今回は、BATの現況と今後の展望について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- BATとは?
- Braveの3つの特徴
2-1. 読み込み速度が圧倒的に早い
2-2. ネット広告のトレースから逃れる事ができる
2-3. Brave上で広告を閲覧することで報酬が受け取れる(対象国のみ) - BATの現状
- BATの今後
4-1. bitFlyerとの連携サービスで利用が拡大
4-2. DeFiやNFT分野との連携 - まとめ
日本の仮想通貨取引所で取扱いが増えたことで注目が高まっているBAT(ベーシック・アテンション・トークン)ですが、今回はBATの現状と今後の展開について解説します。
①BATとは?
まずはBATとそのプラットフォームであるBraveについて基礎的な事項を解説します。BATはBasic Attention Token(ベーシック・アテンション・トークン)の略で、2017年5月にアメリカ・サンフランシスコにあるBrave Software, IncによりERC20トークン規格で発行されました。トークン発行枚数は15億BATで、全て発行済みとなっています。最大の特徴はBraveというウェブブラウザをプラットフォーム上で使用されるトークンであるという点です。
WEBブラウザはインターネットのホームページを表示するソフトウェアの総称で、GoogleのChromeやAppleのsafari、Windows Internet Explorerなどが有名です。BATを理解する為にはBraveブラウザの仕組みを知る必要があるため、まずはBraveの特徴について詳しく解説します。
②Braveの3つの特徴
Braveは、現状のインターネットの仕組みにおけるトラッキングからのプライバシー保護を目的として設計されたブラウザです。Braveの特徴としては以下のものがあります。
読み込み速度が圧倒的に早い
Braveはページ読み込み速度がPCで3倍、スマートフォンで最大8倍高速になると謳っています。
その理由は、広告をブロックすることによりWEBページの容量が軽くなり、その結果読み込み速度が速くなるためです。その結果、メモリ使用量が最大66%減、バッテリーの消費量が35%減とコンピューターや環境への負担が軽減されることになります。
実際にダウンロードして使った感想としては、期待以上に快適なブラウジングが実現しています。お気に入りなどの設定やGoogleのログイン情報も簡単に移行でき、全く違和感なく使用することができます。
ネット広告のトレースから逃れる事ができる
従来のブラウザでは、ユーザーは望まぬ広告を強制的に見せられ、間接的にコンテンツにコストを払っています。その際、不要な広告コンテンツを表示するためにPCの計算処理能力が奪われるだけでなく、ユーザーデータを広告主へ提供しています。
BraveではBrave Shieldsという機能で広告をブロックすることでウェブサイトの表示時間やユーザー情報の送信を阻止しています。
Brave上で広告を閲覧することで報酬が受け取れる(対象国のみ)
「Brave Rewards(ブレイブ・リワーズ)」という機能を有効にすると広告を閲覧したユーザーに仮想通貨BAT(あるいはBATポイント)が報酬として付与される機能があります。Brave Rewardsに参加すると、自動的にどのサイトにユーザーの関心が向けられているかを計測します。ただし、他のブラウザと違ってすべてのプロセスは匿名化され、データはユーザーのデバイス上にだけ保存され、中央サーバーに送られることはありません。
そして月に一度、関心度に応じてユーザーのブラウザ内のウォレットから各サイトに対してポイントが送られます。特定のサイトにBAT(BAP)を送りたくない場合はリストから削除することもでき、直接クリエイターにチップを送ることも可能です。このBAT(BAP)はYouTubeでの投げ銭やBraveと提携したサイトで使用することができます。
BATはゼロナレッジポリシーに基づいて設計されているため、Brave社も含めて誰もが、誰が・どのサイトを支援しているか分かりません。唯一、各サイトに送られたBATを集計することだけが可能になっています。
③BATの現状
BATの価値が上がるためにはBraveのサービス拡大が必須です。そこで、まずは現状のBraveの普及具合や取り組みなどがどのようになっているのか解説します。
2020年11月にBraveの月間アクティブユーザー(MAU)は2,050万人となっており、1年前の870万人から2.3倍に成長しています。1日のアクティブユーザー(DAU)も700万人を突破し、Google Playでは最も評価の高いブラウザとなり、iOS14搭載のappleデバイスでは標準オプションとなっています。
また、海外を中心に毎月380万人以上のユーザーがBrave上でBATトークンを使用しており、これまでに1,300万を超えるBrave / BATリワードウォレットが作成されています。Brave社によると年末までに5,000万MAUと1,700万DAUに成長すると予想されています。
Braveのエコシステム内で活動する認証済みクリエーターは既に100万人を超えています。また、ユーザーからクリエーターやWikipediaなどのパブリッシャーに寄付されたBATは2,600万BAT(2021年4月のレートで約34億)を超えています。
また、BINANCEとの提携により、Brave上で仮想通貨の購入、取引などの管理ができる機能も実装されています。
④BATの今後
順調に成長しているBraveエコシステムですが、今後はどのような展開が待っているのでしょうか?
bitFlyerとの連携サービスで利用が拡大
2021年4月からBraveはクリエイター向けにbitFlyerとの連携サービスを始めました。今後は日本のBrave Rewardsでの報酬がBATポイント(BAP)からBATを使用した新しいシステムに移行され、Brave上で獲得したBAT残高の全てがbitFlyerのアカウントに振り込まれることになります。この提携で日本でもますますクリエイターの参加が増えていくと予想されます。
DeFiやNFT分野との連携
2021年2月に発表されたBATのロードマップ2.0にはDeFiやNFTとの連携について書かれています。
BraveのエコシステムでDeFiの基板となるのはBrave Walletです。このウォレットは、既存の暗号ウォレットに代わる新しいイーサリアムウォレットを実装することにより、クレジットやデビットカード、銀行口座、スマートフォンのウォレットなどの現行の法定通貨の支払い方法で仮想通貨を購入する事ができるようになることを目指しています。
また、将来的にBrave Rewardsを通じて獲得したBATを利用して取引手数料が支払えたり、Brave内でNFTの使用をサポートする予定です。またその他にも、すべての人にDeFiを提供する為にBrave DEXアグリゲーターという新しい分散型エクスチェンジ機能を実装し、取引手数料の支払いにBATを利用する場合の割引やウォレットにBAT残高を保持しているユーザーに対する割引、マルチチェーンサポートを可能にするとされています。
⑤まとめ
現状のWebブラウザのあり方に疑問を呈し、ブロックチェーン技術を活用してプライバシーを保護する目的で作られたBraveが今後DeFi分野に進出すれば、多くの先進的な支持者を集める可能性が考えられます。
Braveに興味を持たれた方は実際にダウンロードして使用してみるのもおすすめです。また、Braveブラウザの将来性に期待する方は、仮想通貨BATに投資することを検討してみても良いでしょう。日本ではGMOコイン、bitFlyer、Coincheck、bitbankが取り扱っているのでチェックしてみてください。
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中島 翔

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