【重要ニュースまとめ(6/5~6/11)】エルサルバドルでビットコインが法定通貨に、Squareがハードウェアウォレットの開発を検討

今回は、6/5~6/11の暗号資産・ブロックチェーン業界重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. 初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
    1-1. エルサルバドルでビットコインが法定通貨に
    1-2. CoinbaseデビットカードがApple PayとGoogle Payに対応
    1-3. ワクチン接種証証明書をブロックチェーンで管理
  2. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★☆】
    2-1. Squareがビットコインのハードウェアウォレット開発を示唆
    2-2. ビットコインマイニングを100%再生可能エネルギーへ
  3. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★★】
    3-1. 米CFTCがDeFiデリバティブの違法性を示唆
    3-2. Bitcoin 2021ハイライト
  4. まとめ、著者の考察

初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】

エルサルバドルでビットコインが法定通貨に

中南米のエルサルバドルが、世界で初めてビットコインを法定通貨として認める法案を可決しました。大統領自ら法案を提出し、4日後には大多数をもって可決される小国ならではのスピード感です。

法案が可決されたことで、エルサルバドルの全ての経済主体がビットコインによる支払いを受け付けることになりました。また、ビットコインによる納税も可能となっています。

エルサルバドルでは元々、米ドルが法定通貨として流通していましたが、ビットコインが加わることで法定通貨が2つになります。ただし、ビットコインの参考価格は米ドル建てで表記されるといい、依然として米ドル有利な状態は変わらないといいます。

今回の一件を受けて、各国ではビットコインを暗号資産としてではなく外貨として再定義する必要があるのではないかとの懸念が浮上しました。これに対して元米内国歳入庁の弁護士は、特定の国でビットコインが法定通貨になったからといって、米国ですぐにビットコインを外貨として扱うことはないと主張しています。

【関連記事】エルサルバドルのビットコイン法案が可決、米ドルの位置付けも説明

CoinbaseデビットカードがApple PayとGoogle Payに対応

ナスダック上場企業の暗号資産取引所Coinbaseが提供するデビットカードが、Apple PayとGoogle Payに対応する方針を発表しました。両決済プラットフォームを通して、暗号資産で支払いができるようになります。

CoinbaseのデビットカードはVisaと提携することで提供されており、支払い額に応じて暗号資産のリワードを受け取ることができます。現在はビットコインとステラルーメンに対応しており、それぞれ4%と1%の還元率が設定されています。

今回Apple PayとGoogle Payへ対応したことで、Coinbase口座で保管されている暗号資産を使って日常シーンにおける決済が可能になります。米国では、2020年にモバイル端末による決済が29%増加したといい、新型コロナの影響でキャッシュレス決済の需要が急激に増加しました。

支払い額に応じて暗号資産を付与するサービスは、Coinbaseの他にもマスターカードやレンディング大手BlockFiなどが提供しています。新規顧客の獲得戦略として高い費用対効果が発揮していることが予想できます。

【関連記事】Coinbaseのデビットカード、Apple PayとGoogle Payに対応

ワクチン接種証明書をブロックチェーンで管理

Linux Foundationが、コロナワクチンの摂取証明書をブロックチェーンで管理する取り組みを開始しました。プロセスの簡素化を目指し、複数の企業・自治体が賛同しています。

Linux Foundationは、エンタープライズブロックチェーン領域で高いシェアを誇るHyperledgerの開発を手がける非営利団体です。過去には、コロナウイルスの感染拡大を抑制するプロジェクト「COVID-19 Credentials Initiative」を立ちあげています。

今回新たに開始した取り組みは「Global COVID Certificate Network:GCCN」と呼ばれ、IBMやBlockchain Labs、AOKPassなどの賛同を得ています。GCCNは現状のワクチン証明書について、「他国の証明書の信ぴょう性が欠如していること」「政府の提供する証明書管理システムの運用方法が複雑であること」の2点を課題としてあげました。

これらの課題を、エンタープライズブロックチェーンを活用することで解決していくとしています。

【参照記事】Linux Foundation Public Health creates the Global COVID Certificate Network (GCCN)

初心者向け主要ニュース【難易度:★★☆】

Squareがビットコインのハードウェアウォレット開発を示唆

米決済プラットフォームSquareが、ビットコインのハードウェアウォレットを開発する計画を検討していることを明らかにしました。

現状、多くのユーザーが取引所でビットコインを購入し、そのまま取引所に預けている状態です。SquareのCEOであるJack Dorsey氏は、この状況に対して「ビットコインの所有権がどのような状況にあるのかは重要な問題だ」と言及しました。ユーザーは、自身のビットコインを取引所の管理下に置かず自身の所有する秘密鍵で管理すべきだとしています。

