【重要ニュースまとめ(5/13~5/21)】Tetherの準備金の内訳が初公開。NFTが有価証券にあたる可能性も

今回は、5/13-5/21の暗号資産・ブロックチェーン業界の重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. 【難易度:☆】暗号資産初心者向け主要ニュース
    1-1. GMOコインがPolkadotの取り扱いを開始
    1-2. Coinbaseが上場後初の決算
    1-3. 円建てステーブルコインGYENがBinanceに上場
  2. 【難易度:☆☆】イーサリアム関連最新ニュース
    2-1. HuobiグループがHuobi Venturesを設立
    2-2. イーサリアム財団がEth2の消費電力を調査
    2-3. Vitalik氏が約70億円を慈善団体へ寄付
  3. 【難易度:☆☆☆】暗号資産・ブロックチェーン業界をめぐる規制・訴訟の動向
    3-1. NFTが有価証券にあたる可能性
    3-2. ステーブルコインTetherの準備金の内訳が初公開
  4. まとめ、著者の考察

【難易度:☆】暗号資産初心者向け主要ニュース

GMOコインがPolkadotの取り扱いを開始

GMOインターネットグループが運営する暗号資産取引所GMOコインが、国内初となるPolkadotのDOTトークンを取り扱い開始しました。Polkadotのメインイベントであるパラチェーンオークションが控える中、先行して取り扱いを開始したことはとても意義のあることです。

Polkadotは、ブロックチェーンのインターオペラビリティ問題を解消するプロジェクトで、イーサリアムの共同創業者Dr. Gavin Woodによって創設されました。Polkadotに多数のブロックチェーンを接続することで、異なるブロックチェーン同士を繋ごうとしています。

Polkadotに接続されるブロックチェーンのことをParachainと呼び、Polkadot自体は既にメインネットへローンチ済みではあるものの、Parachainを接続するための機能は未だ提供されていません。

Parachainになることができるブロックチェーンには限りがあり、オークションによって選定されます。現在は、PolkadotのメインチェーンではなくKusamaという試験的な環境でオークションが行われる直前のタイミングです。

【参照記事】ポルカドット取扱開始のお知らせ

Coinbaseが上場後初の決算

ナスダックへの直接上場(SPAC)を果たした米暗号資産取引所Coinbaseが、上場後初となる決算発表を行いました。取引量やユーザー数は順調に推移しており、課題になっていた取引所事業以外の取り組みでも結果が出始めています。

上場前に全体の95%を占めていた取引所事業による収益は15億ドルにまで増加したものの、総収益に占める割合は83%にまで下落しました。これは、取引所事業以外の取り組みが加速していることを意味します。

本人確認を完了したアカウント数は5,600万を超えており、月間アクティブユーザー数も610万を超えると発表されました。日本国内の主要取引所では、本人確認を完了したアカウント数は約100万程度となっており、Coinbaseの規模の大きさがわかる結果となっています。

Coinbaseは引き続き取引所事業以外に注力していくとしており、社会事業やメディア事業などを新たに発表しています。

【関連記事】Coinbaseが上場後初の決算、予定通り取引所事業以外の伸びが好調の結果に

円建てステーブルコインGYENがBinanceに上場

GMOインターネットグループ傘下の米国法人GMO Trustが発行するGYENが、世界最大手暗号資産取引所Binanceへ上場しました。

GYENは、米国銀行法規制に準拠した世界初となる日本円連動のステーブルコインです。日本の現行法に不明確な部分があるため現時点では日本居住者は販売対象外となっているものの、1GYEN=1円になるよう設計されています。

価格変動が抑えられているはずのGYENですが、Binanceの上場に伴い一時的に価格が数十倍に跳ね上がる事態が発生しました。原因は不明ですが、おそらく1GYEN=1ドルだと勘違いした米国居住者が大幅に買い入れを行い価格が高騰してしまったと考えられます。

一部の買い入れにより価格が大幅に変動してしまうのは流動性に大きく欠けることを意味するため、まだまだごく少数の人にしか行き渡っていないと言えそうです。

【関連記事】世界初の円建てステーブルコインGYENがBinanceに上場、大きな価格変動により一時取引停止も

【難易度:☆☆】イーサリアム関連最新ニュース

HuobiグループがHuobi Venturesを設立

日本でも暗号資産取引所を運営しているHuobiグループが、DeFiやNFT、M&Aに積極投資するための新たな取り組みを発表しました。Huobi Venturesを立ち上げ、1億ドルを投資していくとしています。

Huobiグループは、BinanceやCoinbaseに次ぐ取引規模を誇り、取引所事業で得た収益を積極的に再投資している姿勢が目立ちます。これまでに、計6,942万ドルをステーブルコインやパブリックブロックチェーンに投資してきました。

引き続きDeFiへの投資を強化していくと共に、NFTについても1,000万ドルの専用ファンドを立ち上げるとしています。Huobiグループに限らず、昨今は主にDeFiとNFTに投資が集まる傾向にあり、世界的には次々と新しいサービスが登場してきています。

【関連記事】HuobiグループがDeFiやNFT、M&Aへ1億ドルを投資、Huobi Venturesを設立

イーサリアム財団がEth2の消費電力を調査

イーサリアムの開発を主導するイーサリアム財団が、イーサリアム2.0への移行に伴い削減される電力消費量について調査を行いました。

現在のイーサリアムは、コンセンサスアルゴリズムにPoWを採用しています。PoWにはマイニングが必要であり、世間からは環境負荷が大きいとして避難の的になっています。

