【重要ニュースまとめ(6/19~6/25)】a16zが22億ドルの特化型ファンドを組成、イーサリアムステーキングプールの秘密鍵が紛失

今回は、6/19~6/25の暗号資産・ブロックチェーン業界重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. 初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
    1-1. マイクロストラテジーがビットコインを追加購入
    1-2. エルサルバドルのビットコイン法案を違憲起訴
    1-3. a16zが22億ドルの特化型ファンドを組成
  2. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★☆】
    2-1. クリプトママがDeFi支持を表明
    2-2. Citiグループがデジタル資産部門を設立
  3. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★★】
    3-1. イーサリアムの大型アップデートLondonがテストネットにローンチ
    3-2. イーサリアム2.0ステーキングプールの秘密鍵が消失
  4. まとめ、著者の考察

初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】

マイクロストラテジーがビットコインを追加購入

米上場企業マイクロストラテジーが、ビットコインの追加購入を行いました。平均取得価格約37,617ドルで、新たに13,005BTCを購入しています。

今回の追加購入により、マイクロストラテジーは計10万BTC以上を保有する世界初の上場企業となりました。これまでにマイクロストラテジーが購入したビットコインの総額は約105,085BTC(約27億4,100万ドル相当)となっており、平均購入価格は約26,080ドルになるといいます。

これに加えて、マイクロストラテジーは10億ドルもの資金調達計画を発表しており、さらなるビットコインの買い増しが予定されています。

【関連記事】マイクロストラテジーがビットコインを追加購入、総保有額は10万BTCを突破

エルサルバドルのビットコイン法案を違憲起訴

ビットコインを世界で初めて法定通貨として認める法案を可決したエルサルバドルで、市民グループからの訴訟が起きていることがわかりました。ビットコイン法案を違憲であるとして、野党議員が主導となり動きが出ています。

野党議員が中心となる市民グループは、エルサルバドル大統領自ら提出したビットコイン法案について、合法性と根拠にかけるとして起訴しました。市民グループは、大統領と与党の動きを「公益を犠牲にした独裁的な政治」として非難しています。

エルサルバドルの現地メディアによると、大統領は過去に新型コロナウイルス対策を巡って最高裁判所の裁判官らを強制解雇などしてきたといいます。こういった事例を引き合いに出し、市民グループは大統領と与党の独裁政治を主張しました。

エルサルバドルのビットコイン法については、国民の8割が反対意見を示しているとされ、こういったデータからも市民グループの起訴は国民を代表するものだと声明を出しています。

【関連記事】エルサルバドルのビットコイン法案を違憲起訴、大統領の独裁性を疑う声も

a16zが22億ドルの特化型ファンドを組成

米大手ベンチャーキャピタルa16zが、暗号資産・ブロックチェーンに特化した第3号ファンドを組成したことを発表しました。ファンドサイズは22億ドルとなっており、特化型ファンドとしては過去最大規模となっています。

a16zは、今回のファンド組成は暗号資産・ブロックチェーンが金融インフラの根幹になりつつある証拠だと言及しました。初期のシードステージから後期のレイトステージまで幅広く投資していくとしています。

今回の発表では、特に投資領域には触れず、代わりに新たに参画したメンバーについて紹介した。COOを務めるのは元ニューヨーク証券取引所のAnthony Albanese氏になるといい、アドバイザリーパートナーには元SECディレクターのBill Hinman氏と起業家のAlex Price氏が指名されています。

その他にも数名のメンバーが新たに本ファンドのメンバーとして参画し、専門性の高い業界の事業に対して投資を加速させる構えです。

【参照記事】A16Z Crypto Fund III

初心者向け主要ニュース【難易度:★★☆】

クリプトママがDeFi支持を表明

米証券取引委員会(SEC)理事のHester Peirce氏が、DeFiの支持を表明しました。DeFiに対して強行的な姿勢をみせる当局に異議を唱えています。

クリプトママの愛称で知られるPeirce氏は、セーフハーバールールを提唱するなど暗号資産・ブロックチェーン業界の健全な発展に多大な貢献をしてきました。今回、規制が未整備となっているDeFiについて、イノベーションを阻害しないよう適切な規制を整備すべきとの見解を示しました。

具体的には、DeFiの性質である管理者が存在しないことを当局が懸念視しているのに対して、Peirce氏はむしろポジティブに捉えているといいます。Peirce氏は、管理者が存在しないことで、誰もが平等かつ簡単に金融サービスにアクセスできるようになると主張しました。

