【重要ニュースまとめ(5/22~5/28)】中国・香港で強まる暗号資産規制、米国SECではDeFiに関する規制の議論も。一方でビットコインの保有アドレス数は過去最高を更新

今回は、5/22~5/28の暗号資産・ブロックチェーン業界の重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. 初心者向け主要ニュース【難易度:☆】
    1-1. ビットコイン保有アドレス数が過去最高を更新
    1-2. PayPalが暗号資産の出金機能を提供へ
    1-3. 香港規制当局が暗号資産取引所にライセンス制を導入へ
  2. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:☆☆】
    2-1. デリバティブ取引所BitMEXとFTXがカーボンニュートラルに
    2-2. SEC長官がDeFi規制に言及
  3. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:☆☆☆】
    3-1. ビットコインがシュノア署名が実現へ
    3-2. Polkadot、パラチェーンオークションに向けロードマップを発表
  4. まとめ、著者の考察

暗号資産初心者向け主要ニュース【難易度:☆】

ビットコイン保有アドレス数が過去最高を更新

ビットコインの保有アドレス数が過去最高を更新しました。ここ数日の価格暴落を受けて、新たにビットコインを購入する人が増えた結果となっています。

ブロックチェーンの分析サイトGlassnodeによると、ビットコインの保有アドレス数は54万を超えているとのことです。ビットコイン保有アドレスの定義としては、ビットコインの蓄積アドレスという表現を使っています。

蓄積アドレスとは、過去に2回以上購入したビットコインの送り先として使用され、かつそのまま移動されていないアドレスのことを指すとしています。要するに、ビットコインを購入したけど売却はしていないアドレスの総数です。

全世界で54万アドレスとなるとまだまだ非常に少数になりますが、注意すべきは保有アドレス数=保有者数ではないという点です。ビットコイン購入者の多くは、取引所でビットコインを購入しそのまま預けている状態にあるので、これらの数を加味した保有者数で換算すると、何桁も多くなると思われます。

【参照記事】Bitcoin Outflow From Exchanges Suggests Confidence Crypto Rout Is Over

PayPalが暗号資産の出金機能を提供へ

PayPalが、ユーザーのアカウント内に保有しているビットコインを出金できるようにする方針を発表しました。PayPalは昨年より暗号資産市場へ本格参入しており、主に米国内で暗号資産の売買サービスを提供しています。

現状はPayPalプラットフォーム内での使用に限られていますが、今回の発表で出金サービスを開始するとのことで、PayPal内に閉じられていたビットコインが全世界に染み出していくことになります。

現時点でどれだけの量のビットコインがPayPalプラットフォーム内で流通しているのかは明らかではありませんが、少なくないであろうビットコインが外部へ出てくることで市場の流通量は間違いなく増加することが期待できます。

昨今は、イーサリアムエコシステムへのビットコインの流入も増えており、PayPalの出金サービスが開始されることでDeFiへの資金流入が増加することも予想できるのではないでしょうか。

【参照記事】PayPal Will Let Customers Withdraw Crypto, Exec Says

香港規制当局が暗号資産取引所にライセンス制を導入へ

香港の規制当局が、国内の暗号資産取引所に対してライセンス制度を導入する方針であることを明らかにしました。取引所への規制を強めることで、国内における暗号資産取引を適格投資家に限定するとしています。

今回の方針が策定された場合、取引所は香港人口の7%にあたる適格投資家(保有資産約1.1億円)にのみサービス提供できるようになるとされています。現状の香港では、暗号資産取引に対してライセンス制度のなどを整備されていません。

規制当局は、まずはライセンス制度を導入することで適切なプロセスを施していくとしています。一方で、規制される事業者の声としては、国外の規制対象外となる取引所やDEXなどにユーザーが流れるだけだとして反対声明をあげています。

【関連記事】香港規制当局、暗号資産取引を一部の投資家に限定へ。取引所へのライセンス制を導入

暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:☆☆】

デリバティブ取引所BitMEXとFTXがカーボンニュートラルに

暗号資産デリバティブ取引所FTXとBitMEXが、カーボンニュートラルとなることを発表しました。事業収益の一部をカーボンオフセットに取り組む団体へ寄付することで、温室効果ガスの削減に貢献していく方針です。

両者はいずれも、自社事業を行うにあたってブロックチェーンを稼働させる際に発生する電力1ドルごとに、少なくとも0.0026ドルを寄付するとしています。

FTXの発表によると、取引所事業を行う際には1年間で約6,000万ドルを、ブロックチェーンを稼働させるために費やしているとのことです。従って、カーボンオフセットに取り組む団体への寄付金は、1年間で約15万ドルになるとしています。