そのためには、ユーザーフレンドリーなハードウェアウォレットが必要だとした上で、Squareで環境整備を行う可能性を示唆しました。

ハードウェアウォレットは、暗号資産黎明期より広く知られた存在でしたが、取引の度にネット接続が必要だったり自身で秘密鍵を管理する必要があったりと、一般層に受け入れられるには少なからずハードルがあると言えます。

【関連記事】Squareがビットコインのハードウェアウォレット開発を示唆、Jack Dorsey氏が投稿

ビットコインマイニングを100%再生可能エネルギーへ

先述のSquareとビットコイン関連開発企業Blockstreamが提携し、ビットコインマイニングを100%再生可能エネルギーで行うための専用施設を建設する計画が明らかとなりました。

マイニングによる電力消費が度々指摘されている中、太陽光発電などによる100%再生可能エネルギーを活用することで、地球環境に配慮したマイニングを実現するための取り組みが出てきています。

今回の提携では、Squareが500万ドルを提供し資金面での援助を、Blockstreamが技術と知識を提供するとしています。Blockstreamはビットコインのライトニングネットワークを開発している、ビットコインに最も詳しい企業の1つです。Proof of Workの父であるAdam Back氏が2014年に創業しました。

両社によってまずは実験的にマイニングが開始されるといいます。うまくいけば、マイニングに必要なソフトウェアをオープンソース化し、他のマイニング企業にも提供していくことで、全てのマイニングマシンを100%再生可能エネルギーによって稼働させたいとしています。

【関連記事】ビットコインマイニングを100%再生可能エネルギーへ、SquareとBlockstreamが提携

初心者向け主要ニュース【難易度:★★★】

米CFTCがDeFiデリバティブの違法性を示唆

米先物取引委員会(CFTC)が、DeFiデリバティブ商品の違法性を指摘しました。声明文によると、管理者が存在しないからといって従来のデリバティブ商品の例外として扱われるわけではないとしています。

違法性が指摘されたのはあくまでDeFiデリバティブ商品であり、現物取引によるDeFiサービスではありません。米国では、デリバティブ商品を提供するにはCFTCへの届出が必要です。DeFiには管理者が存在しないため、当然こういった届出を行うことなくスマートコントラクトによってサービスが稼働しています。

そのため、管理者の存在しないDeFiをどのように取り締まるのかといった点については議論が必要です。インターネット同様、DeFiプロトコルは全自動で稼働しているため、規制を整備したところで完全に制御するのは難しいでしょう。現在、各国でDeFiに正しい規制を整備するようロビイングが行われています。

【参照記事】Keynote Address of Commissioner Dan M. Berkovitz Before FIA and SIFMA-AMG, Asset Management Derivatives Forum 2021 | CFTC

Bitcoin 2021ハイライト

エルサルバドルのビットコイン法定通貨法案やSquareのハードウェアウォレットなど、多くのビッグニュースが誕生した大型カンファレンス「Bitcoin 2021」が閉幕しました。久しぶりのオフラインカンファレンスということもあり、参加者は1万5,000人を超えたとされています。

ビットコインへの積極的な姿勢を見せる米マイアミで開催されたBitcoin 2021は、コロナウイルスの影響を感じさせないほどの熱気に包まれました。規制やマイニングの環境問題、ビットコイン×DeFiなど多くの注目ニュースが発表されています。特に話題となったトピックは次の通りです。

  • エルサルバドルでビットコインが法定通貨に
  • Squareがハードウェアウォレットの開発を示唆
  • ビットコインマイニングを100%再生可能エネルギーで実施
  • ビットコインをDeFi市場に持ち込む取り組み
  • 人気ポッドキャストKeiser Reportのホストがイーロンマスクを厳しく非難

海外では、大型カンファレンスに合わせて発表を行う傾向があります。近年は全てオンラインで開催されていたこともありこういった動きは影を潜めていましたが、久しぶりのオフライン開催ということでいくつかの注目すべき発表が出された印象です。

【参照記事】Check out the links below to help you navigate Bitcoin 2021.

まとめ、著者の考察

今週は、Bitcoin 2021を中心に業界ニュースが報じられました。中でも、エルサルバドルのビットコイン法定通貨法案の衝撃は大きく、各国で広く取り上げられています。

エルサルバドルと同じく中南米の小国がこぞってビットコインを支持する声明を出すなどの状況に発展しており、今後ビットコインを法定通貨として採用する国が増えることになった場合、先進国がどのような対応をするかは要注目です。

また、引き続きマイニングの環境問題に対する取り組みが増え続けており、この文脈にも注目しておいた方が良いと考えています。暗号資産・ブロックチェーンを持続可能なものにするためにも、環境に配慮した仕組みの開発は欠かせません。

【関連記事】ビットコインとは?特徴・仕組み・購入方法

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。