【重要ニュースまとめ(8/21~8/27)】Visaが人気NFT「CryptoPunks」を購入、PayPalは米国外で初の暗号資産サービス開始へ

今回は、8/21~8/27の暗号資産・ブロックチェーン業界重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. 初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
    1-1. Visaが人気NFT「CryptoPunks」を購入
    1-2. PayPalが英国で暗号資産サービスを提供
    1-3. 暗号資産の普及が進んだ国ランキング2021
  2. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★☆】
    2-1. 日本企業がNFT活用の電子印鑑を開発へ
    2-2. FacebookのDiemプロジェクトが米国でローンチ間近
  3. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★★】
    3-1. USDCの裏付け資産が現金と短期国債のみで構成へ
    3-2. インフラ法案は修正なしで下院を通過見込み
  4. まとめ、著者の考察

初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】

Visaが人気NFT「CryptoPunks」を購入

Visaが最古のNFT作品といわれる「CryptoPunks」を15万ドル相当で購入し話題となりました。

Visaは、NFTについて「ソーシャルメディアやコマースの未来における重要な要素」と考えているようで、そのために自らがムーブメントを体感する必要があったとしています。

今回CryptoPunksの購入に際しては、Visaが直接購入したわけではなく、カストディ企業のAnchorageが代理購入したとされています。購入したCryptoPunksを実際に保有しているのも、VisaではなくAnchorageです。

現状、米国でもNFTに関する規制は未整備であるため、将来的な規制を考慮してのことであると考えられます。また、CryptoPunksを購入するために必要なイーサリアム(ETH)をVisaが保有するためには、いくつかの社内手続きが発生することから、今回は外部で完結させる流れになったのでしょう。

【関連記事】Visaが人気NFTコレクション「CryptoPunks」を購入

PayPalが英国で暗号資産サービスを提供

PayPalが、初となる米国外での暗号資産サービスを提供開始することがわかりました。まずは米国でのスタート時と同様、PayPal内での暗号資産の管理・売買に対応します。

今回サービス提供が開始されるのは英国となっており、現時点で200万人を超えるユーザーが対象になるといいます。英国はEUから離脱したことで、従来よりも規制などを自由に整備できることから、欧州では英国を拠点にサービスを拡大する企業が増加してきています。

現状PayPalで購入できる暗号資産の金額は、米国で1週間あたり1,100万円相当となっていますが、英国では220万円相当に制限されるといいます。年間でも、530万円が上限です。

依然としてPayPalプラットフォーム外への暗号資産の持ち出しはできないようになっているものの、外部ウォレットなどへの送金機能は現在開発中だと説明されました。

【関連記事】PayPalが英国で暗号資産サービスを提供、米国外では初の海外進出

暗号資産の普及が進んだ国ランキング2021

Chainalysisが、2021年に暗号資産の利用が進んだ国ランキングを発表しました。政治・経済情勢を受けて、2020年版から上位の顔ぶれがガラッと変わる結果となっています。

まずはこの1年で、世界全体で暗号資産の利用は880%も増加したといい、新興国が成長を牽引する結果となりました。2020年版では、ウクライナ、ロシア、ベネズエラ、中国といった国々が上位に位置していましたが、2021年版では、ベトナム、インド、パキスタン、ウクライナといった国々に様変わりしています。

要因としては、すでに普及が進んでいた国々で規制の整備が進み、P2P取引へのアクセスが制限された点をあげました。一方で、新興国では規制が整備されておらず、国民の多くがDEXなどを積極的に利用していることから、暗号資産の利用が進んだと判断されています。

我が国日本は、2020年版も2021年版もランクインすることができず、2017年に世界で初めて暗号資産の法律を制定した国としての地位を完全に失う結果となりました。

【関連記事】暗号資産の普及が進んだ国ランキング2021、1年で上位の顔ぶれが一新

初心者向け主要ニュース【難易度:★★☆】

日本企業がNFT活用の電子印鑑を開発へ

日本のシヤチハタとケンタウロスワークスが共同で、NFTを活用した電子印鑑システムを開発すると発表しました。リーガルサポートには、早稲田リーガルコモンズが入っています。

今回開発が発表されたNFT印鑑では、印鑑の印影データをNFT化することで一意性を持たせる電子印鑑です。予め利用者情報と電子印鑑をリンクさせておくことで、各人固有のNFT印鑑を作成できるようになります。

NFT印鑑を通してブロックチェーンに記録される情報としては、「押印日時」「印鑑の所有者」「押印対象」になるといいます。使用するブロックチェーンは、Japan Contents Blockchain Initiative(JCBI)が運営管理するコンソーシアムチェーンです。将来的にはパブリックチェーンの使用も検討していきたいとしています。

新型コロナウイルスの影響により進んだDXですが、日本ではまだまだ印鑑の文化はなくなっていません。しかし、印鑑も本人が押印したかどうかを証明することはできず、改善の余地があるといえます。NFTをうまく活用することで、本人情報と確実に連動した電子印鑑を作成することができれば、証明の文脈に大きなイノベーションを起こすことができそうです。