暗号資産のマイニングに膨大な電力が必要になっていることは、これまで度々指摘されてきました。イーサリアム2.0によるPoSへの移行やTeslaのビットコイン決済中止などの流れを受けて、業界全体をあげてカーボンニュートラルへの取り組みが加速しています。

【関連記事】デリバティブ大手BitMEXとFTXがカーボンニュートラルを発表

SEC長官がDeFi規制に言及

バイデン政権における証券取引委員会(SEC)長官に就任したゲンスラー氏が、DeFiを含む暗号資産の法規制について言及しました。DeFiについて利用時に求められる知識レベルが極めて高いとして、主に消費者保護の観点から規制の整備が必要になると述べています。

SECに限らず、ここ数日でバイデン政権下での暗号資産規制の議論が進められている報道をいくつか目にするようになってきました。The Washington Postは、暗号資産がマネーロンダリングやテロ資金供与に使用されていないかどうかといった調査が行われていると報じています。

証券法などを取り締まるSECを管轄するゲンスラー氏は、特に消費者保護を最優先に考え暗号資産に対して取り組んでいく方針です。中でも、DeFiについては投資の際に高い知識レベルが求められるとしており、近い将来に規制が整備される可能性を示唆しています。

【参照記事】Testimony Before the Subcommittee on Financial Services and General Government, US House Appropriations Committee

暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:☆☆☆】

ビットコインがシュノア署名が実現へ

ビットコインの匿名性およびスケーリング性能向上に大きく寄与する「シュノア署名」を含む大型アップデート「Taproot」が、マイナー全体の95%に対してアクティベートされました。今後数カ月以内に、ビットコインクライアントのBitcoin Coreに実装されることになります。

シュノア署名では、現状のビットコインブロックチェーンの各ブロックに含まれる署名部分をブロック外部の領域へ切り出して保管することで、ブロックに格納するデータサイズを削減する仕組みです。

署名が外部に切り出されることで、トランザクションと署名を別々に管理することができ、匿名性の向上にも寄与することが期待されています。

ビットコインの場合、プログラムをアップデートするにはマイナーの90%以上が賛成(アクティベート)しなければなりません。厳密には賛成しなくても実装はできますが、マイナーがアップデートを受け入れなければ正常にブロックチェーンを生成できないのです。

今回アクティベート率が95%を超えたことで、無事Taprootがマイナーに受け入れられることになります。ビットコインの大型アップデートは、2017年のSegwit以来となります。

【関連記事】ビットコインの大型アップデート「Taproot」アクティベート率が95%を突破、シュノア署名を実装へ

Polkadot、パラチェーンオークションに向けロードマップを発表

ブロックチェーンのインターオペラビリティ問題に取り組むPolkadotが、パラチェーンオークションに向けた今後のロードマップを発表しました。

Polkadotは、異なるブロックチェーンのハブとなることで互換性のないブロックチェーン同士を繋ぐ役割を果たします。Polkadotに繋がるブロックチェーンのことをパラチェーンといい、パラチェーンの数には上限が設けられています。

そのため、この枠を獲得するためのオークションの開催が予定されており、Polkadotにとっては非常に重要なマイルストーンです。創業者のGavin Wood氏によると、Polkadotのパラチェーンオークションは間近に迫っているといい、その前にテスト環境的な位置付けであるKusamaネットワークでオークションを実施するとしました。

Kusamaでのオークションが無事に行われた場合、いよいよPolkadotでのパラチェーンオークションが開始される予定です。

【関連記事】Polkadot、パラチェーンオークションに向けロードマップを発表

まとめ、著者の考察

今週は、香港規制当局や米国SECによる暗号資産の規制に関する取り組みが目立ちました。本コラムには記載していませんが、中国では国内のマイニング事業者を取り締まる動きも強化されており、価格の上昇に伴い規制の整備が積極的になっている印象を受けています。

一方で、ビットコインのシュノア署名(Taproot)がアクティベートされたりPolkadotのパラチェーンオークションが目前に迫っていたりと、ファンダメンタルズは着実に出てきています。

今後は価格の上下動に一喜一憂せず、本質的な仕組みの部分をしっかりと理解することがより一層重要になると言えるでしょう。

【関連記事】ビットコインとは?特徴・仕組み・購入方法
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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。