ソーシャルレンディング大手3社の最新決算を徹底分析!

日本には20社以上のソーシャルレンディング会社があります。投資先を選ぶ時には、案件の収益性や安全性以外にも、ソーシャルレンディング案件の運用を行うソーシャルレンディング会社自体の信用性も見て行きたいところです。

ソーシャルレンディングは信託保全が行われていないため、運用元の会社が倒産すると投資した資金が失われる可能性があります。そこで今回は決算情報を発表している大手のソーシャルレンディング会社の中から、その投資先の倒産リスクなどを考えてみたいと思います。

目次

  1. 国内最大手ソーシャルレンディング仲介サイト「maneo」決算情報
  2. SBIグループ会社が運営「SBIソーシャルレンディング」決算情報
  3. 東証の上場企業が運営する「オーナーズブック」決算情報
  4. 大手ソーシャルレンディング会社は黒字化を達成しつつある
  5. まとめ

1 国内最大手ソーシャルレンディング仲介サイト「maneo」決算情報

日本国内最大手のソーシャルレンディングサイトといえばmaneoです。2008年からソーシャルレンディングサイトの運営を始め、今年で丸10年。これまで投資家から集めた累計の金額は1,300億円を突破しています。

一方でmaneoは上場を果たしていないため、決算情報を公開する義務を負っていません。しかし自社サイト内ではmaneoグループとして決算情報の公開を行っています。

最新の決算情報については以下のリンクから確認できます。
https://www.maneo.jp/common2/pdf/ir/2018_maneo_market_consolidated.pdf?201807021100

maneoの決算

この表を見てわかるのが、まずmaneoが現在運用している匿名組合出資金の金額です。匿名組合出資金とは投資家から預かったお金を指しており、maneoが355億円(小数点以下切り捨て)の資金を投資家から預かっていることがわかります。営業貸付金はmaneoが事業者に対して融資しているお金のことを指しており、この財務諸表から分かるように、355億円を預かって348億円を融資していることになります。それとは別に、投資家が同社のデポジット口座に預けているお金(投資家預り金)が18億円あることもわかります。

maneoの損益

そしてこちらは売上高や利益の数字です。前年度と比較すると売上高で約11億円、営業利益で約4億円の伸びとなっています。

  • 2016年3月期 売上:21億9,149万円 経常利益:3億4,314万円
  • 2017年3月期 売上:32億9,565万円 経常利益:7億4,465万円

ソーシャルレンディングでは貸付金の金利収入が運営会社、そして投資家の収入になります。そのため貸付金が増えれば増えるほどmaneoの利益も増加します。貸付金の順調な増加が経常利益に大きく寄与しているのがこの表から分かるでしょう。従ってmaneoの現時点での経営状況は、良好な状態にあることがわかります。

2 SBIグループ会社が運営「SBIソーシャルレンディング」決算情報

次はmaneoに次ぐ規模を誇るSBIソーシャルレンディングの決算情報です。SBIソーシャルレンディングは株式上場を果たしていませんが、親会社であるSBIホールディングスが東証一部上場企業です。これまでの累計募集金額も400億円を突破し、募集金額も順調な伸びを見せています。

こちらも下記のリンクから2018年3月期の財務状況を確認できます。

https://www.sbi-sociallending.jp/system/application/views/common/SL_BS_PL_11.pdf

貸借対照表の数字を見ると、匿名組合預り金は225億円です。SBIソーシャルレンディングでは、融資額が200億円を突破したというプレスリリースも行っています。負債として計上される金額が200億円を突破すると、大会社法が適用され、企業として開示の義務を負うようになります。SBIソーシャルレンディングも、これまで以上に投資家への情報開示や、コンプライアンスの遵守が求められるようになります。

一方で気になるのが利益剰余金です。こちらは累計で5億1,000万円の赤字です。つまり2011年の営業開始からの成績を見れば、SBIソーシャルレンディングのサービスは、事業としてはまだまだ投資段階にあると考えられます。

こちらは平成29年度の損益計算書です。売上高は13億9,538万円、当期純利益は1億4,287万円となっています。単期で見れば黒字化を達成していますが、これまでの営業成績の赤字により、累計では黒字化を達成できていません。

ここ数年のSBIソーシャルレンディングの利益剰余金の累計赤字額は以下のようになっています。

  • 2016年3月 6億6,304万円
  • 2017年3月 6億5,366万円
  • 2018年3月 5億1,078万円

このように2016年3月期の決算では6億6,304万円もの赤字がありました。2017年度はわずかに減らすことに成功し、この時点で単期での黒字化を達成していたことがわかります。2017年度は1億4,287万円の黒字により利益剰余金の赤字を減らすことができています。

SBIソーシャルレンディングの発表資料を見ると、2017年度の約1年間で100億円を投資家から集めています。このペースで募集金額を1年間で200億円集めることができれば、同社の単期での利益は約3億円に達すると考えられます。

