【重要ニュースまとめ(4/22~4/28)】WeWorkやPayPal傘下のVenmoが暗号資産事業を開始。米国ではDAOを法人として認める法案が可決

今回は、4月22日〜4月28日の暗号資産・ブロックチェーン業界の重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. 暗号資産初心者向け主要ニュース
    1-1. Venmoが暗号資産売買サービスを提供開始
    1-2. WeWorkが暗号資産決済を導入
  2. デジタル通貨・FinTech主要ニュース
    2-1. Signature BankがCircleと提携
    2-2. 開発者コミュニティが活発なプロジェクト
    2-3. PwCがCBDCの進捗状況をランキングを発表
  3. 暗号資産・ブロックチェーン業界動向ニュース
    3-1. Paxosが国法銀行ライセンスを取得、暗号資産関連企業として3例目
    3-2. 規制当局がBinanceの新サービスを調査
    3-3. ワイオミング州がDAO法案を可決
  4. まとめ、著者の考察

今週(4月22日〜4月28日)の暗号資産・ブロックチェーン業界は、WeWokやPayPal傘下のVenmoによる暗号資産事業の開始、ワイオミング州におけるDAO法案などが話題になりました。本記事では、1週間の重要ニュースを解説と共におさらいしていきます。

暗号資産初心者向け主要ニュース

Venmoが暗号資産売買サービスを提供開始

PayPal傘下のVenmoが、暗号資産事業への参入を発表しました。まずはビットコインやイーサリアムなど4つの暗号資産に対応するとしています。

特徴は、Venmoを通して連携先の銀行口座から直接暗号資産にアクセすることができるようになった点です。Venmoには、米国だけで7,000万人を超えるユーザーが存在しており、流通額は年間11兆円に及ぶといいます。

これまで暗号資産にアクセスするためには、取引所と銀行口座を連携させた上で、一度取引所に法定通貨を振り込む必要がありました。Venmoを活用することで、Venmoアプリから直接暗号資産を購入することができるようになります。

今回の仕組みを実現するために、PayPalは暗号資産カストディ企業PaxosPaxos Trust Companyとの提携を発表しました。また、今年の3月には同じく暗号資産カストディ企業のCurvを買収しています。

【関連記事】PayPal傘下のVenmoが暗号資産売買サービスを提供開始、1ドルから購入可能に

WeWorkが暗号資産決済を導入

コワーキングスペース大手のWeWorkが、利用料の支払い手段として暗号資産決済を導入したことを発表しました。合わせて、Coinbaseが暗号資産による利用料の支払いを行う予定であることを発表しています。

WeWorkが受け付ける暗号資産は、ビットコインとイーサリアムに加え、ステーブルコインのUSD CoinとPaxosとなっています。ポイントは、ステーブルコインを受け付けるという点です。

昨今は、暗号資産の高いボラティリティからビットコインやイーサリアムを決済手段として使用するケースが稀になっています。そこで需要が高まっているのがステーブルコインです。クレジットカード決済大手のVisaも、ステーブルコインUSD Coinに対応することを発表しています。

【関連記事】WeWorkが暗号資産決済を導入、ビットコインやイーサリアムなど複数通貨に対応

デジタル通貨・FinTech主要ニュース

Signature BankがCircleと提携

米Signature Bankが、ステーブルコインUSD Coinを自社システムに組み込むことを発表しました。ここでもステーブルコインの導入事例が登場しています。

Signature Bankは、USD Coinの発行・管理を行うCircleとの提携を通して、Circleの製品を自社システムに順次導入していくと説明しました。Circleも、USD Coinの担保資産となる米ドルの一部をSignature Bankに預けるといいます。

USD Coinは、米ドルを担保に発行されるステーブルコインで、1USDC=1ドルになるよう設計されています。ステーブルコインの価格を一定に保つために担保資産は重要な役割を果たすため、担保資産を分散させて銀行に預けるのが基本的な運用です。

ステーブルコインはブロックチェーン上に発行されているため、既存の決済システムのようにメンテナンスが発生したり休日に使用できないといった不便が起こりません。そのため、米国では銀行がステーブルコインを扱えるようライセンスの適用範囲を拡大する動きが加速しています。

【関連記事】Signature BankがCircleと提携、ステーブルコインUSDCを決済システムに統合へ

開発者コミュニティが活発なプロジェクト

暗号資産メディアDecryptが、開発者が活発なブロックチェーンプロジェクトを明らかにするレポートを公開しました。

ブロックチェーンプロジェクトを評価する場合、基本的には発行されるトークンの時価総額が指標として用いられます。そのため特段目立った動きがなくても、例えばどこかの取引所に上場したという理由だけでトークンの価格が上がり時価総額が高まることも珍しくありません。

しかしながら、ブロックチェーンの価値はエコシステムそのものにあり、どれだけ優秀な開発者がエコシステムで活動しているかが評価されるべきです。今回のレポートでは、イーサリアムを筆頭に、PolkadotやDeFi系プロジェクトが高く評価されました。

イーサリアムには、開発者が月間平均で約2,300人活動しており、過去3年間で215%の成長を記録しているといいます。Polkadotも、約400人の開発者がアクティブに活動しており、イーサリアムの成長速度を超える勢いを維持しているとされました。

