独シーメンスと欧州エアバスは10月13日、米国と英国にあるエアバス主要工場4拠点の脱炭素化に向けた戦略的契約を締結したと発表した。エアバスが推進する環境負荷削減プログラムの重要な一歩として、2030年までに年間8万トンのCO2換算量削減を目指す。
エアバスは、2015年比で2030年までにエネルギー消費を20%削減し、スコープ1および2の固定排出源からの温室効果ガス排出量を85%削減する目標を掲げている。今回の契約では、シーメンスがこの目標達成を支援するため、各拠点に合わせた実績のある脱炭素化ソリューションを展開する。プロジェクトはシーメンスのビルディング事業部門が主導し、キャップジェミニが協力する体制で、持続可能性とデジタル化に関する両社の豊富な専門知識を組み合わせ、プロジェクトの成功と適時実施を確保する。
シーメンスは各拠点を評価し、エネルギー需要と炭素排出量を削減するための包括的な脱炭素化マスタープランを作成・実施する。施策の選定を加速するため、エネルギーシステムツインを活用して各拠点に最適な脱炭素化ロードマップをシミュレーションで検証する。実施される主な要素には、ヒートポンプによる熱生産の脱炭素化、エネルギー効率改善、スマートメータリングシステムの導入、再生可能エネルギーのオンサイト統合、そしてエネルギー管理システムによる使用量の監視・制御・最適化が含まれる。キャップジェミニは、初期段階のコンサルティング活動、ガバナンス定義、プロジェクト管理と計画の支援を担当し、エネルギー監視・測定システムのデジタル化と自動化における専門知識を提供する。
シーメンス・スマートインフラストラクチャーのビルディング事業CEOであるスザンネ・ザイツ氏は「エアバスとの協業は、長年の相互信頼と共通の目標に基づいている」とコメント。エアバス商業航空機事業の運営担当執行副社長であるフロラン・マスーディラバケール氏は「英国と米国のエアバス従業員の専門知識とシーメンスの技術的ノウハウを組み合わせることで、エネルギー使用量と排出量削減の目標達成への道筋を維持する」と述べた。
初期フェーズは2025年夏に開始され、各拠点の脱炭素化ロードマップを策定中で、エンジニアリング調査を通じて実装を進める。インフラの展開は2026年に開始予定で、シーメンスは新しいインフラの運用・保守も担当し、長期的な効率性と回復力を確保する。両社は50年以上にわたる協力関係を築いており、今回の合意はエアバスの持続可能性への取り組みを支援し、環境負荷削減目標の達成を後押しするものとなる。
【参照記事】Siemens partners with Airbus to decarbonize major industrial sites in the U.S. and U.K.
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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