【関連記事】NFT活用の電子印鑑が誕生、シヤチハタとケンタウロスワークスが共同開発

FacebookのDiemプロジェクトが米国でローンチ間近

Facebook主導のステーブルコインプロジェクトDiemが、専用のウォレット「Novi」を米国でローンチ間近となっていることがわかりました。ほとんど全ての州で事業を開始するためのライセンスを取得したと発表されています。

2019年6月に構想が発表されたDiem(旧称Libra)プロジェクトですが、ようやくサービス提供を開始することができるようです。2019年当時であれば、USDTもUSDCもまだそこまで知名度を得ておらず、シェアを大きく獲得できた可能性がありますが、このタイミングでローンチすることによる利益はいかほどなのでしょうか。

Facebookはもともと、Diemプロジェクトの目的を金融包摂としていましたが、DAIのような暗号資産担保型のステーブルコインではなく法定通貨担保型になっているため、これで金融包摂を謳い文句にするのは適切だとは言えません。

従って、ビジネス目的で行うことになるわけですが、確かに先行するUSDTとUSDCはいずれも莫大な利益を計上していることから、そこまでの規模にはならないまでも、一定の利益を生み出すことはできそうです。

Diemは独自のブロックチェーンも併せて開発しているため、現状のDeFiサービスとは相性が良くありません。USDCはDeFiの盛り上がりと共に急激な成長を遂げたため、今後Diemがどこまでエコシステムを広げていくのか要注目です。

【関連記事】FacebookのDiemプロジェクトが米国でローンチ間近、まずはウォレット「Novi」を提供へ

初心者向け主要ニュース【難易度:★★★】

USDCの裏付け資産が現金と短期国債のみで構成へ

ステーブルコイン市場で多くのシェアを持つUSDCが、裏付け資産を現金と短期国債のみで構成する意向を発表しました。7月に公開された裏付け資産の内訳を見たユーザーからの指摘を受けて、より安定した資産で構成することを決めた形です。

主要なステーブルコインとしてあげられるUSDC、USDT、PAXは、いずれも裏付け資産の内訳を公開しています。PAXは大部分を現金または現金同等物で構成していたのに対して、USDCとUSDTは、コマーシャルペーパーや社債などを含んでいます。

両者は米ドル連動型のステーブルコインとして銘打っていたため、ユーザーから実態が異なっているとの指摘を受けていました。ユーザーとしては、保有するステーブルコインの価値を安定させるために、より安全な資産で構成してほしいと考えのは自然なことでしょう。

これを受けてUSDCは、9月を目処に裏付け資産を現金と短期国債のみで構成するよう手配する方針を決定しました。USDCを運営するCircle社は、ニューヨーク証券取引所への上場を間近に控えており、現時点ではリスクを減らす方を優先した様子が伺えます。

【関連記事】ステーブルコインUSDCの裏付け資産を現金と米短期国債のみで構成へ、運営のCentreが方針発表

インフラ法案は修正なしで下院を通過見込み

8月上旬に米上院を通過したインフラ法案が、下院でも修正案が採用されずに通過する見込みであることがわかりました。

下院での投票は、賛成220:反対212と僅差になりましたが、議長のNancy Pelosi氏がこのまま通過させることを明言し議論をよんでいます。上院でも下院でもこれだけ修正案が提出されているにも関わらず、ほとんど全く反映されていないことには疑問を抱かざるを得ません。

特にシリコンバレーのあるカリフォルニア州からは、多くの議員が修正案を提出しており、民主党議員グループからも反対声明が出されています。

論点となっているのは、インフラ法案で課税対象となる「ブローカー」の定義が拡大され、取引所以外にnon-custodial型のウォレットプロバイダやPoSにおけるバリデータが追加される点です。

日本でも税制がネックとなりパブリックチェーンを使ったトークン発行事業などが実行しにくい環境にありますが、今回のインフラ法案が施行されることで少なからず米国を拠点とする事業者が国外へ流出する可能性があります。

【参照記事】Treasury will not target non-brokers like miners even if the crypto tax provision isn’t amended

まとめ、著者の考察

今週は、Visaによる人気NFTコレクションの購入や、PayPalの英国でのサービス展開などが話題となりました。特定の著名企業による取り組みが大きく取り上げられ、市場もその動向に左右されやすいという点からはまだまだ拡大余地はあるといえますが、Chainalysisによるレポートでは1年で880%も普及したというデータが出ており、着実な成長が期待できるでしょう。

同じくChainalysisのレポートで言及されたように、規制の強化は普及を阻害する最大の要因となります。投資家保護のためには必要なことですが、米国のインフラ法案のように不必要な規制は長い目で見るとマイナス効果を生むことは間違いありません。

現状の暗号資産市場がGDPに占める割合としては取るに足らない規模ではありますが、インターネットがそうだったようにブロックチェーンによる革新は全ての産業で起こりうることを忘れてはなりません。

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。