【2020年2月の重要ニュース5選】暗号資産・ブロックチェーン業界をまとめておさらい

2月の暗号資産・ブロックチェーン業界は、コロナウイルスや内閣官房主催のブロックチェーン有識者会議などが話題となりました。本記事では、2月に話題となった重要トピックを解説と共におさらいしていきます。

目次

  1. CBDCの議論が加速
  2. ステーキング関連団体POSAの取り組み
  3. 日本政府、ブロックチェーンの取り組みを本格化
  4. DeFiのエコシステムを揺るがす事件が発生
  5. コロナウイルスの影響は暗号資産市場にも

CBDCの議論が加速

2月に最も大きくメディアを賑わせたのは、中央銀行の発行するデジタル通貨「CBDC(Central Bank Digital Currency)」だといえるでしょう。1月末に開催されたダボス会議2020を受け、2月初旬には世界各国の行政および公的機関による、CBDCへの取り組みが報道されました。これらの背景には、Facebook主導のLibraや中国のDCEPの存在があります。

日本でも、イングランド銀行や欧州中央銀行などを含む6つの中央銀行と共同で、デジタル通貨の研究を行う新組織の設立を発表しています。この新組織は、2020年4月の中旬に会合を開くことを予定しており、異なる通貨間での決済やセキュリティなどについて議論されます。会合は、国際通貨基金(IMF)のカンファレンスに合わせて米ワシントンで開催される予定です。

これに先駆けて、日本銀行は2月27日「決済の未来フォーラム:中銀デジタル通貨と決済システムの将来像」と題した公開討論会を開催しました。この討論会は、有識者との議論を通してCBDCにおける利点やリスクを深めていくことを目的としています。

冒頭の「中銀デジタル通貨と決済システムの将来像」と題された雨宮氏の挨拶でも、CBDCに関する内容が大部分を占めました。また、ステーブルコインについても言及され、民間のイノベーションを阻害しないよう、官として適切な規制や監督を行っていく方針を表明しています。

【参照記事】Bank of Japan, ECB and other central banks to discuss starting digital currencies
【参照記事】【挨拶】中銀デジタル通貨と決済システムの将来像

ステーキング関連団体POSAの取り組み

日本でも2020年に入ってから急激に話題になることが多くなったステーキングが、2月も引き続き大きな動きをみせています。ここでは、ステーキングに関する話題の中心となったPOSAについて紹介します。

POSAは、近年注目を集めるPoS(Proof of Stake)に関する協会団体です。立法および規制当局に対するPoSの理解を促すために設立された組織であり、2019年8月にPolychain CapitalやWeb3 Foundation、Solanaといった12の企業および団体によって設立されました。2月には新たに、Coinbase CustodyとBison Trailsの2団体が加わっています。

PoSでは、自身の保有する暗号資産をネットワークにロックすることで、ブロックチェーンのエコシステムに貢献し、その報酬として暗号資産を受け取ります。この一連の流れがステーキングであるため、ステーキングが拡大するにはPoSの発展が欠かせません。POSAは、PoSにおける規制、特にステーキングによって得た報酬に対する税制の整備に奔走しています。

ステーキングについては、世界最大規模の暗号資産取引所であるBinanceを筆頭に、CoinbaseやKrakenなどが積極的な取り組みをみせています。

【参照記事】国内外で注目の仮想通貨ステーキングサービス、米国PoS協会がメンバー拡大中
【参照記事】Coinbase Custody and Bison Trails Join Proof of Stake Alliance

日本政府、ブロックチェーンの取り組みを本格化

日本のブロックチェーン産業は、2月に大きな一歩を踏み出しました。2月18日に、内閣官房主催の「ブロックチェーンに関する関係府省庁連絡会議」が開催され、bitFlyerの加納氏や森・濱田松本の増島弁護士といった有識者が招待されました。筆者も同じく招待され、政策への提言を行っています。

開催の背景となったのは、CBDCと同様にFacebook主導のLibraや、中国の国家戦略としてのブロックチェーン活用の発表が大きく影響を与えています。これまで国内では、各府省庁が独立してブロックチェーンに取り組んできました。しかし今回の連絡会議では、内閣官房が主導となり全ての関係府省庁を取りまとめています。

