【重要ニュースまとめ(7/24~7/30)】ヤフオクでNFTを取り扱いへ、ShopifyでもNFTの販売機能を追加。欧米では規制強化の傾向も

今回は、7/24~7/30の暗号資産・ブロックチェーン業界重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. 初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
    1-1. ShopifyがNFTの販売機能を追加
    1-2. ヤフオクがNFTを取り扱いへ
    1-3. サークルKがビットコインATMを大規模設置
  2. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★☆】
    2-1. Binanceが今後の規制対応について説明
    2-2. ステーブルコインPAXおよびBUSDが裏付け資産の内訳を公開
  3. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★★】
    3-1. EUとイギリスでトラベルルールへの対応強化
    3-2. 株式トークンやステーブルコインが証券法に抵触する可能性
  4. まとめ、著者の考察

初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】

ShopifyがNFTの販売機能を追加

ECプラットフォームShopifyが、NFTを販売できる機能を追加することを発表しました。Shopifyで店舗を作成したユーザーは、顧客に対して直接NFTを販売することができるようになります。

現状のNFT市場は、OpenSeaなどのマーケットプレイスを中心に形成されています。NFTクリエイターは、マーケットプレイスに作品を出品することで不特定多数の購入者にNFTを販売することが可能です。

しかし、マーケットプレイスには無数の作品が出品されており、すでに知名度を持つクリエイターであれば販売することができますが、新規で作品を出品するクリエイターにとっては厳しい状況となっています。

Shopifyを通してNFTを販売することで、自身の持つ顧客やファンに対して直接アプローチすることができます。ECサイトがAmazonや楽天といったマーケットプレイスからShopifyに移行しつつあるように、NFTも同様の状況になるかもしれません。

【参照URL】https://twitter.com/harleyf/status/1419706363161231361

ヤフオクがNFTを取り扱いへ

老舗オークションサイト「ヤフオク」でNFTの取り扱いを開始することがわかりました。運営のヤフーがLINEと連携することで実現するとしています。

ヤフオクで取り扱うNFTは、LINEの運営する独自ブロックチェーンLINE Blockchain上で発行されたものが対象です。ヤフオクのユーザーは、NFTの出品および落札が簡単にできるようになるといいます。

NFTの特徴は、クリエイターから購入者への最初の売買だけでなく、購入者がさらに別の購入者へ販売することができる二次流通の機能にあります。ヤフオクのようなオークションサイトとは相性がよく、さらなるNFT市場の盛り上がりが期待できそうです。

なお、LINE Blockchain上で発行されたNFTは、LINE BITMAX Walletで管理することができます。ヤフオクとの具体的な連携方法は明らかになっていませんが、LINE BITMAX Walletから直接ヤフオクへ出品することができれば、ユーザーに新しい体験を提供することができそうです。

【関連記事】Yahoo! JAPANとLINE、二次流通市場拡大に向けNFT領域で連携

サークルKがビットコインATMを大規模設置

コンビニエンスストア大手のサークルKが、米国とカナダの店舗を中心にビットコインATMを大規模設置していることがわかりました。既に30以上の州で計700台もの設置が完了しているといいます。

日本でも暗号資産黎明期にビットコインATMが複数台設置されていましたが、規制が整備されるに従って徐々に撤去されていきました。世界中の暗号資産ATMのデータを提供するCoin ATM Radarによると、現在も日本に1台だけ残っているとされています。

今回サークルKは、ビットコインATM事業を運営するBitcoin Depotと提携することで各店舗にATMを設置しました。ATMにウォレットアドレスを入力して現金を入金すると、その場でビットコインが送金される仕組みです。

暗号資産取引所でビットコインを購入するには、銀行口座との接続やKYCが必要になります。しかし、米国には銀行口座を持たない人々が数多く存在するため、気軽にビットコインを購入できるATMの需要は確実に存在しているのかもしれません。

【関連記事】コンビニ大手サークルK、各店舗にビットコインATMを大量設置

初心者向け主要ニュース【難易度:★★☆】

Binanceが今後の規制対応について説明

7月に入り各国規制当局より相次いで警告を出されてきたBinanceが、今後の対応方針について説明する会見を行いました。CEOのCZは、場合によっては自身の後任となるCEOを採用するつもりだと発言しています。

