【重要ニュースまとめ(4/8~4/14)】プロトコルが莫大な資金を稼ぎ出す、主要DAOのTreasuryが明らかに。Binanceがトークン化された株式の売買サービスを開始

今回は、4月8日〜4月14日の暗号資産・ブロックチェーン業界の重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. DAOのTreasuryが一覧化
  2. Binanceがトークン化された株式の取引プラットフォームを発表
  3. NFTにアンケート調査が実施
  4. まとめ、著者の考察

今週(4月8日〜4月14日)の暗号資産・ブロックチェーン業界は、CoinbaseのIPOを中心にBinanceの新サービスやNFTに関するアンケート調査などが話題になりました。また、プロトコルが想像以上のマネタイズを実現している事実にも注目が集まっています。本記事では、1週間の重要ニュースを解説と共におさらいしていきます。

DAOのTreasuryが一覧化

Open-Orgs.infoという主要な自律分散型組織(DAO)のバランスシートを一覧化したサイトが登場しました。UniswapやCompound、Aave、MakerDAOといったDAOのTreasuryがまとめられています。

DAOは、株式会社などをアップデートした次世代型の運営組織であり、当然ながら運営するための資金が必要です。従来の会社と違い、特定の誰かによって資金が管理されないのが特徴で、基本的にはスマートコントラクトによって制御されます。

例えばMakerDAOでは、Treasuryが一定額に到達したタイミングでガバナンストークンMKRの保有者から買い取るためにに使用されます。MKRの保有者は、MKRを持っていることでMakerDAOのガバナンスに参加することもできますが、MKRの価格が上がってきたらそれをMakerDAOに買い取ってもらうことでキャピタルゲインを得ることも可能です。

他にも、将来的には貯まったTreasuryをMKRの保有者に分配する仕組みが検討されています。これらは全て自動実行されており、持続可能なプロトコルとして既に十分な実績を示しているのです。

プロトコルがマネタイズできるようになることで、昨今のGAFAM問題のようなことは発生しなくなると考えられます。なぜなら、特定の管理者が存在するサービスではなく分散型のWeb3.0サービスを使用できるようになるからです。

Web2.0のプロトコルといえばHTTPやFTPがあげられますが、いずれもその価値は可視化されていません。しかしながら、我々は意識していないだけで実質的にはサーバやアプリケーションの利用料に上乗せされる形で料金を支払っています。

Web3.0では、トークンを通してプロトコルに対して直接的な支払いまたは投資が可能になりました。わかりやすいのがイーサリアムのEther(ETH)です。イーサリアムに対してガス代を支払ったりETHを投資対象として保有することができます。

これは、かの有名なFat Protocol理論が伝えたかった未来そのものであり、本質的に重要なプロトコル群の価値が評価されるようになったことを意味します。現時点で、主要DeFiプロトコルは以下のように莫大なTreasuryを稼ぎ出しています。

  • Uniswap:$6,257,915,680
  • Compound:$1,836,369,124
  • Aave:$1,159,013,330
  • MakerDAO:$23,570,424
  • Nexus Mutual:$21,873,532

【参照記事】Open-Orgs.info

Binanceがトークン化された株式の取引プラットフォームを発表

暗号資産取引所最大手のBinanceが、株式をトークン化することで暗号資産として取引することができるBinance Stock Tokensを発表しました。この領域は、暗号資産のデリバティブ取引で急速な成長を遂げているFTXが先行しています。

株式のトークン化というとセキュリティトークンがイメージされますが、FTXやBinanceのサービスでは自社の株式をトークン化するのではなく、株式市場で実際に売買されている現物株式をトークン化します。

具体的には、いずれも提携先のCM-Equity社が株式市場でトークン化の対象となる株式を購入し、FTXとBinanceに提供しています。つまり、トークンとして売買できる上限は、CM-Equity社が購入した分の株式総額になるのです。

FTXは、過去にAirbnbなどの株式をトークン化して顧客に提供しており、少額で株式に投資できる座組みを整備してきました。今回BinanceはTeslaの株式をトークン化して提供するとしています。

セキュリティトークンとトークン化された株式との違いとしては、やはり規制の文脈で大きく異なると考えられます。セキュリティトークンは既存の金融規制で制御されますが、トークン化された株式はあくまで暗号資産であるため、暗号資産の規制で制御されます。つまり、前者の方が規制が厳しく後者の方が動きやすいのです。

Binanceは、今回のサービスに取引手数料を設けておらず、需要があればTesla以外にもトークン化する株式を追加するとしています。まずはテスト的にやってみようという姿勢が伺え、既存金融と比べてかなりの動きやすさが感じ取れるでしょう。

株式をトークン化する意味は、少額で実質的に株式投資ができる点にあります。Binanceは、Tesla株を実際の1/100の金額から購入できるように設計しており、700ドル以上のTesla株に手が出せない投資家の需要に応えることができそうです。

暗号資産は若年層に受け入れられている金融資産となっており、暗号資産に投資したことはあっても株式には投資したことがないという人が数多く存在します。トークン化された株式は若年層の投資行動を更に促すことに繋がりそうです。

【参照記事】Binance Launches Zero-Commission, Tradable Stock Tokens

NFTにアンケート調査が実施

米国の調査会社The Harris Pollが、NFTに関するアンケートを実施しました。調査は18歳以上の米国居住者1,088人を対象に行われ、81%の人がNFTを知っていると回答し、その40%がNFTに詳しいと認識しているといいます。

一方で、NFTを購入するために使用する金額は非常に低く、中央値でわずか10ドルにとどまりました。また、大部分の人が100ドル以上は使用しないと回答しています。

NFTの購入に関しては、NFTに詳しいと認識している人のうち40%が購入の可能性を示唆し、38%が投資対象としての価値があると回答しました。

購入目的の質問では、全体の40%が投資対象、36%がアートコレクションと回答しています。人気のNFTは、音楽(36%)、デジタルアート(35%)、動画(33%)とそれぞれ続く結果となりました。デジタルコンテンツであるNFTは、動画に音楽をつけたりアート機能を動かすことができたりするため、この質問には明確な区分はなさそうです。

NFTブームが続いている要因としては、やはりわかりやすさという点があげられるでしょう。「コピーできないアート作品」や「コピーできないデジタルコンテンツ」といった謳い文句で日々メディアに取り上げられていますが、アート作品やデジタルコンテンツそのものは今まで通りコピーすることができます。

NFTを販売するときも、マーケットプレイスにアップロードしたデジタルコンテンツを売却したからといって手元からそのデジタルコンテンツが消えるわけではありません。

今まさにNFTの価値は何かという議論が進んでいますが、何を持って唯一無二のものとするかは改めて認識を統一する必要がありそうです。

【参照記事】NFTのアンケート調査、購入目的や認知度が明らかに

まとめ、著者の考察

MakerDAOやUniswapがかなりの額を稼ぎ出していることは何となく認識していましたが、いざ数値化してみるとその大きさには驚かされました。ローンチ後数年のサービスと考えると、集権型でスピード感を持って事業展開しても、なかなか再現できるものではないでしょう。これを分散型で実現してしまっているという事実には、ただただ驚くばかりです。

一方で、BinanceやFTXなどの集権型サービスもこの業界は驚異的な成長を記録しています。本稿執筆時点(4/14)でCoinbaseのIPOが当日に迫っていることもあり、益々の盛り上がりを感じます。

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。