたわけではありませんが、一定量をバーンすることで少しでもデフレ的な要素を備えさせようとしています。

今回、意図せずバーン量が発行量を上回ったことで、市場に流通するETHの量が減少する結果となりました。バーン量と新規発行量の関係性は、引き続きイーサリアムの価格を測る上で重要な指標となりそうです。

【参照記事】イーサリアム(ETH)の24時間あたりのバーン量が発行量を上回る

米インフラ法案の課税強化案が浮上

承認が近づく米国のインフラ法案ですが、暗号資産に関する部分の税制強化が検討されているようです。

今回対象とされたのは、米国民のうち他国の取引所などで暗号資産取引を行なっている人々であり、現状徴収できていない分の納税額を逃さないことが狙いとされています。

これは暗号資産以外の金融資産取引でも発生しているといい、インフラ法案をきっかけに税逃れを阻止していく構えです。特に暗号資産がグローバル要素の強い領域であるといい、特筆して言及されました。

インフラ法案の現状ステータスは、下院での正式承認が待たれている段階であり、修正案が盛り込まれるかどうかが注目ポイントとなっています。

【参照記事】米インフラ法案の課税対象が拡大か、脱税防止へ報告義務を強化

初心者向け主要ニュース【難易度:★★★】

世界経済フォーラムが暗号資産規制に関するレポートを公開

ダボス会議などを運営する世界経済フォーラム(WEF)が、暗号資産の規制を整備するために意識すべき3つの重要指針を発表しました。

WEFは、各国の取り組む現状の規制対応に対して、目的に沿った対応でてきていないと批判しました。急速に盛り上がる暗号資産市場に、当局の対応が全く追いついていないことが原因だといいます。

実際、他国の規制をそのまま自国に持ち込んだり、逆に他国の規制を全く参考にせず、特有の規制となってしまった結果、海外プロジェクトから見放される市場となってしまうといった事態が起きています。

WEFは、暗号資産規制を整備するために、以下の3つを意識せよと述べました。

  • 暗号資産の普及を加速させる原動力を受け入れる:暗号資産の持つ投資以外の側面を認識し、本当に必要としている人がいることを受け入れる
  • 暗号資産の技術的な意義と多くのユースケースを理解する:既存規制ではもはや対応できないことを認め、イノベーションとユースケースを学ぶ必要がある
  • 包括的なグローバルガバナンスの実現:FATFの活動に依存せず、グローバルに足並みを揃えて包括的な政策を定義する

【参照記事】世界経済フォーラム、暗号資産規制における3つの指針を提示

米SECがUniswap Labsを調査

米SECが、Uniswapの開発を主導するUniswap Labsを調査しているとの報道が注目を集めました。SECは証券法を取り締まるポジションにあるため、①Uniswap Labsが証券法に違反している可能性や、②Uniswapで流通する資産が証券に該当する可能性が示唆されています。

調査内容としては、Uniswapで投資家がどのような取引を行なっているのか、Uniswap Labsがどのようなマーケティングを行なっているのかになるといいます。つまり、上記①と②両方の可能性が浮上したわけです。

SECは、ブロックチェーンで動作する分散型プロジェクトに対して、運営が十分に分散化されていれば証券法違反にはならないとの見解を示しています。これまでに、ビットコインとイーサリアムのみが証券法違反ではない旨を明言しています。

しかし、どれだけ運営が分散化されていようと、投資家に対してインセンティブを付与する仕組みが備わっているプロジェクトが証券法に違反する可能性があるとのことです。Uniswapには流動性マイニングの仕組みがあるため、これが証券法に違反するかどうかが論点になるでしょう。

もし今後ビットコインやイーサリアムが、例えば保有者に対して何かしらのインセンティブを付与するといった仕組みがプロトコルに追加されるようなことがあった場合には、両者も証券法違反となる可能性があるということです。

【参照記事】米SECがUniswapの開発企業を調査、WSJが報道

まとめ、著者の考察

今週は、エルサルバドルのビットコイン法定通貨化や、イーサリアムのバーン量が発行量を上回ったこと、米SECによるUniswap Labsへの調査などが話題となりました。

小国とはいえ、ビットコインが法定通貨となったことで、暗号資産業界としては一つの大きな歴史が作られたことになります。他国がこれに続くのか、またビットコインを外貨と定義する国が現れるのか、引き続き注目のトピックになっていきそうです。

バーンが進むイーサリアムですが、イーサリアム2.0におけるPoWチェーンとPoSチェーンの統合を意味する「The Merge」が実装されるまで、基本的にPoWチェーンで大きな開発が行われることはありません。

The Mergeが実装されると、長らくロックされてきたステーキング用のETHを引き出せるようになります。今後の相場を予想する上での重要な要素として覚えておくと良さそうです。

【関連記事】ビットコインとは?特徴・仕組み・購入方法
【関連記事】イーサリアムとは?特徴・仕組み・購入方法

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。