これまでBinanceは、基本的に各国の規制に準拠しない形で事業を運営してきました。しかしながら、日本やイギリスをはじめとする各国の規制当局もここにきて本腰を入れて対応してきています。

Binanceは、「ライセンスの取得」「KYCの強化」「レバレッジ倍率の引き下げ」「納税ツールの提供」「人材採用」といった5つの対応方針を明確にしました。既にほとんどの項目で具体的な取り組みを開始しています。

CZ氏は、自身がテクノロジーに強みを持つ人材であることを主張し、今後のBinanceにとっては規制対応に強い人材が適任であることに言及しました。

【関連記事】Binanceが規制対応への方針を説明、CZ氏が記者会見を実施

ステーブルコインPAXおよびBUSDが裏付け資産の内訳を公開

Paxos社の運営する法定通貨担保型ステーブルコインPAXとBUSDが、裏付け資産の内訳を公開しました。いずれも96%が現金および現金相当物によって裏付けられているといい、価値の安定性を強調しました。

Paxosは、競合にあたるUSDCおよびUSDTと比較をする形で自社のステーブルコインが規制に準拠したものであることをアピールしました。また、USDCが61%、USDTが2.9%しか裏付け資産に現金および現金相当物が含まれていないことを引き合いにだし、価値の安定性に関しても自社のステーブルコインが優れていると主張しています。

ステーブルコインの裏付け資産は、ステーブルコイン自体の価値が確かにあることを証明する重要な要素であるため、どういった資産から構成されているかが重要です。

【参照記事】ステーブルコインPAXおよびBUSDが裏付け資産の内訳を公開、USDCおよびUSDTとの比較も

初心者向け主要ニュース【難易度:★★★】

EUとイギリスでトラベルルールへの対応強化

EUが暗号資産取引の規制強化に向けて、FATFの定めるトラベルルールへの対応方針を公表しました。

公開された法案によると、EUで暗号資産取引事業を提供する際には、1,000ユーロを超える取引の記録(送り手と受け取り手の個人情報)を正確に取得しておかなければならなくなります。これは、トラベルルールで定義されている規則に厳格に準拠したものだといえます。

EUでは、暗号資産に限らず定められたルールには加盟国が一律で従うことを原則としています。これに反対してEUを脱退したイギリスも、同じタイミングでトラベルルールへの対応方針を明らかにしました。10月までに法案が協議され、2022年初旬にも立法化が行われるといいます。

暗号資産に関する国際的な規制の中で、トラベルルールは最も重要かつ最も厳しいものだといえます。対応するには膨大なコストが発生する一方で、FATFの定義するルールは実質的な強制力を有しているため、対応できない中小企業が多数出てくることが懸念されています。

【関連記事】EUがトラベルルールへの対応強化へ法案を公開、EU脱退直後のイギリスでも同様の動き

株式トークンやステーブルコインが証券法に抵触する可能性

米証券取引委員会(SEC)で委員長を務めるゲンスラー氏が、証券と密接に関わる暗号資産およびステーブルコインに対する規制の必要性について見解を示しました。

ゲンスラー氏によると、証券を担保にした資産は、たとえそれ単体が証券ではないとしても証券法によって規制される可能性が高いといいます。具体的には、法定通貨担保型のステーブルコインや、BinanceやFTXが発行する株式トークンがあげられます。

代表的なステーブルコインであるUSDCやUSDTは、価値の裏付け資産に債券やコマーシャルペーパーを含んでいます。一方の株式トークンは、AppleやAirbnbといった上場株を担保に発行されるトークンです。

これらの資産は、明確に証券を担保資産としているため、証券法に準拠する必要があるというのがゲンスラー氏の見解です。

【関連記事】米SEC委員長、株式トークンやステーブルコインが証券に該当する可能性を指摘

まとめ、著者の考察

今週は、Binanceの規制対応方針の説明やEUおよびイギリスのトラベルルールへの対応方針、米SEC委員長の発言など、規制に関する目立った動きが多く見受けられた1週間でした。

DeFiやNFTなど、徐々に市場が存在感を増すにつれて規制当局も動かざるを得なくなっており、具体的な枠組みが形成されつつあるように感じます。特に米国での動きは、数年後に日本にも適用される可能性が高いため、今のうちからキャッチアップしておくことが重要です。

【関連記事】ビットコインとは?特徴・仕組み・購入方法

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。