【元トレーダーが解説!】複数の取引所で行うアービトラージ取引とは?

証券会社を経て、仮想通貨(暗号資産)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。

目次

  1. アービトラージ取引とは?
  2. アービトラージ取引を行う方法は?
    2-1. 取引所に日本円とビットコインを入れておく
    2-2. 価格差が発生したタイミングで購入と売却を行う
  3. アービトラージで注意するべきこと
    3-1. 複数の取引所を利用する場合はある程度まとまった資金を
    3-2. ビットコインで保有している間はビットコインの為替リスクが発生
  4. アービトラージで利用する取引所は?

仮想通貨(暗号資産)市場には取引所が複数あり、同じ銘柄が複数の場所で別々に取引されています。日本では仮想通貨FXが取引規模の大半を占めていますが、仮想通貨を資産運用の一つとして利用したいと考える方も多いでしょう。

仮想通貨市場の特徴の一つは、同じ銘柄が同じ価格で売買される公開市場ではないため、取引所毎のユーザーの資金フローによっては、価格が大きく異なるタイミングもあることです。

ここでは複数の仮想通貨取引所を利用するトレード方法として有名な「アービトラージ取引」について解説したいと思います。

アービトラージ取引とは?

「アービトラージ取引」という言葉を聞かれたことがある方も多いでしょう。アービトラージ取引とは日本語で「裁定取引」とは呼ばれています。アービトラージ取引は市場の歪みから発生する価格差を利用して無リスクで利益を得ようとする取引手法です。

つまり同じ商品でありながら取引価格がズレているタイミングを見つけ、取引価格の安い取引所で購入し、高い取引所で売却を行い利益を得る動きとなります。下記が実際のアービトラージの簡単な説明です。

 Arbitrage

このように、無リスクで収益化できるアービトラージはとても魅力的な取引方法と言えるでしょう。

アービトラージ取引を行う方法は?

次にアービトラージを行う方法について解説したいと思います。アービトラージは2つの取引所間で価格差があれば実行可能ですが、その価格差が生じている時間は短いことが多いため迅速な対応が必要です。

国内の仮想通貨の価格一覧サイト等を利用して、まずはどのくらいの価格差が出ているのかを把握する必要があります。様々なサイトでビットコインの価格一覧が表示されていますので、それらを参考に価格差をチェックするようにしましょう。

Arbitrage 2
引用:

こちらは「Coin Choice」というサイトから抜粋したものです。このように国内取引所毎の売買レートが表示されており、リストの中で最も価格差が開いている2つの取引所が下部に表示されています。

それでは、実際にアービトラージ取引の行い方を説明します。

1.取引所に日本円とビットコインを入れておく

まず最初に行うことは、取引所に「日本円」と「ビットコイン」を入金しておくことです。

例えばCoincheckに日本円を100万円入金してビットコインを50万円分購入し、bitflyerにも日本円を100万円分入金してビットコインを50万円分購入して、2つの取引所に同じ割合で保有します。これでアービトラージの準備が完了となります。仮想通貨FXの取引であれば日本円のみでもいいのですが、現物でのアービトラージの場合、ビットコインを売却するケースもあるため、ビットコインを預入れておく必要があります。

ところで、「安い取引所でビットコインを買い、より高い価格がついている取引所にビットコインを送って売却すればいいのではないか?」と思われるユーザーもいるかもしれません。しかしビットコインの送金は早いとはいえ数十分かかる場合もあります。安いところで購入しても、売却するまでの間に価格が変動し、アービトラージが成立しない可能性が高くなります。

アービトラージ取引において、「購入(ロング)」と「売却(ショート)」は同時に行う必要があります。覚えておきましょう。

2.価格差が発生したタイミングで購入と売却を行う

次に、先ほどのサイトなどをチェックして、アービトラージのチャンスが生じたらポジションを構築することになります。皆様の中には「常にパソコンの前やスマホに張り付いていないとできないのか?」と思われる人もいるでしょう。しかし、そうではありません。