よって2~3年程度で利益剰余金の赤字を解消し、財政状況を改善することも現実的となってきています。

3 東証の上場企業が運営する「オーナーズブック」決算情報

ソーシャルレンディングを運営する会社の中には、SBIソーシャルレンディングやLCレンディングのように親会社が株式上場を果たしている企業もあります。しかしソーシャルレンディングを運営する会社自体が上場を果たしているのは、オーナーズブックを運営するロードスターキャピタルただ一社です。(2018年7月現在)

ロードスターキャピタルは2017年9月に東証マザーズに上場を果たしています。上場企業であるため、決算情報を投資家に公開する義務があります。

3-1 ロードスターキャピタル全体の決算情報

「2018年12月期第1四半期決算説明資料」を以下のリンクから確認してみましょう。
https://loadstarcapital.com/ja/ir/irnews/irnews6484068833645789149/main/0/link/2018Q1kessansetsumei.pdf

ロードスターキャピタルの連結業績・2018年

会社全体での2018年2018年12月期1Qの売上高は17億円、通期で105億円の予想です。

ロードスターキャピタルの貸借対照表

ソーシャルレンディングの貸付金は前期末が11億円、今期1Qだけで23億円に伸びており、この3ヶ月で12億円も金額を増やしています。

2017年度の売上高は88億円、2016年度は46億円でしたので、ここ3年は順調に売上を伸ばしていると言えるでしょう。

https://loadstarcapital.com/ja/ir/irnews/irnews5672292949576069917/main/0/link/2017Q4kessansetsumei.pdf

ロードスターキャピタルの連結業績・2017年

またロードスターキャピタルは堅実な売上高の増加を見込んでおり、利益に関しては

  • 2016年度:約4.7億円
  • 2017年度:約8億円
  • 2018年度:約9億円(見込み)

となっています。2017年度は上場を果たしたこともあり、売上・利益共に大きな伸びを見せていますが、2018年は地盤固めによって着実な伸びを見込んでいると言えます。

3-2 ロードスターキャピタルのソーシャルレンディング事業単体の状態

ロードスターキャピタルの事業は不動産売買や開発が中心であり、その点がmaneoなどのソーシャルレンディング会社とは異なります。同社のソーシャルレンディング事業の売上や利益は以下のようになっています。

オーナーズブックの事業実績

2017年度のロードスターキャピタルの売上は88億円でしたが、ソーシャルレンディング事業の売上は通期でわずか6,200万円です。

またロードスターキャピタルの、ソーシャルレンディング事業における2017年度の通期貸付実行額は16億3,300万円でしたが、これは会社全体の1%にも満たない数字です。それでも2018年度は1Qだけで4,600万円の売上と前期比で70%を超える数字を上げ、今期では累計2億円に達する勢いです。

まだ売上の数字自体は小さいですが、同社の決算情報では重要な事業と位置づけています。エクイティ型投資も2018年度内に開始予定など、ソーシャルレンディングを含むクラウドファンディング型不動産投資に同社が注力していることがわかります。

オーナーズブックの会員数、累積投資金額はいずれも順調な推移を続けており、案件の募集開始直後から一瞬で投資金額が募集上限に達する様子も頻繁に見られます。会社自体の信用、ソーシャルレンディング事業の可能性ともに、ロードスターキャピタルの状況は現時点では順調であり、他のソーシャルレンディング会社と比べると投資の際のリスクも低いと言えます。

4 大手ソーシャルレンディング会社は黒字化を達成しつつある

大手ソーシャルレンディング会社3社の決算情報を見てきましたが、いずれの会社も短期では黒字化を達成しています。maneoとロードスターキャピタルは累積赤字もありませんし、SBIソーシャルレンディングも順調に貸付金額が増加しているため、2~3年のうちに累積赤字を解消することが期待できます。

ソーシャルレンディングで利益を増やすためには、まずは貸付金額を増やしていくしかありません。2017年、2018年とソーシャルレンディング業界で様々な問題が生じる中、投資家の視点はよりシビアになっています。maneoも2018年7月には行政処分を受けています。

行政処分を受けた後、『投資家に対して安心して投資が行える環境をどのように整え、提供していくのか』という課題がmaneoを中心に提起されました。今後はこれまでに発生した不祥事の原因を究明して業務を改善し、投資家に必要な情報を開示できる会社だけが投資家からの信頼を得ることになり、同時に貸付金額を増やしていくことになるでしょう。

逆に投資家が安心して投資できないソーシャルレンディング会社は、貸付金額を増やすことができず、現時点では黒字であっても将来的に赤字に陥ってしまうことも考えられます。

5 まとめ

ソーシャルレンディングの市場規模は、2017年度だけで1,300億円と言われるほど順調に市場が拡大しています。しかしその数字は今までほとんど貸し倒れがなかったという、投資家のソーシャルレンディングに対する信頼の裏返しであり、事業者リスクが顕在化してきた今、これまでソーシャルレンディングに充てていたお金を他の投資に振り替える投資家が出てきてもおかしくはありません。

「ソーシャルレンディングで事業者リスクがない会社に投資したい」

そう考えるのであれば黒字化を達成しており、直近の倒産リスクがない会社を選んでいくと良いでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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