【重要ニュースまとめ(5/29~6/4)】日銀総裁がステーブルコインに前向きな発言、USDC発行のCircleは上場を視野に

今回は、5/29~6/4の暗号資産・ブロックチェーン業界の重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. 初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
    1-1. 日銀総裁がステーブルコインに前向きな見解示す
    1-2. USDC発行のCircleが4億4,000万ドルを調達
    1-3. 地球の気温に連動したNFTが登場
  2. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★☆】
    2-1. 米財務省が暗号資産取引の分析・追跡を強化
    2-2. SecuritizeがDeFiの利回りを証券化
  3. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★★】
    3-1. DocuSignがClauseを買収
    3-2. UniswapがLiquidity Miningの再開を示唆
  4. まとめ、著者の考察

初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】

日銀総裁がステーブルコインに前向きな見解示す

日銀の黒田総裁が、ステーブルコインについて前向きな考えを持っていることを明らかにしました。いくつかの課題は残されているものの、将来的には便利な決済手段になり得ると発言しています。

黒田総裁はステーブルコインを「暗号資産とは性質の異なるもの」とした上で、法的な確実性や健全なガバナンスなどの課題は浮き彫りになっているものの、その将来性にはポテンシャルがあるとの見解を示しました。

一方で、暗号資産についてはステーブルコインと違い裏付け資産がないとして、基本的に決済手段としては機能していないと言及しています。この意見の背景には、CBDCの開発が進む各国中央銀行との意見合わせがあるのではないかとの見方も出ています。

米連邦準備制度理事会やイングランド銀行、欧州中央銀行といった各国中銀の総裁からも、暗号資産に対しては否定的な意見が散見されました。

【関連記事】日銀黒田総裁がステーブルコインに前向きな見解示す、暗号資産には否定的な発言も

USDC発行のCircleが4億4,000万ドルを調達

ステーブルコインUSDCの発行・管理を行う米Circle社が、4億4,000万ドルの資金調達を発表しました。合わせて、特別目的買収会社(SPAC)を使った上場を計画中だと報じられています。

Circleは、米暗号資産取引所Coinbaseと共にステーブルコインUSDCの管理を行っている企業です。USDCは特にDeFi市場での利用が進んでおり、時価総額は220億ドル超、年間取引高は6,150億ドルに及びます。

ステーブルコインの市場シェアは、中華圏のUSDTと欧米圏のUSDCに大分されます。昨今は既存金融におけるステーブルコイン活用が進み、その多くがUSDCを採用していることから急激に勢いをつけてきました。

Circleは過去に2度の資金調達を行なっており、3度目となる今回の調達を経て上場を目指しているといいます。

【関連記事】ステーブルコインUSDC発行のCircle、4億4,000万ドルを調達してSPACによる上場を視野に

地球の気温に連動したNFTが登場

地球環境に連動したNFTが発行され、老舗オークションハウスのサザビーズで販売が行われています。

Two Degreesと呼ばれるNFTを発行したterra0は、地球の気温が2度上昇した場合に自動的にバーンされる仕組みを開発しました。気温が上昇するとNFTがバーンされてしまうため、そうならないように環境保護に努めようといったメッセージを投げかけています。

気温の測定にはNASAの提供するデータを参照し、気温が2度上昇した場合にスマートコントラクトによって自動的にNFTがバーンされる仕組みです。ブロックチェーンの特徴として、こういった外部データを元にプログラムを自動実行できる点があげられます。

今回のNFTも、NASAの提供するデータを元にスマートコントラクトが実行されるため、NFTの保有者の意思に左右されず気温が2度上昇したらNFTがバーンされます。これは、ブロックチェーンならではの仕組みであり、特徴をうまく生かしつつ環境にも配慮した良い取り組みだと言えるでしょう。

【関連記事】地球の気温に連動したNFTが登場、2℃上昇すると自動的にバーンされる

暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★☆】

米財務省が暗号資産取引の分析・追跡を強化

米財務省の外国資産管理局(OFAC)が、サイバー制裁措置の一環として暗号資産取引の分析・追跡を行うためにChainalysisを採用する方針であることを発表しました。

Chainalysisはブロックチェーンのデータ分析であり、暗号資産取引などブロックチェーンに記録されているデータを取得・集計することで分析しやすい形でユーザーへ提供しています。

財務省は、サイバー制裁措置の一環として特別指定国およびブロック対象者リストに掲載される可能性のある関係者を特定することを目的として、いくつかのブロックチェーン分析サービスを検討しているといいます。そのうちの1つがChainalysisであり、他にも類似するサービスがある場合は比較検討する予定との見解を示しました。