DeFi領域全体では、2020年の1年間で67%開発者が増加したとされ、バブルの様相を見せた裏でしっかりとした開発者コミュニティが育っていたことがわかります。

【関連記事】ブロックチェーンを開発者の数で評価、開発者コミュニティが活発なプロジェクトが明らかに

PwCがCBDCの進捗状況をランキングを発表

大手会計事務所PwCが、各国のCBDC開発状況をまとめたレポートを公開しました。リテール型(個人消費者向け)とホールセール型(銀行間向け)でそれぞれランキングが作成されており、ホールセール型では日本が第10位に入っています。

リテール型上位の顔ぶれは、バハマ、カンボジア、中国となりました。規模の大きさから中国が世界のCBDCを牽引していることに間違いはありませんが、バハマとカンボジアでは既に全土でCBDCの商用利用が行われています。

ホールセール型では、タイと香港が同率1位、次いでシンガポールとなりました。第10位に入った日本の評価ポイントは、2016年より傘下している欧州中央銀行(ECB)との共同プロジェクトProject Stellaがあげられています。

また日銀は2020年1月に、欧州中央銀行に加えてカナダ銀行やイングランド銀行、スイス国民銀行などと共に、各国におけるCBDC活用の可能性を共有するワーキンググループを設立しており、こちらも評価ポイントになったといえるでしょう。

【関連記事】PwCがCBDCの進捗状況をランキングに、ホールセール型で日本もランクイン

暗号資産・ブロックチェーン業界動向ニュース

Paxosが国法銀行ライセンスを取得、暗号資産関連企業として3例目

米暗号資産カストディ企業Paxosが、国法銀行としての事業を提供するためのライセンスを通貨監督庁(OCC)より取得しました。

暗号資産関連企業がOCCより国法銀行ライセンスを取得するのは、AnchorageとProtegoに次いで3例目になります。2020年に9月に暗号資産取引所Krakenが取得したのは、ワイオミング州でのライセンスとなっており、全米で事業を展開することはできません。

Paxosは、PayPalやWeWorkの暗号資産事業パートナーとして選定されており、暗号資産と法定通貨の橋渡しを行う重要な役割を担いつつあります。

今回ライセンスを取得したことで、暗号資産関連事業だけでなく通常の銀行業を行うことができるようになりました。このインパクトは大きく、今後もPaxosが市場の拡大を牽引していくことが予想されます。

【関連記事】Paxosが国法銀行ライセンスを取得、暗号資産関連企業として3例目

規制当局がBinanceの新サービスを調査

暗号資産取引所Binanceが4月12日に発表したばかりの新サービスが、規制当局の調査対象になっていることがわかりました。

Binanceは、株式をトークン化することで少額から取引可能なBinance Stock Tokensを開始していました。このトークン化された株式が証券に該当するのではないかということで、香港と欧州の規制当局が調査に乗り出したとされています。

株式のトークン化は、既にデリバティブ取引所FTXで提供されていたサービスです。FTXに調査は入っていないとされていますが、BinanceもFAXも同じ事業パートナーと共に同様のスキームで提供しています。

株式のトークン化は、株式に対して少額から投資できるという点で画期的なサービスとして注目を集めていました。一般的な証券取引所で株式を購入する場合、最低購入単価が高値に設定されていることが多く、若年層や個人投資家が手を出しにくい状況であることが少なくありません。

株式をトークン化し細分化して販売することにより、少額から投資に参加することができるのです。

【関連記事】Binanceのトークン化された株式の取引サービスが規制当局の調査対象に

ワイオミング州がDAO法案を可決

米ワイオミング州で、DAOが法人として認められる法案が可決されました。長年続いてきた株式会社のアップデートとして注目を集めるDAOが、ついに法的効力を持つようになります。

法案の施行は7月21日を予定しており、法案が提案された2月3日からわずか数ヶ月でのスピード承認となりました。

特徴は、DAOで定義されるスマートコントラクトと定款を紐づける点にあります。株式会社の場合、定款に規定された事業内容に従って営業活動を行いますが、DAOは基本的に全てスマートコントラクトにより自動実行されます。

そのため、スマートコントラクトを定款と同じ役割を果たすものとみなし、スマートコントラクトの追加・変更が発生する場合には定款も合わせて修正するよう定められました。

今回の法案は過去に事例がない先進的な取り組みであるため、想定外の不正を防止するための仕組みも加えられています。具体的には、ワイオミング州が不適切だと判断したDAOについては、本法案の適用外とすることが可能です。

【関連記事】ワイオミング州がDAO法案を可決、DAOが法人として認められることに

まとめ、著者の考察

暗号資産を決済手段や取引プラットフォームに組み込む企業が急激に増えています。今週だけでもWeWorkやVenmo、Signature Bankといった大手企業の取り組みが出てきました。

昨年との違いとしては、ビットコインやイーサリアムだけでなくUSD Coinをはじめとするステーブルコインの台頭が目立ってきた点があげられるのではないでしょうか。USD Coinについては、Circleと共に発行・管理を行うCoinbaseが上場したことが大きく影響していそうです。

業界外の大手企業が参入することで市場の地盤が固められる一方、株式のトークン化やDAO法案といった先進的な取り組みも継続して出てきています。今後も全体として良いバランスを維持して市場が拡大することが期待できそうです。

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。