「アービトラージのチャンスはなぜ発生するのか」という構造上の理由を理解しておけば、チェックするタイミングを減らすことができます。自動売買で行うアービトラージ専門トレーダーもいるので、そのような方法に比べれば初動は遅れますが、それでも正しく行うことで利益を上げることができます。

取引所同士で価格差が発生する大きな理由は「取引所の流動性の違い」です。つまり、売買板を見て、大口(高額)の注文が在り、ユーザーや取引量が多い傾向のある取引所の流動性は「高い」といえます。こういった取引所の価格変動幅は、流動性が低い取引所と比較して小さくなります。

反対に、売買板の注文量が少ないいわゆる「流動性の低い」取引所では、相場が急変した際に入ってきた注文を消化することができないため、大口の成行注文が入ると市場価格から遠い注文まで約定する場合があります。

相場が急変した時にチャート上で「ヒゲ」が形成されますが、取引量が少ないことが主な原因です。「なぜ価格差が生じるのか?」という理由を理解しておくことで、アービトラージで利用する取引所選びにも活かすことができます。

また、push通知等を利用して、価格が大きく変動した場合に通知が来るように設定しておきましょう。

アービトラージで注意するべきこと

複数の取引所を利用する場合はある程度まとまった資金を

アービトラージを行う上で注意すべきことは「様々な取引所を利用する場合、相応の資金力が必要になること」です。アービトラージはリスクを取らない代わりに、リターンも月に1%から5%程度出ればいい方です。

しかし、いつチャンスが訪れても対応できるように取引所に入金した状態を維持しないと行けません。ビットコインのボラティリティが低い期間には、アービトラージの機会も減少します。その場合、資金効率が悪くなることも心得ておきましょう。

ビットコインで保有している間はビットコインの為替リスクが発生

次の注意点はとても大事です。最初に「取引所に100万円入金した場合、半分の50万円をビットコインに変えて準備しましょう」と説明しました。この時、ビットコインに交換した瞬間から「ビットコイン円」の為替リスクを追っているということを理解しましょう。

仮にアービトラージで2%の利益を出したとしても、ビットコインの為替差損で2%以上の損失を被った場合は、トータルでマイナスのため運用の意味がありません。

その場合、仮想通貨FXでリスクをヘッジしておく必要があります。仮に1BTC分を現物で保有した場合は、仮想通貨FXで1BTC分をショートしておくことを意味します。これで、円建てでビットコインが下落しても、現物で損失を被る分を仮想通貨FXで利益が出るため、損益は0のままになります。

アービトラージを仮想通貨FXで行う場合はヘッジは必要ないので、この点は分けて考えてください。

アービトラージで利用する取引所は?

アービトラージで利用する取引所でのおすすめは「流動性の低い取引所」と「流動性の高い取引所」です。

日本の取引所であれば、Coincheckとbitflyerの取引所の組み合わせが無難です。または、DMM bitcoinやGMOコイン等の大手企業が運営している取引所でもOKです。

流動性が低いところは価格が飛びやすく、アービトラージのチャンスが多い一方で、瞬時に平常に戻るという特性があります。そのため手動でアービトラージを行うのはなかなか大変です。最初は流動性がある程度あるところで、小さな収益を出しながら、アービトラージの方法について慣れていくことがいいでしょう。アービトラージ取引は、安定して価格差が出ている方が取引を行いやすくなります。

現在ではアービトラージ取引専用のソフトが開発されており、自動売買でアービトラージを行う投資家も増えてきていますが、手動でも取引は可能です。

アービトラージは複数の取引所を利用できるという仮想通貨特有の環境があることから簡単にできるものです。少しでも確実に利益を出すことからスタートして、どの取引所がアービトラージがしやすいのかは、それぞれ口座開設をして利用しながら傾向を掴むようにしましょう。

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中島 翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。証券アナリスト資格保有 【運営サイト】FXの車窓から