「非金融」をテーマに会は設定され、有識者会議ではブロックチェーン活用に関する政策への提言が行われました。進行中は暗号資産に関する言及は少なく、まさにブロックチェーンについての会議となった印象を受けています。ブロックチェーンに焦点を当てた会議は今回が初めてであり、日本のブロックチェーン産業における歴史的な一歩になったといえるでしょう。

DeFiのエコシステムを揺るがす事件が発生

2017年頃より海外で話題となり、昨年日本にも本格的に上陸した分散型金融(DeFi:Decentralized Finance)の概念が日に日に存在感を増しています。そんなDeFiのエコシステム全体を脅かす攻撃が、2月15日に発生しました。

被害を受けたのは、約1550万ドルの資金総額をロックしており、2月時点で7番目に大きなDeFiプロジェクトとなっているbZxです。攻撃者はbZxに対して、1トランザクション内であれば無担保で暗号資産を借り入れ可能な「フラッシュ・ローン」を活用し、無担保で多額の利益を上げました。

具体的には、異なるDeFiプロジェクトを同時に活用し、一方では借り入れ一方では返済を行い、ETHの需給相場を崩すことで差益を獲得しています。つまり、アービトラージを人為的に発生させたのです。

なお、攻撃を受けたbZxはプラットフォームの一部を閉鎖し、攻撃を防ぐためのアップデートを行いました。今回の攻撃で発生した損失は、bZxが補填するといいます。

本件に関しては、DeFiプロジェクトに対する保険サービスであるNexus Mutualが、初の補償を出したことでも話題となりました。Nexus Mutualでは、保険を適用するか否かの決定をコミュニティが行います。従って、Nexus Mutual自体がDeFiプロジェクトだといえるのです。

急速な盛り上がりをみせているDeFi分野では、以前よりこういった複数のプロジェクトを連携させることによる脆弱性が指摘されていました。今回、実際に攻撃が成功してしまったことにより、全てのDeFiプロジェクトにとって他人事ではなくなったといえるでしょう。

【参照記事】システムの穴を突いて仮想通貨ETHを大量に獲得した方法:元GoolgeエンジニアがbZx不正利用問題を解説
【参照記事】bZxの被害額に保険 DeFi保険プロジェクト、初の補償を実施へ

コロナウイルスの影響は暗号資産市場にも

日本でも本格的に拡大しているコロナウイルスの影響が、全世界の暗号資産市場に猛威を振るっています。2月の米国金融市場では、景気減速を警戒した売りが入り記録的な下落相場となりました。ビットコインの価格も、連動するかのように大幅な下落をみせています。

一方のゴールドは7年ぶりの高値を記録しており、「デジタルゴールド」と呼ばれてきたビットコインとは対象的な動きとなりました。これは、ビットコインがデジタルゴールドとしての潜在的な需要を満たせていなかったことの表れだと考えられます。ビットコインの今後を占う上で、単純な価格の下落にとどまらない影響を与えたといえるでしょう。

また、2月26日に厚生労働省より正式に発表されたイベントの延期または規模縮小などの対応要請は、暗号資産業界にも影響を与えています。日本経済新聞社と金融庁は2月27日、3月に開催予定の国際ブロックチェーンサミット「BG2C FIN/SUM BB」の延期を発表しました。

韓国でも、ソウル市で開催予定だったTRON Foundation主催のniTROn SUMMIT2020の延期が確定しています。またベトナムでは、世界最大規模の暗号資産取引所バイナンス主催のBinance Blockchain Week Vietnamが延期されました。いずれも今後の開催は未定となっており、貴重な情報共有の場が次々と失われています。

コロナウイルスの発端となった中国では、ブロックチェーンを活用したマスクの予約販売プラットフォームが登場しました。江蘇省の蘇州市におけるこの取り組みでは、マスクの販売に公平性と透明性をもたせるためにブロックチェーンが活用されています。市は同済大学などと共同で「蘇州同済区ブロックチェーン研究院」を設立しており、同院が今回の取り組みを主導しています。

【参照記事】米国株の記録的な下落も「押し目買いは危険」 ゴールドマンとシティが警告 仮想通貨投資家の動向は
【参照記事】中国でマスクの抽選販売にブロックチェーン活用

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田上智裕

田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。