そのため、イーサリアムはPoWからPoSへの移行を進めており、これに伴い大幅な電力消費の削減が期待できます。イーサリアム財団は今回の調査結果として、PoSへの移行により電力消費は99.95%以下になると発表しました。

そもそもPoSにはマイニングが必要ないため、環境負荷を抑えるというイーサリアム2.0の目的がPoSへの移行によって十分達成されることになりそうです。

昨今はESG投資がもはや当たり前のものとして定着しており、その中でイーサリアムが環境に大きな負荷を与えない暗号資産として認識されれば、今後はより一層の市場の拡大に繋がるのではないでしょうか。

【参照記事】A country’s worth of power, no more! | Ethereum Foundation Blog

Vitalik氏が約70億円を慈善団体へ寄付

Elon Musk氏の影響で高騰していたドージコインに肖って誕生したSHIBA INU(SHIBA)やAKITA INU(AKITA)といったミームトークンが、Vitalikに強制的に送金されるという一時的なトレンドが発生しました。

Vitalikのウォレットアドレスは特定されており、誰でもトークンを送ることができます。SHIBAやAKITAの開発者は、Vitalikへ総発行量の半分を送りつけることで流動性を減らし、価格を上げることを狙っていたようです。

Vitalikはミームトークンに興味を持たないと考えられるため、実質的なバーン(焼却)になると考えたのでしょう。ところが、Vitalikは受け取ったトークンをイーサリアム(ETH)に換金し、手にした約70億円を全て慈善団体に寄付しました。

今回の一連の動きはブロックチェーンならではのものであり、結果的に慈善団体へ多額の寄付金が渡る結果となっています。

【関連記事】イーサリアム共同創業者のヴィタリック氏、6,000万ドル相当のETHを寄付

【難易度:☆☆☆】暗号資産・ブロックチェーン業界をめぐる規制・訴訟の動向

NFTが有価証券にあたる可能性

NFT市場を牽引するNBA Top Shotで発行される一部のNFTが、有価証券に該当する可能性が浮上しました。運営のDapper Labsがユーザーから起訴されたと報じられています。

NBA Top Shotでは、バスケットボール選手のプレイ動画をNFTとして発行し売買することが可能です。このNFTが有価証券に該当する可能性があるされています。現時点では、世界各国でNFTに関する規制は整備されておらず、主要なNFTプロジェクトが証券法に抵触するとして起訴されるのは初めての事例です。

今回の一件に合わせて、一部のユーザーからDapper Labsに対して訴訟が起こされているとも報じられています。こちらは、ユーザーがNFTを売却することで得た資金を、Dapper Labsが即時引き出せないようにしてNFTの価格を下支えしているとの主張です。

訴訟の結果がどうなるにせよ、NFTの急激な成長であるとも言え、今後の市場を左右する1つの材料になると思われます。

【関連記事】Dapper Labsが証券法違反の可能性で提訴、NBA Top ShotのNFTが有価証券にあたると主張

ステーブルコインTetherの準備金の内訳が初公開

テザー問題で世間を賑わせたステーブルコインTether(USDT)の準備金の内訳が明らかとなりました。

Tetherは、米ドルを担保に発行されるステーブルコインで、1USDT=1ドルになるよう設計されています。Tetherの発行を行うのはテザー社であり、1USDTを発行するために1ドルを準備金として銀行に預けることになっています。

しかしながら、市場に流通するTetherの総額が大きくなるにつれて、創業数年の会社がそんなに準備金を集められるのか、といった疑惑が浮上するようになりました。これがテザー問題であり、結果的に事実は明らかにならなかったものの、テザー社はニューヨーク司法当局(NYAG)からの訴訟に対して1,850万ドルの罰金を支払うことで和解しています。

そんなTetherの準備金がどのようになっているのか、今回の発表で明らかとなりました。具体的には次の通りです。

  • 75.85%:現金及び現金同等物、その他短期預金、コマーシャルペーパー
  • 12.55%:有担保貸付(関連会社への貸付はなし)
  • 9.96%:社債、ファンド、貴金属
  • 1.64%:その他の投資(デジタルトークンを含む)

このうち、75%以上を占める現金及び現金同等物のうち、実際の現金は3.87%にとどまっています。これについてテザー社は、現金以外にも流動性として考えられる資産は数多く存在している、といった主旨の主張を行いました。

【関連記事】テザー社がステーブルコインTether(USDT)の担保資産の内訳を初公開

まとめ、著者の考察

今週はDapper Labsの訴訟によりNFTが有価証券に該当する可能性が浮上したことや、ステーブルコインTetherの準備金の内訳が公開されたことなどが話題になりました。日本でも、GMOコインがパラチェーンオークション前のPolkadotをリスティングしたり、同じくGMOグループの米国法人がGYENの取り組みを加速するなどしています。

引き続きイーサリアム関連の話題が多く出てきており、イーサリアム2.0へ向けてますますの盛り上がりが感じられます。市場はビットコインを中心に価格が暴落していますが、Elon Muskの影響など一時的な情報に左右されず、ファンダメンタルズをしっかりと追っておくことが重要です。

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。