財務省によると、重要なのは財務省以外の機関でも同じ分析サービスを使用する必要がある点だといいます。確かに、分析サービスを統一しなければ同じ観点で調査・分析を行うことができず、データの追跡に誤差が生じる可能性がありそうです。

一方で、全ての行政機関が1つのサービスに依存してしまうことにもなるため、仮にそのサービスで不正や不具合が生じた場合に甚大な被害が出てしまう可能性も考慮する必要があるでしょう。

【関連記事】米財務省が暗号資産取引の分析・追跡のためにChainalysisを採用へ

SecuritizeがDeFiの利回りを証券化

米Securitizeが子会社としてSecuritize Capitalを設立し、ビットコインとUSDCのレンディング利回りを証券化した新たな金融商品を提供すると発表しました。

Securitizeはセキュリティトークンプラットフォームを提供する会社で、日本でも積極的に事業を展開しています。今回設立されたSecuritize Capitalでは、投資家に対して暗号資産とDeFiのエクスポージャーを提供する予定です。既存商品よりも低い手数料で高い利回りを実現するとしています。

背景としては、機関投資家からのDeFiを含む暗号資産へのエクスポージャーを求める声が増加したことがあるといいます。特にDeFiには関心が強いといい、DeFiが生み出す高い利回りに一定の需要が出ていると説明しました。

現状のDeFiは確かに高い利回りを生み出しているものの、当然ながら相応のリスクも存在しています。Securitize Capitalからは、比較的リスクの低いビットコインとUSDCを選択することで、一定の利回りを実現しながらも投資家保護を重要視した方針が伺えます。

【関連記事】ビットコインやUSDCの利回りを証券化、米Securitize

暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★★】

DocuSignがClauseを買収

電子契約サービスを提供する米DocuSignが、同じく電子契約サービスを提供するClauseを買収しました。Clauseは、AIやブロックチェーンを使った契約書の自動締結サービスを提供しています。

新型コロナウイルスの影響で日本でも急激に電子契約が普及してきましたが、法整備ができていないこともありまだまだ従来の紙による契約が根強く残っています。DocuSignは、Clauseの買収を発表する前によりClauseの電子契約規格に対応するなどして連携を強化していました。

Clauseの提供するサービスでは、ブロックチェーンを活用することで電子契約に透明性と耐改ざん性を持たせています。基本的にはCluaseが仲介者として介入するオフチェーン形式を取っているものの、Enterprise EthereumやHyperledger Fabricを使用することで単一障害点を極力排除する仕組みです。

ブロックチェーンが実世界に浸透するには、ブロックチェーンに記録されたデータが法的効力を持つかどうかが重要になります。ブロックチェーンに記録された契約であれば法的に有効性を認められるといった世界が実現されれば、ブロックチェーンのマスアダプションは達成されたも同然だと言えるでしょう。

【参照記事】Taking the Next Step in Our Smart Agreement Journey

UniswapがLiquidity Miningの再開を示唆

DEX最大手のUniswapが、流動性マイニングを再び実行する可能性があることを示唆しました。大型カンファレンスConsensusで、創業者のHayden Adams氏が言及しています。

Uniswapは、2020年にガバナンストークンUNIの配布を行い話題となりました。それまでに一度でもUniswapを利用したことのあるユーザーに対してUNIを配布したことで、給付金と呼ばれるムーブメントになっています。

DeFiレンディングプラットフォームのCompoundでは、Compoundを利用する度にガバナンストークンCOMPが付与されますが、Uniswapは最初の配布以降UNIを外部へ付与していません。現在、Uniswapガバナンスへの提案で流動性マイニングの再開を提案する意見が出ており、近い将来に合意されるだろうとAdams氏が言及しました。

流動性マイニングが行われることで、Uniswapプールへの流動性供給は増加することが予想され、より一層AMMとして安定した流動性を維持することができると考えられます。

【参照記事】Liquidity Mining Will Return to Uniswap ‘Very Soon’: Founder

まとめ、著者の考察

今週は、Circleの大型資金調達やSecuritizeのDeFiエクスポージャーが話題になりました。日本でも、日銀総裁がステーブルコインについて前向きな発言をするなど、ステーブルコインの存在感が日に日に強まっている印象を受けます。

2020年末から大きく注目されていたNFTですが、最近は以前ほどの露出を見かけることはなくなりました。一方で、スマートコントラクトをうまく活用することで地球環境と連動させたNFTが登場したりと、本質的な仕組みに焦点を当てた取り組みが増えているようにも感じます。

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。