また、暗号資産・ブロックチェーンに関する規制の多くが、建設的な議論を経て決定されるものではなく、半ば強制的に決められるものが多いことに対しても異議を唱えています。

【参照記事】SEC commissioner Hester Peirce argues in favor of DeFi’s promise of disintermediation

Citiグループがデジタル資産部門を設立

米大手アセットマネジメント企業のCitiグループが、暗号資産・ブロックチェーンに特化したデジタル資産部門を設立したことがわかりました。既存資産管理部門内に新設されるといいます。

今回設置されたデジタル資産部門は、暗号資産やNFT、ステーブルコイン、CBDCなどを対象にしたグループになるとされています。全てのデジタル資産に興味を持つクライアントのために新たなサービスを模索する計画です。

昨今は、Citiグループに限らずゴールドマンサックスやJPモルガンなど、大手金融の暗号資産市場への参画が相次いでいます。Citiグループは、総額22兆円にも及ぶ資産を管理しており、本格参入後には暗号資産市場へのポジティブな影響が期待できそうです。

【参照記事】Citi Launches ‘Digital Assets Group’ Within Wealth Management Division

初心者向け主要ニュース【難易度:★★★】

イーサリアムの大型アップデートLondonがテストネットにローンチ

イーサリアムの大型アップデート「ロンドン(London)」が、最初のテストネットRopstenへローンチされました。予定通りブロックナンバー10,499,401より実装されています。

Londonハードフォークでは、ガス代の一部をバーンするEIP-1559が含まれているため、イーサリアム周辺では大きく注目されているアップデートです。これは、ETHの価格を上昇させるための仕組みであるものの、マイナーが受け取る報酬が減少することにもなるため、コミュニティからは一定の反対意見が出ていました。

Londonでは、7月に予定されているメインネットへのローンチに向けて、複数のテストネットで稼働が確認される予定です。まずは最初のテストネットRopstenへのローンチが完了しており、今後Goerli、Rinkebyと続いていきます。

【関連記事】イーサリアムの大型アップデート「ロンドン(London)」がテストネットにローンチへ

イーサリアム2.0ステーキングプールの秘密鍵が消失

暗号資産カストディ大手のFireblocksが、顧客であるStakehoundの資産を管理するための秘密鍵を紛失したとして起訴されました。これによりアクセスできなくなったとされるイーサリアムは、38,178ETH(約7,200万ドル相当)に及びます。

Stakehoundによると、イーサリアム2.0のステーキングプールにアクセスするための秘密鍵をFireblocksのサービスで管理していたものの、Fireblockの従業員がこれを紛失したといいます。本来であればバックアップキーを生成してから削除するところを、Fireblocksの従業員は行わなかったとのことです。

一方でFireblocksの主張では、Stakehoundとの契約にはバックアップキーの生成義務が交わされておらず、Stakehound側の主張には根拠がないとしています。また、秘密鍵は顧客側で生成されるものであり、仮にFireblocksが管理する秘密鍵を紛失したとしても、顧客側の持つ秘密鍵(本体)には影響が出ないといいます。

暗号資産を扱うには秘密鍵が必要であり、これをどのように管理するのかといった議論はこれまでにも大きなトピックとされてきました。秘密鍵の管理に特化したカストディ事業を提供する企業も増えており、FireblocksやBitGoが多くのシェアを獲得しています。

外部のカストディサービスを使用する場合、我々にも今回のStakehoundとFireblocksのような問題が発生する可能性はあるため、今後も秘密鍵の管理は様々な議論を巻き起こしそうです。

【参照記事】Fireblocks ETH 2.0 Key Management Incident

まとめ、著者の考察

今週はa16zによる22億ドルの暗号資産・ブロックチェーン特化型ファンドや、StakehoundとFireblocksの秘密鍵紛失などが話題になりました。ますます業界全体が盛り上がってきている中で、秘密鍵の紛失といった基礎的な問題が焦点になるなど、市場の不変性も感じています。

日々様々なことが起こる変化の激しい業界ですが、やはり意識すべきは基礎となるファンダメンタルズであり、短期的な市場の変動に左右されないようにしなければなりません。

特にイーサリアムはファンダメンタルズが豊富であることから、中身を理解した上で投資しやすい銘柄だといえます。ロンドンハードフォークやイーサリアム2.0など、ぜひ情報を追ってみてはいかがでしょうか。

【関連記事】イーサリアムとは?特徴・仕組み・購入方法

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。